見出し画像

漫画好きが思うヒットする要素 -前編

普段から仕事場でも「例えるならあの漫画のあのシーンで〜」と、すぐに漫画の1シーンを引用して話すめっちゃウザい社長の矢野浩一です。

しかしその熱量は、場のシラけた空気を気にすることなく、取り上げた漫画の魅力をプレゼンし続けるほどだったので、ついにスタッフや周囲の友人から「note書いたら?」と言われるほどに。

僕にとって漫画とは、自分を整えるためのルーティンであり、人生のオモロさを1.5倍にしてくれる趣味であり、精神的不調を治してくれるお薬でもある。

これから漫画という「矢野浩一の一部」を少しずつ書き記して行きたいと思います。

僕を知ってる人は「やっぱり」と納得するでしょうし、知らない人は「こいつはちゃんと会社してるのか」と不思議に思うかもしれませんが、暇な時にでもぜひ読んでください。

第一弾は先日社内会議の後半30分(だけ)を占拠した「ヒットする漫画の共通要素」

※あくまで個人的見解、漫画好きの戯言でしかないので真の漫画好きのみなさん、disはご遠慮ください。

前編ではおもにキャラクターにフォーカスして記します。

たくさんの漫画を読む中で「惜しい!」と思ったり、「もっとこうしたら!」みたいに思った経験がある方も多いはず。

そんなことを思い返しながらでもぜひお付き合いください。

Point.01 キャラクターの個性がわかりやすい

作品ではなくキャラクターにファンがつくことも多い。

キャラクターの個性は、わもっとも重要かつシンプルなところだと思う。「好きな漫画キャラクターベスト5 男性編」とかすぐに言えちゃう人は結構漫画好き。笑

僕はこの個性を主に「人柄」と「能力」に分けて考察してみた。

ワンピースやキングダムなど漫画好きではない人でも知っている作品は、この人柄と能力がイメージしやすい構造になっていたりする。

画像1

実生活における「あるある」への共感

例えばワンピースであれば、猪突猛進・空気を読めないようなルフィ、信念に堅く多くを語らないゾロ、すごく現実主義(お金好き)なナミなど我々の実生活のコミュニティにおいても見かけるような人柄・コミュニケーション・相性などを感じることができる。

実益が伴わないとわかった瞬間の次に「ナミがどんな表情をするだろう」と容易に想像できる部分は、我々の実生活における「あるある」と重なる瞬間。

血液型さえもイメージしてしまうくらいの人柄(ルフィはB型、ゾロはA型、ナミはO型だと僕は勝手に思っている)は、非常に親近感がある。

能力の概念が絶対値ではなくなった。

一昔前は、ドラゴンボールに見られるように能力(ドラゴンボールでは戦闘能力)とは、登場人物の序列を決める絶対値で描かれていたが、近年はじゃんけんのような関係性で描かれる能力描写が人気だと思う。

大筋では主人公やその近くにいるキャラクターの能力が結果を出していくものの、”属性による相性”が漫画における個性の解像度を上げたと思う。


例えば今一番注目されている鬼滅の刃や少し前に完結したフェアリーテイル。

画像2

フェアリーテイルではたびたび、総合的な能力では絶対に勝てない相手に対して、能力属性の相性で立ち向かうシーンが出てくる。

特に、普段強さの序列において上位にいないキャラクターの金星をあげるシーンは読者のテンションを上げる名場面じゃないだろうか。

天才的なクリエイターがたくさん登場する左ききのエレンでクリエイターとしてはフォーカスされていないさゆりが、ファッション業界の大御所である岸アンナにプレゼンする場面はとても痛快。

画像3

僕はこのシーンがファンタジー系の漫画にある能力系の個性ではなく、実社会における人柄の解像度を上げた個性(能力)を描写したものとして強く印象に残っているし、経営者としても思わず憧れたシーン。

Point.02 キャラクターの成長

「成長」を感じるシーンは実生活においてもプライスレスな感動を呼ぶ。

成長後のストーリーが漫画本編のステージ移行をスムーズに行なうための「時間軸の調整」に使われたり、圧倒的なラスボスに対抗できるレベルアップとしての「ストーリー内でのパワーバランスの調整」にも使われる重要なファクターでもあると思う。

ここでは、「成長過程」と「誰が成長するか」にフォーカスする。

圧倒的絶望感からの成長

僕が思う漫画の黄金則とは

①圧倒的な絶望経験
②離脱するほどに落ち込む
③精神的もしくは身体的な成長

という成長過程コンボだと思う。

ワンピースで言うところのこのシーン

画像4

エースの死を経て、ヤケになっているルフィにジンベエが諭す。そして“3D2Y”という仲間へのメッセージ。

僕がこのシーンが好きな理由は従来、“③精神的もしくは身体的な成長”の経過だけを描写したものが多かったり(ドラゴンボールでいうセル戦前の精神と時の部屋)、

逆に描写があまり無く、ひとまず時間が経って主人公が強くなって帰ってくる(フェアリーテイルでギルド解散後にナツが帰ってくる)ケースが多かった中で

ワンピースのこのシーンがもたらす繊細な心境、仲間にだけメッセージが伝わる高揚感、新章スタート時の各キャラクターへの期待感がとても綺麗に描かれているから。

最近だとアオアシの葦人(アシト)が落ち込み、悩んでからの成長過程はコンパクトに描かれて気持ち良いっていう読者も多いんじゃないかな。

画像5

誰に成長してほしいか

もちろん主人公の成長ストーリーは必須なのだが、僕が大切にしているのは「落ちこぼれキャラの成長・成功」である。

この話になると僕の頭の中には、どうしてもNARUTOが出てくる。僕は最後の最後までロック・リーの復活、活躍を期待していた。

画像6

こんなにストーリーを盛り上げるためのポジションは無いと思って読み続けていたので残念だった。。。(全72巻で24巻の君麻呂らへんが山場とか悲しすぎる。。)

スラムダンクの桜木花道(バスケット)やBECKのコユキ(ロックバンド)のように全く無縁・無関係だった素人・初心者がのし上がっていくストーリーは面白い。

画像7

でも、桜木花道やコユキは作中で必ず「秘めた超人的ポテンシャル」が描写されている。つまり成功すべく猛スピードで成長しているということ。

そこで、僕のイチオシ「落ちこぼれキャラのサクセスストーリー」はぶっちぎりでこれ。

画像8

ダイの大冒険のポップ!そしてなんとアニメで復活!(嬉しい!!)

昭和生まれの漫画好きの方はご存知、ポップの飛躍的成長。

ストーリー序盤はとにかく弱虫、逃げる、役に立たないイメージ(ワンピースで言う初期のウソップらへん)だったのが少しずつ成功体験を重ねて、最後はラスボス戦において重要なポジションに立つまでに成長する。

結構安心して読み進めていたところに、ストーリー終盤いよいよラストステージへ!というタイミングで、ミナカトール(大破邪呪文)を発動できないポップの葛藤シーンは「最後の最後でまたかよ!」というツッコミと、乗り越えた後の「おめでとう!」という応援者の感動まで抱いてしまう。

読者ついつい応援したくなってしまうポップは、ラスボスであるバーンすら危険視する魔法を使えるまでに成長します。

画像9

メドローア(極大消滅呪文)のくだりは好きな人も多いはず。(余談です)

実社会においても弱いところをさらけ出して努力している人にはたくさんの応援者がつくものだと思う。

Point.03 キャラクターの数

これは読者によって個人差があるかと思うけど、単純に「何人くらいまでキャラクターを許容できるか」という点。

基本的に漫画って妄想で没入していく別世界なので、その世界で「何人となら長期的に付き合えるか」だと思う。

長期間連載している作品を読み続けている人と、途中で辞めちゃう人の差に「ストーリーが長すぎる」という人も多いけど、「登場人物が多すぎる」というのもあるのではないだろうか?実際僕も、これを理由にコミック購入を一時中断している作品もある。

これって読者がFacebookやTwitterなどのSNSで繋がっている人のうち「何人と積極的にコミュニケーションとっているか?」に近い感覚だと思う。

フォロワー数などではなく、誰が、何人が、自分ごととしてのストーリーとなり得るかだということ。

その辺でいうと多くの人にウケる漫画で考えると、登場するキャラクターは多すぎないことがポイントかも。

画像10

銀の匙はとても読みやすい。キャラクターの数や多彩さも「ちょうどいい」という印象を持てる。

許容できる世界観の広さ

そして、ここから推察されるのがキャラクターが増えると、ステージが増え、話が長くなるということだ。

ドラゴンボールのように「より強いキャラクター」の方向へステージを増やしたり、ワンピースのように「いろんな世界観」という方向へステージを増やしたりと様々あるが、キャラクターはどんどん増える。

キャラクター増とステージ増のどちらが先なのかはニワトリと卵の関係かもしれないが、多くの人にとって「読みやすい」という印象を抱いてもらえるのは適度な人数、適度なステージ数だと思う。

そう考えると、バスケット開始→県予選→全国大会というスラムダンクはとてもイメージしやすい。

画像11

大半のキャラクターの名前を言える人も多いのではないだろうか。

自分自身が漫画の登場人物だとして、将来同窓会できる人数の許容範囲が「読みやすい」の重要なファクターなのかも。

そして後編では、キャラクター以外の要素について書きたいと思います。

おまけ。

執筆ついでにふと「好きな漫画キャラクターベスト10 -男性編」とか考えてみました。実際に書いてみるとかなり悩むので、皆様もすごーーーく暇な時にでもぜひ。今回は10位〜6位。

矢野浩一が好きなキャラクター -男性編
6位 朽木 白哉  (BLEACH)
7位 渡海 (サンクチュアリ)
8位 月山 習 (東京喰種)
9位 麻倉 葉王 (シャーマンキング)
10位 房州 (哲也)

みなさんのランキングはいかがでしょう?

では、また!

画像12


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?