精神科慢性期病棟30:だらしないノモヒロ、でも今日はちょっと心配

 ノモヒロはうつ病の既往と自殺企図歴ありで現在症状出てない人。任意入院で外出時間は必ずと言って良いほどタバコを吸いに行く。時間を守らず数分毎回遅刻して帰院する、規則を守らず飲食禁止エリアでお菓子を食べる、糖尿病で入院中は病院食をしっかり3食食べるように指導されているのに朝食べないでこっそり外食してパンを食べている、とか。自由に生活したい気持ちは当然だしもちろん気持ちは分かる。でも入院中の健康に責任を持つ看護側からすると、自覚のなさとだらしなさに苛立ちを覚えてしまう。積み重なって正直あまりスタッフから好かれない。

 精神科あるある。なんでこの人入院しているんだろう、っていう患者さん。カルテを見ないと疾患がなんだか分からないくらい症状が落ち着いていて、生活がだらしないけど、普通に会話できる、そんな感じの患者さん。

①社会的な意味合いでの入院:退院先がない、探している最中。

②本人が退院を望まない:入院生活に居心地の良さを感じている。退院後が不安。

③主治医の方針、考え:看護からみた患者さんと主治医の所見が異なっている。

④看護、PSWが動かない:担当患者さんのケースワークに興味がない。

などかな。

 話を戻してノモヒロは昨夜から3食欠食中。精神症状はハッキリしない。大丈夫っていうけど明らかに様子がおかしい。ぼんやりと目が虚で不調のサインが出ている。時間経過でいつも元に戻るけど、タバコを1日吸いにいけないのは珍しい。他のスタッフはほっとけって言うけど、なんとなく心配。夜間何もないと良いのだけど…。

 同じ疾患でも不調のサインが異なっていて、その人を知らないと気付けない。教科書に載っていないからなかなか勉強が実を結ばない。でもだからこそ、積み重ねた知識と経験が「あれ、なにかおかしい。」という閃きをくれる。精神科の厄介で楽しいところはこういうところだと思っている。

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