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現象報告のパラドクス

現象報告のパラドクスが某界隈で少し話題になっていたようなので,私的なまとめを置こう。

物的世界に寄与できない神秘的領域がある…①
神秘的領域を報告できる…②
報告できるものは物的世界に寄与できる…③

①:¬Ga
②:Fa
③:∀x(Fx→Gx)

②,③より,Ga が導出されて(つまり、神秘的領域が物的世界に寄与できる,という属性を獲得してしまった!)これが①と矛盾する。

ここまでの論証に問題は無いが,この帰謬法がおかしいのは前提群の否定 ¬((①∧②)∧③) から,①の否定を導出しようとしている* ところにある。この換言が (¬①∨¬②)∨¬③ であることに注目すればよくわかる** ように,少なくともこの理解における【現象判断のパラドクス】は,唯物論(物理主義)者をただちに擁護するわけではない。

*この議論において,【現象判断のパラドクス】は唯物論者による二元論者に対する帰謬法として見られている。

** 納得できない人用のタブロー

⊤:(¬①∨¬②)∨¬③
⊥:¬①
⊤:①
⊤:¬①∨¬②/⊤:¬③
⊤:¬①//⊤:¬②/⊥:③
⊥:①//⊥:②
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