子どもだけの街

ヘンリー・ウィンターフェルト著

ハッピーエンドを目の当たりにした。
自分が健康で健全な人間で在る世界線だったなら、この町の住人たちのように快活でいたいと思う。

みんなが素直に、単純に生きている。だからこそたくさん失敗もするし、反省もする。登場人物の色はそれぞれはっきりしていた。別々の役割を質実に果たしている。
しかし、それほど多くの個性が集まっていながら、町の正義は最終的に一つに纏まってしまった。多くの悪は一方的な正義によってかき消されてしまった。
ガキ大将の心の闇は誰にも関心を持たれず、ついには踏みつぶされた。彼はこのあと幸せに生きられるのだろうか。

悪にはきっとルーツがある。いや、ルーツが無い悪こそ本物なのかもしれない。


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