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新ブランド「ABILI」はどのように生まれたのか プロジェクトメンバーが感じたリブランディングの意義と喜び

これまで当社は、サービス業を中心とした多拠点ビジネス展開企業様に、経営戦略を現場で実行する「組織実行マネジメント」を支援してきました。その中心にあったのが、動画マネジメントシステム「ClipLine」です。
 一方、創業10周年を迎える中で、多拠点ビジネスの課題やデジタルに対するニーズは変化してきています。当社としても、よりお客様へ寄り添えるよう、このたびClipLineを4つのサービス群から構成されるプラットフォーム「ABILI」へとリブランディングしました。
 また、これまでの経験を生かして、よりお客様の財務成果創出へコミットする観点から、従来のコンサルティング事業を切り出す形で新会社「Chain Consulting」も立ち上げています。

 本記事では、一連のリブランディングプロジェクトにおいて、特にクリエイティブ領域で活躍したメンバー2人へのインタビューをお届けします。今回のリブランディングが持つ意義や、プロジェクトがどのように進んでいったのか、ぜひお読みください。

新ブランド「ABILI」が誕生した背景やサービスの詳細は↓こちら↓でお読みいただけます。

東 侃輝(ひがし なおき)
1993年生まれ。横浜国立大学を卒業後、アイティメディア株式会社入社。大手IT企業のマーケティング企画設計・支援に従事。その後クックパッド株式会社に入社し、食品・飲食・小売店向けのマーケティング支援サービスの営業企画、自社マーケティング/IS組織の立ち上げ、toB向けオウンドメディア「FoodClip」の立ち上げとそれを起点にした新規事業開発を担当。2022年にClipLine入社、現在はマーケティング部部長を務める。

小野 なつ季(おの なつき)
1993年生まれ。京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)を卒業後、映像編集に従事。2020年にClipLineに入社。映像制作部門でアシスタントディレクターとして、サービス内の動画コンテンツの制作を行う。2023年3月にマーケティング部へ異動し、ビジネスサイドのデザインを行う。

「想い」を実現するためのサービスの進化

今回のリブランディングのプロジェクトで旗振り役となったのが、マーケティング部です。同部の部長である東侃輝は、背景について次のように振り返ります。

 「当社はこれまで、多拠点ビジネスの実行支援にフォーカスして、活動を続けてきました。その中で、昨今は各企業でデジタルとの向き合い方や、関わる部署、取り組むべきミッションの変化が起きています。当社の中でも、コミットしなければいけない領域がこれまで以上に広がっている認識があり、従来のサービスだけでは不十分だという議論が出ていました」

 ClipLineでは、『「できる」をふやす』のミッションの下、従業員の生産性や働きやすさの向上、組織改善が実現すれば、最終的な企業活動のゴールである利益拡大につながり、従業員にも還元される——そうした想いでサービスを展開してきました。
 一方で、ClipLineによって実現できることと、ゴールである財務効果の創出との距離が遠く見え、社外に対して「動画教育ツール」や「マニュアルツール」としての価値以上のものが伝わりづらかったのが課題だったといいます。
マーケティング部でクリエイティブディレクターとしてデザインコミュニケーションを担当する小野は「ClipLineはできることが多いゆえに、『一言で説明すると、何だろう』という意見が社内でもありましたし、その点について議論を重ねてきました」とも話します。
 
 また、コロナ禍を経て自社内のデジタル活用を再設計する会社も増えました。全社最適な考え方でツールを検討する機運が高まったことで、サービスの提供範囲を広げる「次世代ClipLine」を生み出す動きが弊社内でも進んでいました。
目指したのはこれまで提供していた「現場での実行」へのフォーカスに加え、全社のデータを可視化しながら経営課題の発見や現場業務の改善などを横断的に実現するサービスです。

「我々は何者であるか」を定義するためのリブランディング

いよいよサービスを展開していくにあたり、議論になったのはその打ち出し方でした。当初はClipLineに付随したサービスとして考えていましたが、議論を重ねた結果、企業として最終的にお客様に提供したい価値を明確にするため、従来のサービスも含めた新たなブランドを立ち上げることが決まりました。

この決定が6月初旬。そこから2ヶ月半後に予定していたイベントに合わせて記者発表会を行うことを目標に、短期間でスケジュールが進行しました。
「当時は間に合うのか本当に不安でした…(笑)」と2人は振り返りますが、プロジェクトは非常にスピーディかつ妥当性のある形で進んでいきました。

リブランディングのプロジェクトはCEOの高橋やCOOの金海といったビジネスサイドの意思決定者と東、小野。さらにクリエイティブ制作の外部パートナーとして、日本経済広告社(ADEX)の専門チームで編成されました。

 まず着手したのが、新たなブランドを表現するタグラインや説明文。
「リブランディングを行う大きな価値だと思っていたのが、『我々は何者であるか』をきちんと言語化することでした。ADEXさんの第三者的な目線も含めた提案を受けて、まずはその目線合わせを丁寧に行い、最終的に『潜在力を高める』という表現にたどり着きましたが、ここで我々がどうありたいかをきちんと議論できたのは非常に重要でした。」(東)

企業トップと現場メンバーも交えた議論の過程で、今後企業としてあるべき姿への言語化が進み、これまで社内で展開していたコンサルティング事業を切り出して「Chain Consulting」に分社化する方針も決まっていきました。

繰り返された議論とブラッシュアップから生まれた「ABILI」

そうして固まった表現を元に、ブランド名の検討に移りましたが、初期案としてADEXから数十もの案が提案され、短期間に多くの議論とブラッシュアップが行われました。

著作権の関係でぼかしを入れていますがサービスの特徴を踏まえた
数々のネーミング案を提案してもらいました

「機能に寄せたものや思想に寄せたものなど、さまざまな観点でご提案をいただきました。それらの案に対して、
・直感的に分かりやすいこと
・短くて呼びやすいこと
・海外でも通じやすいこと

の3点をもっとも重要なポイントにしてブラッシュアップを重ねました。この3点以外にも、発音や語感が与える印象など、あらゆる観点をADEXのコピーライターさんに提案いただき、検討していきました。」(小野)

 能力を意味する「Ability」のスペル前半部分をネーミングとして採用し、現場の人々が力を発揮し、スキルフルに活躍するニュアンスを表現した「ABILI」は、実は当初案の中にはなく、議論の過程で生まれてきたものでした。

 最終的な決定は「ABILI」を含め4案まで絞り込まれた段階で、社内メンバー全員による投票を重要な参考資料としました。議論の過程や想いが伝わるよう、CEOの高橋による説明動画を収録、参考資料とともに展開し、閲覧後の投票をお願いしました。

投票結果を朝礼で共有する東

難航したロゴ・カラーの検討

この投票数も決め手となり名称は「ABILI」に決定後、ロゴ・カラーの検討が始まりましたが、この決定にはチーム内でもより多くの議論がありました。

 この段階では、クリエイティブディレクターの小野がデザインの観点から大きく関わっていました。
美術大学を卒業し、2019年に当初はインターンとしてClipLineにジョインして以来、映像制作を担当するコンテンツコミュニケーション部に在籍していた小野がマーケティング部へ異動となったのは2023年3月。異動からまだ間もない中でしたが、自身の経験や知識を基に意見を出していきました。

 正しいプロセスを経てきたゆえに、それぞれの観点で的を射たクリエイティブが候補として生まれ、そこから絞り込む作業は非常に難しい判断だったと小野は振り返ります。

 「リブランディングに伴い、従来のClipLineのテーマカラーも変更を行う上で、現状の色味を引き継ぐ形か、新たな姿に変えるか、という点です。従来より深い緑か、明るい赤という2つの候補まで絞り込みました。どちらも今後のサービスのあり方やメッセージの表現力を考慮した上で、納得感のあるものにまとまったと考えています。ロゴについても7パターンほどをADEXさんから提案いただき、組み合わせを検討しました。それぞれに妥当性があり、この段階ではチームの中でもかなり意見が分かれましたね。改めてリブランディングの難しさを感じました。」

約6割がA案のグリーンに投票

再びの社内投票で見えた社員の「想い」と嬉しい声

カラー・ロゴの候補が出揃った段階で再び、全従業員での投票を行うことになりました。
 この段階での投票は、前回のものとは大きく異なるものだったと2人は振り返ります。

初回の投票では、リブランディング自体に対してどう受け止めたらいいのか、戸惑いの声も多かったと記憶しています。利用中のお客様へのご案内やプロダクトの変更など、影響範囲が広いので当然です。しかし2回目の投票では、非常に主体的な意見や、リブランディング自体に前向きになっている様子が、フリーコメント欄に大変多く記載され、みなさんの想いがこもった言葉を受けて、我々としても非常に勇気付けられる思いでした。」(東)

「投票内容も多様な意見があり、部門によって緑と赤の支持の比率が違ったり、ロゴについて受け取る印象が違うのも興味深かったです。その中でもカラーに関しては、緑に投票したメンバーから『今回のリブランディングは、新たに生まれ変わるというより、これまで提供していた価値をさらに深めるという理解なので、深い緑が良いと思う』という意見がいくつか見られました。今回の意図やデザインで伝えたかったことへの共感があったのは非常に嬉しかったです。」(小野)

  その中で、過半数を超える得票をしたのが現在のABILIのカラー・ロゴでした。

決定したロゴデザイン

「もちろん全ての方の意見を反映できたわけではありませんが、こうしてしっかりとしたプロセスを経てリブランディングを行えたことには、大きな意味があったのではないかなと思います。」(東)

“共通言語”を持てた点に手応え 今後も心踊るデザインを

短期間のスケジュールで進行したプロジェクトでしたが、「ABILI」は予定通り、8月22日のイベント・記者発表会でお披露目となり、当日夜のテレビ東京系列「ワールドビジネスサテライト」で取り上げられたことで、早速多くの方の目に触れることになりました。

そこから数ヶ月が経ち、感じている手応えについて、2人は次のように話します。

 「今振り返ると本当に短期間でよくやったな、大変だったなと思いますが(笑)、先ほどもお話ししたように、今回のプロジェクトで最もやりたかったのは、ブランドを表現する言葉やイメージを社内で一丸となって統一することです。リブランディング後は以前よりも組織内での“共通言語”を持てるようになったと感じていますし、お客様にも伝わりやすくなった、という声を聞くこともあり、嬉しく思っています」(東)

 「当社として『どんな価値を提供しているのか』について、現在ABILIを構成する4つのドメインで表現できたことで、より分かりやすくなったのではないでしょうか。また、ロゴのデザインやカラーリングが従来と比較して見やすくなったことで、ホームページや資料の設計もしやすくなりました。『デザイン1つでここまで変わるのか』と感じています」(小野)

 最後に、今後の展望を聞きました。

 「個人的な想いとして、SaaSには、UI/UXが事務的なものも多く、毎日使っていても心が踊るようなサービスが少ないと感じています。色やちょっとしたデザイン1つでサービスに対するイメージは変わっていくはずですので、今後もデザイン軸で当社の価値をアピールしていきたいです。」(小野)

 「マーケティング部の仕事は、会社として実現したいことや提供している価値を正しく伝えることだと考えています。新たなABILIというブランドこそできましたが、今までのClipLineに対して一定のイメージを持っている方もまだたくさんいらっしゃるはずで、そういう意味でもリブランディングはまだ終わらないと感じています。今後もトライ&エラーしながら、当社の価値を広めていきたいですね」(東)

共にプロジェクトを進めた日本経済広告社の方々のコメント

クリエイティブディレクター 角川さん
はじめてお話を伺ったとき『「できる」をふやす』というミッションにすごく共感したことを覚えています。人材不足が叫ばれる中、とても価値あることだなと感じると同時に、いい形で世に出さねば!という想いでした。ネーミングは全てを合わせると総計100案以上のアイデアからセレクト。その中からABILIにたどり着けたのは、直接みなさんと何度も議論や検証ができたことがポイントだったと感じます。これからも、いろいろとお手伝いができればと思っています。

コピーライター 荒木さん
価値の言語化と視覚化、という非常に意義のあるプロジェクトに関わらせていただきました。会社としてのお考えやそれを体現するサービスについて深く理解し、それを的確かつ魅力的にアウトプットすることに注力した2ヶ月半。高橋CEOを始め、社員のみなさまの熱い思いに我々も鼓舞されながら、議論を重ねることができました。ABILIのさらなる発展を、今後ともお手伝いできると嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!今後のABILIの進展にご期待ください。

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