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カナダでは、大人が自分の誕生日会を開く。その理由と、今年の誕生日で気付いたこと。

こんにちは。
今回は”誕生日”のお話しです。

“誕生日”というと、たまたまYoutubeか何かのオススメで出てきた、西野亮廣さんのコメントが思い出されます。

「誕生日だから、
産んでくれたお母さんに感謝するのは分かる。
でも、自分が祝ってもらいたい人の気持ちが
分からない。
だって頑張ったのはお母さんであって、
自分は何もしてない。」

こんなコメントをされていました。

皆様はどちら派でしょうか?
私は祝ってもらいたい派です。笑

幸いにも、幼い頃から、誕生日には家族でささやかなお祝いをするのが習慣でした。
盛大なお祝いではなく、ご馳走にケーキ、家族からの「おめでとう」で十分に幸せで…この家族に生まれてよかったなぁと毎年思います。
そんな環境で育ったせいか、自分の誕生日にはささやかなお祝いがあったら嬉しいです。


そんな私でしたが、数年前に結婚して、日本を出ました。(実家を、ではなく笑)
ここ、カナダでは、バースデーパーティーを頻繁にします。(もちろん誕生日会をしない人もたくさんいますが、する人の割合は日本より多いと思います。)

子どもの誕生日会は、親や家族が主催です。しかし、大人の誕生日会は、誕生日を迎える本人が主催であることが多いです。

誕生日を迎える主役は、自分の誕生日会に向けて、色々用意をしなければなりません。家の片付けに、掃除、そして料理、自分の誕生日ケーキの用意。
私は「そこまでして、自分の誕生日を盛大に祝ってほしいのか…?!」と不思議に思っていました。

そんなバースデーパーティーの謎が、最近解けた気がします。
今回は“誕生日”について気付いたこと、考えたことをここにまとめておきたいと思います。
誕生日の過ごし方の参考になれば嬉しいです。


義理のお姉さんの誕生日会。

私の夫は、フィリピン系カナダ人です。先日、義理のお姉さん(もちろん同じくフィリピン系カナダ人)の誕生日会がありました。

義理のお姉さんは結婚しており、小さな子どもが2人います。「誕生日会をするから来てね〜」と言われた時は、やはり「カナダの人ってすごいなぁ。子育てで大変やのに、自分の誕生日はちゃんと祝うねんなぁ。」と思いました。

夫に「プレゼント、何持っていく?」と相談したところ、何もいらないと言われました。「みんなで食べるKFCを買って持っていく」と…

誕生日、当日。
義理のお姉さんのお宅へお邪魔すると、すでに義理のお兄さん家族、そして義理の両親がいました。

「ハッピーバースデー!」「センキュー!」の後は、他のパーティーと変わらず、みんなで持ち寄ったピザや、KFC、義理の両親が作ったフィリピン料理を楽しく食べました。

衝撃を受けたのは、デザートの時間。
お姉さんへの注目、主役への「おめでとう」感があまりなかったのです。


お姉さんは何気なく自分でケーキを取り出して、自分でカットし始めました。
周りからのハッピーバースデーの歌も、「おめでとう」も特にありませんでした。

(後から聞きましたが、これは誕生日を迎える本人がケーキカットをする習慣だそうです。ハッピーバースデーの歌は、子供っぽいので、大人の誕生日会では歌わないことがほとんどだそうです。)

子どもにロウソクを吹かせ、義理のお姉さんが先頭に立ち、ケーキを配り、美味しく頂きました。

お姉さんはとても幸せそうにしてましたが、私はこの時、一瞬、不本意にも義理のお姉さんを不憫に思ってしまいました。


大変なのに、なぜ誕生日会を開くの?

義理のお姉さんの誕生日会以外にも、カナダで誕生日会に呼ばれると、大体主役の本人が一番忙しい印象を受けます。

家に帰ってから、夫にカナダの誕生日会のことを色々聞きました。

もちろん、「特別」を感じたいから、自分のために誕生日会を開く人も沢山いる。
でも、中には姉みたいに、自分の周りの人のために誕生日会を開く人もいる。
•子どもが、おばあちゃんやおじいちゃんと、仲良くなるため。
•いとこ同士、遊ぶ機会を作るため。
•家族の新メンバーである(私)が、なるべく早く馴染むため。
•何より、家族の顔を見るだけで、姉自身も周りも幸せを感じれるから。

姉は自分の誕生日をそんなに気にしてない。誕生日はただ単なる口実で、みんなで集まることに意味がある。

確かに、誕生日会でのお姉さんの表情や素振りを見てても、「祝われたい」「主役でありたい」という素振りはあまり感じられませんでした。

また、夫はこんなことも言っていました。

「お祝いしたい」と言ってくれる両親や家族に対して、ただただお世話になって、祝われるだけでは申し訳ない。家族に仕事が増えてしまう。
それなら、「私が大半部分をやろう」というモチベーションだと思う。

フィリピン系の人は、家族や親族の集まりを頻繁にする人が多いそうです。それが、コロナ禍で、家族が集まる機会が一気に減ってしまいました。

感染者数が収まり、規制緩和された今、「誕生日会をしよう」というのは、お姉さんなりの周りの人への気遣いであったことに、気が付きました。

自分の周りの人への感謝を伝えるために、誕生日会をする。
「お祝いをしたい」と思ってくれている家族に手間をかけないように、誕生日会をする。
みんなで集まり、仲を深めるために、誕生日会をする。
こんな発想は、これまで私の中にはなかったです。

このような気遣いができるお姉さんのことを、一瞬でも不憫に思ってしまった自分を反省しました。

誕生日会の理由を理解すると、楽しい時間を作ってくれたお姉さんへの感謝の気持ちが、自然と湧いてきました。


誕生日に、何かをもらうのではなく、何かを与える精神。

夫とこの話をした後、「自分の誕生日なのに、何かを与える精神(giveの精神)」について色々考えました。

誕生日といえば「もらうこと」にフォーカスしがちです。
プレゼントをもらう。
お祝いの言葉をもらう。
ディナーをご馳走してもらう。
「何かをもらう日」のイメージです。

しかし、義理のお姉さんの行動を見ると、「自分の誕生日に、周りの人が仲を深める機会を与える」というgiveの精神があると思いました。

自分から周りに何かを与えることによって、自分も幸せになる。
誕生日はもらうことにフォーカスしがちですが、誕生日だからこそ周りの人に与えてみる。そんな精神は素敵だなぁと思いました。


そんなgiveの精神は自分が英語講師をしていた時を思い出させてくれました。

カナダに渡る前、私は約5年ほど英語講師をしていました。大学や企業にお伺いして、英語講座を担当していました。
「教える側」ですので、たくさん準備をして、熱意を持って授業をしていました。誰かに何かをgiveできることの喜びを学びました。

そしてある日ふと、「giveすればするほど、私が学ぶことが多い」ことに気付きました。
年齢に関係なく、人として尊敬できる方に出会えたり、パワーを頂いたり、インスパイアされたり。
正しく熱意を持ってgiveできれば、それ以上のものが返ってくることを学びました。

自分の誕生日という特別な日に、何かをもらうのではなく、心のこもった温かい何かを周りの人に与えてみる。
そうするだけで気持ちが良いですし、何か嬉しい出来事が起きるかもしれません。


私の誕生日の過ごし方。自分に心のこもったメッセージをgiveする。

私は日本にいても、カナダにいても、周りに祝ってくれる方がいても、いなくても、自分の誕生日になんとなくしていることがあります。

それは、紙のノートに新しい歳の自分に向けて、メッセージを書くことです。

人は生まれる時、お母さんも命がけですが、赤ちゃんも命がけです。狭い道を命がけで降りて行かなければなりません。帝王切開だったとしても、お母さんと赤ちゃん、2人が命がけなのは変わらないと思います。

誕生日くらい、そうやって頑張って生まれて来た自分に感謝しよう。
これまで大変なこともあったけど、「死なない選択をした」=「生きる選択をした」、あの時の自分に感謝しよう。

書いて、自分で自分に、心のこもったメッセージを与えることによって、例え誰からも祝ってもらえなくても、私は自分の誕生日を素敵な気分で過ごせる、自分自身を幸せにできる。
与えたメッセージよりも大きな自信
が湧いてきました。


誕生日に自分へのメッセージを書いた後は、読み返して、感動して、泣くこともあります。(自分で書いた文章なのに笑)

心底自分を嫌ってたあの頃から成長し、愛のある文章を自分宛に書けるようになれたのは、沢山の人から沢山の愛を頂いた証拠です。
周りの方への感謝を忘れずに生きようと、改めて心に決めました。
そして、自分の愛し方を知った今、次は周りの人、次の世代の人に愛を伝えたいと思いました。


誕生日パワー。

私は子どもの頃、“誕生日”というだけで、一日中ワクワクしていました。今でも”誕生日”というだけで、その日は幸せな気分になります。

今年の誕生日は、たまたまですがキャンセルが続きました。それでも「誕生日パワー」のおかげ、「何がなんでも楽しく過ごす」と決めていたおかげで、ネガティブな気持ちになることはありませんでした。

誕生日を楽しく過ごせた後に気付いたのは、私は、自分の感情をコントロールする力があるかも…ということでした。

「キャンセル続きで、ネガティブになって、惨めに誕生日を過ごすこと」を選ぶこともできました。私はそれを選ばずに、「楽しく過ごすこと」を選ぶことができました。


こちらの瞑想では、こんなことを話しています。

不安になったり、ストレスを感じたり、落ち込んだりすることは誰にでもあります。その感情を持つ事は大切なことです。

ここで大切なことは、「今持っている感情は、周りの状況に対する、自分のリアクション(反応)である」と覚えておくこと。

自分が「こうなるだろう」と想像している状況に対して、不安やストレスを感じることもありますが、それがこの先起こるとは限らない、と知っておくのも大切だです。

このご時世、人生で何が起こるかはコントロールできないかもしれません。でも、私たちがコントロールできるのは、その状況や挑戦に対して、どういう風にリアクション(反応)するかです。


身の回りで起きる出来事と、自分の感情。普段の私なら、身の回りで起きる出来事につられて、自分の感情も上がったり下がったりします。

今回の誕生日で、「何がなんでも楽しく過ごす」と自分の感情を先に決めておくと、身の回りで起きる出来事に引っ張られすぎることなく、過ごすことができました。「誕生日パワー」すごいな〜と思いました。笑


毎日こうする事は、難しいかもしれません。体調や天気、またはコロナの感染状況やニュースなどよっても、気分は影響されます。

しかし、周りからの影響を受ける=自分は反応している、と知ること。
その反応、つまり自分の気分や感情は、自分でコントロールできる、と自信を持つこと。
これは、とても大切だと思いました。

自分の誕生日に、そんな気付きと自信が持てたことが、一番の誕生日プレゼントだったなぁと思います。


最後に。

今年の誕生日、一緒に過ごすことが出来なかった母にメッセージを送りました。
「私を産んでくれて、ありがとう。」
「産んだ頃を思い出したわ。(笑) 超安産でした。」
と返事が来ました。笑

誕生日。
100人居れば100通りの過ごし方があって良いと思います。
周りの方からお祝いをしてもらう。
周りの方からのお祝いがなくても、自分で自分が生まれたことをお祝いしてあげる。
自分から周りの方に温かい感謝の気持ちを与える。

その日をどう過ごすかは、自分次第。
そして、どんな気持ちで過ごすかも、自分次第。

来年の誕生日は、自分に、そして周りの方々に温かい感謝の気持ちを伝えれるような日にしたいと思います。

誕生日の過ごし方の参考になれば嬉しいです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。


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