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資産形成学

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〜10月4日 20:30

◆前置き

全国の投資家さんこんにちは!
借金して会社から逃げたアラサーハゲことてぃまるです

この記事は先生の投資理論を元にして、先生と私とで共同執筆した「資産形成学」の原文をそのまま公開したものです

難しい内容ではないですが、
・情報量が多い
・論理・数学・科学的根拠を重視
・人の心情・共感は度外視
した内容となっているため、資産形成学の原文をコンテンツとして世に出すことは難しいと判断していました
また、まだまだ深堀りし追究したい内容も残っていましたが、先生の方から
「せっかくここまで作ったし、リリースしちゃっていいんじゃない?」
と許可がでたので、この機会にnoteで販売してみることとしました

次項から本文になります

まえがき

まえがき

これまでの人生とFP活動をしている中で様々な方の相談を受けてきました。
その中ではどの方も改善の意欲があり、自身の状況を好転させようとしました。
にもかかわらず、その人達は何故資産形成が上手くいかなかったのか。
その理由は、世にあふれる情報の粗さ、顧客利益ではなく、自社利益を優先するビジネス構造などの多くの疎外要因により、意欲のある人でも圧倒的に上手くいきにくい環境であると感じています。
それを回避するためには知識が有用で既に有益な情報が現代では十分に存在するように思われるかもしれません。しかし私の意見としてはその多くの情報が人間の行動を改善するために必要な範囲を十分に網羅していない、ディテールが詰め切れていない、本来説明すべき他の重要な要素との繋がりが意識されていないもの、がほとんどであると思っています。その結果、多くの場合で小手先の技術になり、当然改善効果は限定され、満足な成果に繋がっていないと考えています。
そこで私の役目としてはこの十分ではない情報を補填することでより多くの方が資産を上手く作れる方が増えるのではないかという考えに至りました。
本記事で私の資産形成に関する考え・アプローチを述べさせて頂き、論理的・合理的に完璧とは言えない部分もあると思いますがそれでも私の知識がこれを読んだ方の資産形成の一助となれれば幸いです。

【注意事項】

(1) 本書の立ち位置
 
本書では資産形成の方法の解説を行います。本書で解説する内容は、特定の商材・商品の購入を斡旋する助言を目的としておらず、論理的・数学的・科学的観点から観点から投資商材・商品などの過去を分析した結果より得られた考え方の提示となります。

(2) 投資助言業・投資助言に該当する内容の不記載について
 投資助言業務は金融商品取引法(以下「同法」という) 第二条 第八項 第十一号で定められる、顧客との間で投資顧問契約を締結し、顧客に投資助言を提供する業務を指します。またその業務を遠し、顧客へ「有価証券の価値等」「金融商品の価値等の分析に基づく投資判断」に関し、「口頭、文書、その他の方法」によって助言を行い、その対価として報酬を得ることで投資助言業務に該当します。
 この場合、「有価証券の価値等」というのは、具体的には、有価証券に投資を行うことによって得られるであろう利益(値上がり益、利子等)、と解釈されます。
当該内容については本書では言及致しません。
(3) 情報の最新性について
 本書は2024年5月に執筆しています。各所に記載する情報、リンクが最新情報ではない場合があることを予め了承ください。ただし本書に記載する内容の本質は、時間経過による論理の矛盾・根本的な破綻などは生じずらいものとなっております。


1.投資論

1-1 結論

 先に本書の見解・結論を述べれば、我々個人投資家が行える範囲の投資により、短期で莫大な利益を獲得することは困難である。仮に過去に事例があったとしても、それは再現性の高いものではない。我々にできることは過去と論理に基づいた戦略を元に現実的な設計を行い、適切な戦術を以って不安と誘惑に対処しながら、可能な限り早く、可能な限り長く自分の資産を市場で運用することである。
 投資で収入を得る方法は2つ存在している。
 ① 配当収入
 ② キャピタルゲイン(売却益による収入)
 この2つについて、ブームで言えば「高配当」「タイミングを図る」という手法が一般で取り上げられている。残念ながらそれが良いパフォーマンスを生み出せるという根拠は存在しない。まず基本としてあらゆる物事において完璧な未来予測ができないことは既に数学的に証明されている。投資においてもランダムウォーク理論、効率的市場仮説など商品の価格変動を予測することは無意味・不可能という内容を提唱する理論が存在しており、現在の研究結果を持ってもこれを覆すには至っていないといえる。したがって、我々は商品の値動きの予測はできず「上がったタイミングで売却する」「下がったタイミングで売却する」という行為はできないというのが基本的な見解である。その証拠を一つとしてS&P500の15年間の投資リターンを上回るパフォーマンスを出せたプロの投資ファンドは全体の12%である。
この結果を素直に加味するとプロでも達成困難であることを我々個人が再現することはより困難であると評価出来る。強引に確率化するとしたら個人がS&P500のリターンを自身の工夫により超える確率は12%より低いだろうと推定出来る。
 この結果から代表的なS&P500などの指数投資が個人の投資としては妥当であると判断出来るはずである。巷に転がる上級者は個別株、初心者・中級者はインデックスなどという話も耳にするがそれは間違いであると言える。好んで低リターンを取る必要はない。
 そして加えて重要なのが運用期間である。これは長ければ長いほど良い。
これが単に事実である。
 以上は本書に置ける投資の根本的な戦略であり、「投資資金はタイミングは図られないのだから図らず、適切な商品で長く市場に投入しておく」となる。なお本書の投資戦略は以下の考え方などから現実的な手法を考察している。
・市場の価格変動は予測できない
(チャールズ エリス (著), 鹿毛 雄二 (翻訳)(2015):「敗者のゲーム 原著第6版」、日経BPマーケティング(日本経済新聞出版)
・効率的市場仮説
(Eugene Fama(1970):「Efficient Capital Markets: A Review of Theory and Empirical Work,」)
(Eugene Fama(1991):「Efficient Capital Markets II,」)
・株式リターンの平均リターン性(平均回帰性)
(James Poterba and Lawrence Summers(1988):「Mean Reversion in Stock Prices: Evidence and Implications」)

1-2 論理解説

 前項において本書に置ける戦略「投資資金はタイミングは図られないのだから図らず、適切な商品で長く市場に投入しておく」を定義したが、本章ではその戦略の論理について、株式投資を例として解説を行う。戦略の内容を分解し、具体的に示すと以下の通りとなる。

(1) 商品を購入するタイミングを図らない(適切なタイミングなど分からないため)
(2) 余裕資金ができたタイミングで、可能な限り早期に商品を購入する
(3)流行りやマーケティングに流されず、適切な投資設計に基づいた商品を購入する
(4)20年以上の長期保有


以降「余裕資金」という単語を使用するが本書において「余裕資金」は以下の定義で使用する。
 ・総収入 - ボーナスなどのスポットの収入 - (生活費 + 目的のある支出) = 余裕資金
 総収入はあなたの収入の額面の総額である。生活費は文字通り日常生活で発生する食費、水道光熱費などの支出、目的のある支出は趣味や旅行などの支出である。従って「とにかく節約して投資に当てるために作ったお金」の意ではない点に注意してほしい。

各項の内容について解説していく。
(1) 投資商品を購入するタイミングを図らない
 「1-1 結論」で記載した内容と重なるが、「タイミングを図らない」とは「株価などを気にして『もう少し下がってから買おう』などを行わない」となる。これはタイミングを図れるということの再現性が無く、更に人間の脳は正確な判断・意思決定に適していないことから投資において無駄な「タイミングを図る」という工程を排除するためである。
 「タイミングを図る」というのはそれ自体が未来を予測する行為であり、本書の指針である効率的市場仮説やその前身とも言えるランダムウォーク理論で不可能・無意味とされている。またタイミングを図る以上、そこに必ず判断・意思決定の工程が発生するが、残念ながら人間の脳は判断・意思決定を嫌うと共にその精度は高くない。特にお金を使う際は、脳へ大きな負荷が掛かり判断・意思決定の精度はさらに低下する。
 この見解は人間の判断や意思決定については既に多くの科学的研究・検証が行われた結果の結論であり、現状では否定できる材料がなく事実であると想定出来る。より詳しく知りたい方はノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンや、数々の科学書籍・論文を執筆されている鈴木祐さんの著書を手に取って頂くことをお勧めする。

(2) 余裕資金ができたタイミングで、可能な限り早期に投資商品を購入する
上記(1)に記載した通り、投資においてタイミングを図るという行為には意味がない。タイミングが図れない以上はなるべく早期に商品を購入し運用期間を最大化することが、我々に取り得る戦略となる。
 下図は投資の世界では基本とされている
 ・S&P500
 ・全世界インデックス
 ・NASDAQ100(近年言われ始めたもの)
の直近20年の評価額の推移をグラフ化したものである。

※webサイト「億りたいびとのブログ:積立投資はS&P500?オルカン?それともナスダック100? ~過去シミュレーション比較~」より引用
https://naota22.com/1122/investment-9/

上記3銘柄を筆頭としたETFは価格変動はありつつも、中長期で上昇傾向となる。従って中長期の視点であれば、早期に購入することが商品を安価に購入できる可能性が高くなり、購入後の運用益の最大化を図ることができる。

(3)流行りやマーケティングに流されず、設計に基づいた運用を徹底する
 本項は投資の運用コストの内、商品の運用手数料を削減するための戦略である。
「詐欺師は高くつく」
 これはウォーレン・エドワード・バフェット氏がアメリカの金融業界や証券市場を批難した際の言葉だ。これはアメリカに限った話ではなく、銀行員や証券マンは自社に利益ある商品を売るため、リスクを棚上げしメリットを巧みにアピールする。勿論、彼らは法令・倫理を遵守するが、事実として彼らが顧客のメリットに主眼を置いていないことは想像に難くない。
 では次に商品のリターンに着目してみる。「AIを導入した市場予測」「S&P500を上回るパフォーマンス」などの様に、高いリターン目標を掲げる投資商品はいつの時代も存在する。しかし、実際の過去の歴史を確認するとそれらが我々にとって有益な商品である可能性は低い。1976年にモーニングスター社が過去20年間の米国株式市場を分析した研究では、S&P500指数を上回るパフォーマンスを達成した銘柄は約12%だった。これは常に「88%の銘柄がS&P500を下回る」という意味ではないが、投資するべき理由がほとんど存在しないと結論づけるための根拠の指標としては十分である。
 最後にそもそものビジネス構造に言及すれば銀行や証券会社の利益は商品のパフォーマンスや顧客のパフォーマンスとは関係がない。彼らは商品に係る運用手数料によって収入を得られる。残念なことに商品のリターンが下がったとしても、その商品の経費率分の収入を獲得できるのだ。つまり、彼らが商品を強くアピールするのは、経費収入により自社の利益が存在するからであり、決して我々の良い人生のためではない。我々はそうした流行りやマーケティングに流されず、適切な商品を選定・購入することが重要となる。

(4) 20年以上の長期保有
 本項は投資の運用コストの内、売買手数料を削減するための戦略である。
 金額や利率は証券会社によるが、株式の売買では1取引ごとに売買手数料が発生する。この時点で明白だが、仮に株式の売買を行い売却時株価>購入時株価となり利益が出たとしても、必ずその利益から手数料が引かれ、場合によってはマイナスとなる。取引の回数が増えれば、手数料に取引回数が乗算される。売買手数料は売買を行う以上は回避できないものであり、プロの投資かであっても株式売買を行いながら必死に高いリターンを求めた結果、指数へ投資し放置しただけのリターンに対して、リターンが悪化していることが様々な研究、データによって既に示唆されている。

1-3 数値検証

 ここで実在のETF(上場投資信託)の実績を元に以下の運用を10年間実施した場合の運用総資産額の比較を行う。
(1) 運用方法
 ①長期保有
  ・期間終了まで売買を行わず保有し続ける。
  ・分配金は再投資とする。
  ・本書で推奨する長期保有の運用。

 ②積極売買
  ・四半期ごとに当月の第1市場営業日に開始値で売却
  ・売却から10日後に開始値で購入
  ・時限式に売買を行い、人間が未来を予測し最適なタイミングでの売買を行えないことを表現する運用。

 ③最適売買
  ・四半期ごとに1回、最高値のタイミングで売却
  ・上記四半期内で最安値のタイミングで購入
  ・売買1回ごとの利益が最大化される様、最適なタイミングでの売買を行う運用。
  ※現実では実現できない。

(2) 条件
 ・銘柄 S&P500
 ・元金 10,000,000円
 ・年リターン 8%
 ・売却手数料 約定金額の0.5%
 ・期間 10年(2014年6月1日~2024年6月1日)
 ・為替相場 期間中は150円/USDで固定

(3) 評価指標
 1) 期間終了時の資産総額
 2) 期間中の費用総額

(4) データ出典
 webアプリ「Kabutan by MINKABU 米国株」よりVOO(バンガードS&P・500 ETF)の過去10年間の実績を日足で収集し、各運用方法の条件に当てはめて集計。

(5) 結果
 各運用方法で条件に基づき10年間の運用を行った結果は下表の通りとなった。
 また各運用方法ごとの運用総資産額の推移を以下のグラフにまとめた。

 結果は10年経過時の運用総資産額が大きい順に③,①,②となる。最大利益は③ではあるが残念ながら③は人間には不可能な運用である。
 現実としてはプロの中でも12%程度でS&P500の運用成績を上回る優秀な成績を得る人物が存在することはデータが示しているが、これには大前提として世界トップクラスの実力が必要であり、個人投資家が再現できるとは考えにくい。彼らには積み重ねたノウハウ、投資に割ける時間・人員のリソース、優れた情報ルートなどトップクラスに到達するための自己・自社での研鑽が必要であり、それらは個人投資家が容易に真似できるものではない。もし個人投資家でも、運良く過去の買値を大きく下回るタイミングで株式を購入でき、買値を上回る売値で株式を売却できることはあるかもしれないが、そのほとんどは運の産物に過ぎない。現代においても特定の手法による特別高いリターンが再現可能であるかという検証をするとそれは数学的に再現可能と判定出来るほどの再現確率は証明されていない。このことから個人において基本から外れた手法を推奨することは宝くじを全力で買いにいくことを推奨することと方向性が同じと基本的に評価出来る。
 また株式の売却・購入する場合には必ず判断の工程が伴い、その回数だけ判断ミスのリスクが生じる。更に検証結果でも明らかな通り、我々の判断が成功であれ失敗であれ、手数料は一律で支払われる確定支出となる。
 以上を踏まえると、株式を長期保有する①が堅実かつ合理的で、再現性のある運用手法であると言える。

1-4 総括

 ここまでで解説した「タイミングを図らず、なるべく早くから適切な商品で長く市場に組み込む」が本書で取り扱う投資論としての原則であり、これを遵守すれば、余程リスクの高い投資商品を扱わない限りは時間経過と共に一定の利益が獲得できる可能性が高い。金融商品取引法に則り、本書では個別の投資商品や銘柄の斡旋は出来ないが、最も合理的な投資はインデックス投資と推定出来る。
 以上で原理原則の解説を行ったが、原理原則は基本的ルールを定めるものであり、全ての道筋を決めるための方針、行動のための計画、実施のための手法を定めるものではない。また今までで解説した内容はあくまで投資についての内容に限定されている。基本的に投資は余裕資金の範囲で行うものであり、その余裕資金が無い状況下では、まず着手することができない。また、なんとか資金を捻出し投資を行い、原理原則に従った運用を行ったとしても以下の様な原因から脱落する可能性が高い。
 (1) 自身のお金の収支として無理な額の投資し、一度継続が途絶えた後、再開ができなくなる
 (2) 下落した際に売ってしまい、その後も恐怖で投資出来なくなる
 (3)投資に関する知識が不足しており、根拠に乏しい情報に流されてしまう
 (4) 投資以外でのお金の使用を過剰に優先してしまい、投資意欲がなくなってしまう
 一度投資を始めれば、日々自分の資産の増減を目にすることとなる。日によってはあなたが苦労して捻出した資金の1割以上が目減りするかもしれない。しかし結論としては投資における日々の評価額の増減に一喜一憂する必要はない。長期的なリターンにのみ着目すれば良い。また短期の変動に振り回されないために適切な知識が重要である。
 本書では投資だけではないファイナンシャル・プランニングに関わる内容の考え方・実践方法・エビデンスを徹底解説している。次章以降は章番号がそのまま手順となり、以下の内容で解説を行っていく。

2.現状把握
 
・あなた日々の収支を効率的に把握する仕組み・システムの構築方法を解説する
 ・自身の収支状況を正しく認識することで、取るべき選択・判断に繋げる 

3.心理整理
 ・自分が人生でどう成りたいか、どうありたいかを深堀する
 ・お金はあくまで人生をより良く過ごすツールの1つであり、あなたの幸せを保障するものではない
 ・人生の目的地が定まらなければ、延々とお金を稼ぎ続けなければならなくなり、その人生は多くの人にとって幸せではない

4.資産シミュレーション
 ・心理編で彫りだした方針をツールを用いて計画へ落とし込む
 ・自分の人生に必要なお金を明確にする

5.支出整理
 
・固定費を整理・削減し、毎月・毎年で投資に充てられる資金を捻出する
 ・自分の人生の方針をと照らし合わせ、変動費を整理する

6.投資解説 
 ・
投資を活用した現実的な収入確保方法を検討する
 ・各投資商材の機能・特性について概要を解説する
 ・本書の方針に沿った運用方法を解説する

2.現状把握

2-1 結論

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