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「いっしょに仕事をする」のが一番の学びになる

「うーん、なんか違うんだよな…」

6年前、当時私の上司だった課長が、私が出した企画に指摘をしていたときのお話です。
なにか違う。なにが違うのか、当時の自分には全くわかりませんでした。
ただ、その課長はヒット商品を生み出す企画おばけ。その課長が言うのだから、この企画ではダメなんだ。それだけはわかりました。

「おもしろくないかも…」
「お客さんの勘どころを捉えていない気がする」

自分なりに試行錯誤する日々が続いたのですが、上記のような意見をもらうばかりで一向にうまくいきませんでした。課長も何がどうちがうのか、課長なりに考えてはくれているものの、言葉にするのが難しく、結局最後には、「こんな形はどう?」と紙面サンプルを作って見せてくれました。それがまあ、グーの音も出ないほど納得の形で、圧倒されたのを覚えています。

“形にするってこういうことか…。”

今日のお昼、焼きサバ定食を食べているときにふと、そう感じたのを思い出しました。


言葉だけで理解できるってすごいことなのかも…

先日、部長と部下の会話の仲介役をやる機会がありました。
部長曰く、
「この企画じゃ、営業的なウリがないんだよ。もっと売れる仕掛けが必要なんだよ」
それに対し、部下曰く、
「どういうことですか。申し訳ないんですが、よくわかりません」

部長のようなアドバイスは、人によっては、「…」となってしまうことがあります。言葉で伝えて理解できるときと、「わかりません」となるときの両方のときがあると思います。後輩の企画を見たり、企業の方との商品開発のお手伝いをしたりしていると思うことのひとつに、言われて理解できることは意外と少ないのかもしれないということがあります。


体験して体感するのが一番

フランスでのパティシエ修行時代、シェフの機嫌がいいときは教えてもらうこともあるのですが、基本的には先輩やシェフの仕草を見ながらそれを真似ることが求められていたように思います。

また、どのように仕事をするのか、どのようにクリエイションを行うのかなどはやはりその職場に入ってはじめて体感できることだと思います。そこで働く人たちの気概や熱量を感じながら、その人たちの仕草やお菓子を作り上げていく過程、またその結果生み出されたものを五感を使って感じてはじめて、「こうやって仕事をするのか」という感覚が芽生えてきたように思います。

これは職人さんならではの世界だとも思うのですが、会社でも同じ仕事をいっしょに行うことで、言葉で説明するよりも理解がはやく、かつ腑に落ちやすいと思っています。結果を出している人といっしょに仕事をする。その中で、物事の考え方や仕事の進め方などを体験し、「そういう風に考えるのか…」「そういう流れで進めればいいんだね」と体感する。これが得られたら、それに勝る学びは他にはないと思います。

最近、素敵な方々といっしょにお仕事をさせていただく機会が増えてきました。体験から得られる学びが今まで以上にありがたく感じています。そのおかげか、今日のお昼の焼きサバはふだんよりもちょっぴりご飯がすすむ味だった気がします。

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