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月とチョコレート

中秋の名月と言ったら、餅、団子、和菓子ですよね。今年も疑いなく和菓子を食べる、そうするのだと思っていたけど、私は9月に入ってチョコレートを買うと決めていた。

私が今年の中秋の名月のために用意したお菓子について書きたいと思います。

『月よりうすいチョコレート噛む』

平野紗季子さんの本を買いに行った日。横に置かれていた月をテーマにした短歌集に

試されることの多くて冬の街
月よりうすいチョコレート噛む

鯨井可菜子

という歌が載っていた。ぱらぱらっとめくってたまたま目に入ったこの歌。チョコレートが妙に心に残って、「月にはチョコレートだ」と何の根拠もなくそう思った。

ケーキでもクッキーでも、あんこでもない。月にはチョコレートが似合う。その日から私は9/17はチョコレートを食べると心に決めた。

チョコレート選び

じゃあどこでチョコレートを買おうか?
チョコレートさえ食べられればそれでいいけど、せっかくなら意味のあるチョコレートが食べたい。数日頭を巡らせて中秋の名月前日にふと思い浮かんだ、デメル。

確か、デメルに薄〜いチョコレートがぎっしり箱に詰まったものが売られてた気がする。

調べると、それは「猫の舌」をイメージしたものだった...!

Les langues dorées(フランス語で黄金の舌✨)

なんと!!最近猫欲(猫欲とは)が高まっている私にぴったり!
それに、このチョコレートはうすい!

『月よりうすいチョコレート』ってあるけれど、月は球体だから厚いとか薄いとか、そういう表現なんてないんじゃない?それとも地球から見る月は平面に見えるからそのことを言ってるのかな?もしかして、うすいって色のこと?

と色々と思索を巡らせて正解はわからないけれど(それが短歌の良さ)、私は厚みの薄さだと思ったから、このデメルのチョコレートはうってつけだった。これを買うしかない!と思った。

けれど、それは一箱2000円する。高いなって思った。

「2000円か...チョコレートに2000円か...中秋の名月にチョコレートを食べたいという思いつきに2000円か...」って思ってしまった。

悩んだ。こんなにぴったりなチョコレートはない。でも、高い。そうやって色々と悩んだ挙句買うのをやめた。別に、金銭的には買えるんだよ。買えるんだけど、今の自分はこのチョコレートをさくっと買える自分じゃなかった。

これは来年の中秋の名月にしようと思った。2025年9月の私はこのチョコレートが買える私でいるだろうか。2000円の、綺麗に敷き詰められた薄いチョコレートが似合う女でいたいと思う。

でも、ネットで何も調べることなく、たった1度しか買ったことないデメル(それも3年前のアプリコーゼントルテ)に、薄いチョコレートがあることを思い出せた私よくやった、と流石に思いました。

デパ地下パトロールが日常茶飯事、伊達に菓子好きとして過ごしてるわけではない、と自分を褒めてやりたくなった。買わなかったけれど。

(この2000円は渋るのに、アイドルのグッズにはさほど悩まずぽんぽん2〜3000円払ってしまうの本当に何、私の中に悪魔でもいるのか)

改・チョコレート選び

気持ちを改めて、次に頭に浮かんだのがメリーチョコレートでした。よく百貨店で見かけるメリー。最近はルルメリーという非常に心くすぐられるブランドもあるけれど、やっぱり王道に惹かれる。

メリーチョコレートの緑色の詰め合わせを選びました。

包み紙も良い。王道の佇まい。

そして、今年は和菓子を食べるつもりなかったけれど、仙太郎をちらっと覗いたら「月うさぎ」なるものが...!揃いに揃ってショーケースに並んで、こちらを見ている。気づいたらやすやすと購入の列に並んでいた。

迎えざるを得ん

以前フランスに留学してた時のホストマザーがメキシコ人で、今でも連絡を取り続けているんですが、日本は今日満月の日で、月にはうさぎがいると言われているからうさぎのお菓子を食べているよ、と彼女に送ったら、「面白い!メキシコでも月にうさぎがいると言われてるよ」と返ってきた。

日本の反対に位置するあのメキシコの月にもうさぎがいるの?世界は繋がっているんだね。

主役は最後にやってくる

希望通りチョコレートを手に入れ、月うさぎまでも用意したのでもう何も文句はない状態なのに、私は帰りに何となく立ち寄ったスーパーで出会ってしまった。

😭😭😭

大きな声が出かけた。可愛い!!!可愛すぎる!!!
にやにやが止まらないし、可愛すぎて眉間に皺寄りまくってたと思う。

「「「宇宙菓」」」

何ですかそれは〜!!!😭宇宙菓ってカテゴリ、初めて聞いたよ😭
そんなのあり!?なしだよ...(大アリです)

月の石は、北海道のお菓子メーカー千秋庵さんのお菓子で、アポロ11号が月面着陸したことを記念したお菓子だそう。(冷静さを取り戻した声で)

その時採取された本物の月の石は白いんですけど、

ブルーべリージャム→スポンジ→ホワイトチョコレート

宇宙菓の方も白いですよ!
和菓子用にいつも使ってる黒いお皿、表面がざらざらしてるので、色も相まって月のクレーターみたいだなと思ったり。

【宇宙菓】ってカテゴリを作り出すこの会社、ただものではない...。発売開始から50年以上も経つ月の石。↑千秋庵さんの公式noteにも書かれているけれど、月に抱いた憧れやロマンをお菓子で表現しようとするその心が素敵!いつまでも残り続けてほしい。

生きてて良かった

私はこういうお菓子に出会う度に「あ〜生きてて良かった...」って思います。大袈裟に聞こえると思うけれど、本当にそう思うんですよね。脳が、心が、細胞が、「生きてて良かった」って言ってる気がします。

こういうお菓子が、私の知らないところにまだまだたくさんあると思うと、本当にわくわくが止まらないし、お菓子と出会う喜びを知ってしまった私は興奮冷めやらぬ日々を送っている。ずっと心に炎が絶えず燃え続けている。

えー本来の月見、忘れてません?お菓子を得ることに夢中で、月見二の次になってる感じ、否めないけれど…。

煌々と光り輝いていました

でも、冒頭の歌に出会ったことで、月のうすさについて、月とチョコレートの相性について考えさせられたし、アームストロング船長もかぐや姫も、月の石のパッケージに載っているあの地球を月から見ていたのか〜と思ったり、日本でもメキシコでも月にはうさぎがいることを知ったり、月についていろんな角度から触れることができたと思う!

用意した3つのお菓子、もちろん美味しかった。我ながら満足してる!

献上

2025年9月、デメルの猫の舌チョコレートが買える私で、似合う私でいることを願って✨

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