【詩】島の灯台

なにかを書くために来たはずの島で
僕は何もせずに
素泊まり三千円の民宿の窓から
一日中ただ島の灯台を眺めていた
朝日が昇り始める前の
暗闇の世界を照らす
漁船の灯りは遠のいていき
次第に青い海だけの世界にかわる
明るいなかでその存在を消すように
静かに立つ島の灯台
日が沈むと
再び暗闇の世界を照らす

あの時はまだ
なにかを書ければ
僕のこれからも 
僅かにでも
明るくなると信じていた
けれど
現実は
暗闇を照らしてくれる灯台なんて
どこにもなかった

今ではもう
自分が真っ暗な海に浮かんでいるのかさえ
わからない

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