「受注」するために心がけていること


■お気に入りのレストラン


人生において、食事の回数は限られているという話があります。
確かに1日3食として、残りの人生で食べられる数は決まってきますよね。
なので、私はなるべく食事を大事にしています。

その中で、行きつけのお店がいくつかあるのですが、
渋谷区東にある「S.E.S」というお店が最近のお気に入りです。


ここは、季節ごとに新しいメニューが登場して、文句なしに全部美味しい。
ワインもグラスで10種類以上常に用意されています。
そして、接客も自分にとってちょうどいい距離感。

味も雰囲気も感動できるレベルのお店は数少ないですが、
ここは自信をもっておすすめできます。(少々値段はしますが、、)
ぜひ、みなさんも一度行ってみてください!


■若いプロデューサーの悩み 「どうやったら仕事が来るの?」


ここからが本題です。

最近、他プロダクションと横のつながりが増え、
若いプロデューサーからこんな質問を受けることが多くなりました。

「どうやったら城殿さんみたく、仕事がたくさんくるんですか?」

私は俗にいう営業(食事に行ったり、ゴルフに行ったり)はあまりしないタイプで、この質問に対して「運と縁ですよー笑」と答えていたのですが、
自分なりに「受注」するために心がけていることってなんだろう?と考える良いきっかけになりました。

今回は、あくまで私が心がけていることを、書いていきたいと思います。
若手へのアドバイス!的な上から目線ではなく、あくまで私の場合です。
結局、いつも仕事をお願いしてくださるお客さんとの相性が全てですから、答えはないものですしね。


■「受注」するために心がけていること


色々と考えた結果、この4つを書きたいと思います。

① 常に他のプロデューサー(ライバル)がいることを意識する。
② 感想と意見と提案を。
③ 現場を大事にする。
④ クオリティーファースト。お金はなんとでもなる笑


① 常に他のプロデューサー(ライバル)がいることを意識する。


お客さんには、自分以外にもたくさんの選択肢(プロデューサー)がいます。 その方にとって、私に期待していることが明確であればあるほど、それが受注につながる理由となります。

他のプロデューサーとの違いをはっきりさせる。

例えば、自分にキャッチコピーをつけるとしたら。
「安い!早い!そこそこうまい!」とか「クイックレスポンス命!時間がない仕事こそ!」とか、とにかく一言で自分の特徴を言えること。

つまり「自分の武器はなにか」を、特に若い時は意識しました。

プロデューサーになりたての頃と、今ではその武器も変わってきていると感じますが、 私が若い頃は「ビデオコンテなら誰にも負けない!」という思いでやっていました。

ビデオコンテを発注される前に、勝手に作ってみたり。
それがお客さんの感動を生み、自分の転機になりました。

今の自分は、そこから多少成長して、 自分の強みは「あとは任せてもらって大丈夫ですよ」という安心感が追加されたかと思います。

とにかく、お客さんの余計な手間や工程を省く。
クリエイティブに関わる重要なポイント以外は、こちらで完璧に進めていけるくらい、お客さんが何を思って、どこを重要視しているかを、いちいち聞かなくても代弁できることを目指しています。

今の自分にキャッチコピーをつけるとしたら、、
「やばい仕事、勝負の時に」とかかな、、笑
それか「ストレスフリー!」とか笑


② 感想と意見と提案を。


プロデューサーには2種類のタイプがいると思っています。
・企画段階から一緒に話し合いながら進めていくタイプ
・決まった企画を粛々とアウトプットまで完璧に遂行するタイプ

もちろん両立することもできますが、どちらかというとどっち寄りなのかは、付き合ってきたお客さんの好みによって決まってきます。

私は前者の割合が高いです。

企画段階からアウトプットに至るまで、お客さんに意見や提案をするタイプで、 それを頼りにしてくださるお客さんからリピートが来ていると感じます。

一方で、その意見がうっとうしいと思うお客さんもいます。
その場合は、後者のタイプと相性が良くなる。

どちらもプロデューサーとして重要な資質ですが、
「自分はこっちタイプの人間です」と割り切ることで、意見も提案もしやすくなり、それが違いを出せるポイントになったと思います。

また別の話ですが、某先輩プロデューサーが、お客さんを「恋人だと思え」と言っていました。そのためには、まず自分がその人のことを好きじゃないと成立しない。 恋人だと思えば、いつもその人のことを考えるし、喜んでくれるために色々するだろ?と。

この話も、①で書いた、他プロデューサーを意識した発言だと思います。

「私と付き合えば、他の誰よりも最高の体験ができる」という自信。
誰よりもいいものを作るために、あなたと伴走したい!という思いが相手に伝われば、お互いに、一緒に仕事をして楽しいと思ってくれるのかなと。

相手に「いいものを一緒につくりたい!」という熱を伝えることは、
プロデューサーの本質でもあり、一番大事なことかもしれません。


③ 現場を大事にする。


プロダクションマネージャーからプロデューサーに上がると、
今までスタッフ寄りだったスタンスから、お客さん寄りの方へスタンスが変わります。

これは役職柄、当然です。
でも、私はなるべくスタッフ寄りのスタンスを忘れないようにしています。

いいものをつくるために、監督やカメラマン、スタッフの意見は重要です。
時にはお客さんから「どっち向いて仕事してるの?」と怒られることもありますが、 私は現場のプロの人たちの意見を伝えて、実現することでクラフトの点数が1点でも上がると信じています。

それが結果として良い広告になると。
なので、ロケハンやアングルチェックには、なるべく同席します。
監督とはなるべくコミュニケーションをとり、信頼を得られるように努力します。

私を指名してくださるお客さんは、(おそらくですが)監督やスタッフとの信頼関係ができていること=クオリティが上がることを期待しているのかなと思います。
そして、現場の大切さを知っている、現場をリスペクトしてくださるお客さんがとても多いと感じます。

プロデューサーになりたての頃は、お客さんの方にばかり目を向けていましたし、そういうものだと思っていました。だけど、実はプロデューサーこそ、いいものを作るためには、現場を大事にするべきです。

このバランス感覚は、非常に重要でどっちに偏りすぎてもダメなので難しいところですが、 少なくとも、私とお客さんとの信頼関係がないと、現場の意見も通りません。

お客さんがどの部分を大事にしているのかをプロデューサーが理解していることが大前提となります。


④ クオリティーファースト。お金はなんとでもなる笑


キープロのホームページにも最初に書いていますが、
「クオリティーファースト」という言葉。ものづくりの一番の醍醐味です。

ただ、クオリティーアップのために大概のことはお金がかかります。
そして、ビジネスですから当然、自社にとって利益を残す必要があります。

「赤字になってまでやる必要はないし、それは相手も望んでいない。」

これ、誤解を恐れずに言うと、違うと思っています。
少なくとも、プロダクションの人間はそう思っちゃダメだと。

ここで書くことは各方面で怒られるかもしれませんが、私が転機になった仕事は、2000万の赤字をだしました。会社からも相当怒られました。

その時、私は会社員(サラリーマン)で、どんなに赤字になっても、給料はもらえます。
でも、作ったCMは一生残り続けます。

私はこの時の仕事を勝負の仕事だと思って、クオリティを最優先にしてプロデュースをしました。まわりにも、「別に給料変わらないんでー笑」と言っていたと思います。

結果、赤字の2000万は、同じお客さんからのお仕事が続いて、トータルで黒字になりました。そして、そのお客さんが周りに評判を広めてくれて今の自分がいます。
その赤字は自分への、そして会社にとっての投資となっていたんです。

今は一応、小さい会社の社長であり、サラリーマンではなくなりましたが、 このマインドは絶対に続けていくつもりです。
実際、キープロのプロデューサー・PMは、一律の売り上げ目標や利益率を設けていません。ノルマも当然ありません。

別に赤字でいいんです。
プロデューサーがそう判断したなら。

そして、それがそのプロデューサーにとって勝負の時だと思ったら、私は全力でその判断を支持します。どんどんいいものをつくってくれと。お金は気にするなと。

なぜ自分がそう思うかは、自身の成功体験に基づいているのもありますが、 そもそも性善説を信じていて、ちゃんと利益を残すというベースは全員にあると信じているからです。

常にどの仕事も利益度外視でとは思っていません。
そこだけ誤解がないように、、苦笑
基本はちゃんと双方に利益が残って、クオリティーを守るという仕事がいいものだと思っています。


■おわりに


色々書きましたが、今回のnoteは自分自身にとって、プロデューサーとして自分を見つめ直すいい機会になりました。

自分ってどういう人間なんだっけと。

このnoteのために、わかりやすく整理して書いたつもりですが、
実は、当たり前のことを当たり前に。普通のことを普通にやってきただけだと思っています。

こう書くと、それで終わりなので元の子もないですが笑
そのレベルが、ちょっとだけ周りよりも高く、細かかっただけなのかなと。

普通の人間がプロを相手にした時、できることって、とにかく一生懸命に誠実に、できることをひたすら考え続ける。やり続けるだけなんですよね。。

自分に厳しく、どれだけものづくりに対してピュアでいられるか。
プロダクション業界・広告業界が、昔ほど元気がなくなっている状況ですが、こういったものづくりに対してピュアな人間を、もっと信じてほしい。

ぼったくりとかじゃなく、ただ純粋にいいものをつくりたいっていう人はたくさんいます。

全然うまく伝わらなかったかもですが、
プロデューサーとして選ばれるためには、違いと感動を生み出すこと。
そのためには、強いものづくりへの思いをベースに、お客さんとスタッフが喜んでくれることを愚直にひたすら考えること。

結局、最後の3行だけでよかったかもしれません笑
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?