「コミュニケーションカード」を紹介します。


■ランチに誘ってくれない。


前の職場では、部長職をやっておりまして、
「城殿部」では色々と独自のルールを作ってやっていました。

デスクのパーテーションは全て取っ払ったり、
部員の似顔絵をイラストにして、オリジナルの水をつくったり、
休日の様子を映像にしてプレゼンさせたり。

当時のオリジナルのペットボトル水

中でも、特に大事にしていたのは、ランチです。

城殿部では、基本ランチに行くときは声をかけて、行ける人はみんなで行っていました。 誰かがメールを打っている途中でも、強引に「飯、最優先だ!」と言って連れて行きました。
(今となっては、ちょっとパワハラ感ありますが、、苦笑)

なぜ食事を大事にしていたかと言うと、
当時の制作部は激務で、食事を摂る時間も忘れて、仕事に没頭せざるを得ない状況だったから。

無理矢理でも食事の時間をつくることで、気分転換をしてほしいと。
その気分転換が、最終的には仕事効率を上げると思っていたからです。

あと、コンビニのご飯は、今と違ってだいぶ不健康だったのと、
なんかカップ麺を食べながら仕事してる姿が、ちょっとカッコ悪いと当時は思っていたんですかね。

今、社長となって。
大きな悩みのひとつは、全くランチに誘われなくなったことです。涙

別にいいんです。
社員同士ではご飯に行っていますし、ちゃんと上長に報告すれば社員同士の食事(撮影後の打ち上げ等)は、経費処理ができるようにもしていますし。

やはり、部長と社長では違うんですかね。。

以上、愚痴でした笑



■コミュニケーションカードって?


ここからが本題です。

このnoteでも何回か触れましたが、大学時代のバイト先「串八」が私の原点になっています。

串八では、バイト終わりに店長へ「コミュニケーションカード」というものを渡すことが決まりになっていました。

コミュニケーションカード。通称「コミケ」は、以下のことに対して手書きで書く必要がありました。(うろ覚えですが)

Q1:お客さまから声と意見
Q2:私の小さなホスピタリティ運動
Q3:〇〇さんのホスピタリティ

バイトが終わってから、これらを記入するのですが、
Q1は、だいたい「『トイレどこですか?』と聞かれて、トイレまでご案内しました。」というのが、バイトの中で定型文になっていました笑(自分はやりませんでしたが)

まあ、めんどくさいんですよ。
でも、ちゃんと書いて店長と色々話して距離が縮まることで、
自分も串八に対しての愛着
というか、もっと串八のためにやろう!と思えたことを覚えています。



■KEY pro版コミュニケーションカードを作りました。


いま弊社で、このコミュニケーションカードの取り組みをしています。
KEY pro版のコミュニケーションカードはこんな感じです。

コミュニケーションカード(KEY pro版)


週に1回、このカードを「手書き」で埋めてもらい、
「対面」で私と会話することにしています。

これを作ろうと思った大きな理由は、2つ。

ひとつは、社員との1 on 1の場所を作り出すことで、
悩みだったり、愚痴だったりを聞いて、チアアップしたいと思ったから。

今、若い社員が辞めていく大きな理由として、
上司との対話が足りないため、承認欲求が満たされないからだと聞いたことがあります。

ちゃんと目を見て、話を聞き、褒める。

そんな当たり前のことを、リモート文化が浸透したことで、 照れ臭かったり、面倒臭かったりして、 疎かになっていないか?と思いました。

なので、メールで送るのではなく、「対面」かつ「1対1」でやることに拘っています。
たった2-3分ほどの面談ですが、自分にとっても学びの場になっています。

もうひとつは、弊社が掲げる「ホスピタリティ」というマインドを正しく理解してほしいという思いからです。

最近、「ホスピタリティ=自己犠牲」と思ってしまい、
「決まりだからやらないといけない」といった、ホスピタリティの本質(心からのおもてなし)から離れてしまっている言動を見聞きしました。

結果として、「なんでここまでやらなきゃダメなの?」と、仕事が嫌に思ってしまうという危険も感じました。

確かに、自己犠牲という側面もあります。
嫌なことにも、笑顔で対応することはサービス業の基本ですから。

ただ、自分が思う「ホスピタリティ」は、いつも美味しい弁当を発注することや、カフェカーを用意するといった、「物理的」なことではないんです。

相手の立場にたって、一番喜んでくれることはなにかを考えて行動し、それで相手が喜んでくれたときに、自分も喜びを受けられること。
その幸せを、まだ知らない社員もいるのではないか。

ホスピタリティは、やれといわれてやれることじゃなく、相手に対して、自分がやりたい。やってあげたいと心から思ってやる行為です。

そのマインドをまだ理解できず、犠牲心が先行してしまった社員に対して。
外部に向けられたその犠牲心を、自分の方にむけてあげて、肯定してあげられたら。 「少なくとも、ちゃんと自分は見ているよ」と伝えることが必要だと思いました。

手書きにしている理由は、実はホスピタリティの原点で、
「手紙」と同じなんです。

字は体を表す。
手紙って手間暇がかかる分、その人のひととなりが表れます。
そして、気持ちが入っているから、感動を生みだす。

タイパの時代に、非効率だと思いますが、効率じゃない部分がある。
それが「手書き」でお願いしている理由です。

社員が、この面倒くさいカード(笑)に対して、一生懸命書いてくれます。

今回は、その一部を紹介したいと思います。



■コミュニケーションカードの一例(3つ)


本当はここでたくさん紹介したくなるくらい、みんないいことを書いてくれています。 今回は特に厳選して、3つほど選んでみました。

●名前を覚える

コミュニケーションカード(宮本)

名前を呼べるかどうか。
これって実は意識しないとできなかったりしますよね。

素敵だとおもったのは、名前を呼ぶことでリスペクトが示せるし、現場の居心地がよくなることにも触れていることです。

そして、ホスピタリティの基本である、笑顔と声かけ。
彼女はいつも笑顔で仕事に当たっていて、その場で「あなたの笑顔も素敵だよ」と伝えることができました。
そして、声かけの大事さも教えることができたと思います。

●スタッフへのリスペクト

コミュニケーションカード(荒木)

独立したてのカメラマンへの発注の仕方について触れています。

発注側がちゃんと配慮すること。
キャリアや実績ではなく、プロとしてリスペクトしているかどうか。
お金のことが最優先にならないように
と書かれています。

こうした物理ではなく姿勢の話こそがホスピタリティだと本人に伝えて、
喜んでいましたし、自分がなによりも嬉しくなりました。

●立場に立つ相手に貴賎をつけない

コミュニケーションカード(竹内)

オーディションでの制作部の意識です。

全力でオーディションの相手をすること。
もちろんいいものをつくりたいという気持ちが前提にないとできないことですが、オーディション参加者へのホスピタリティと、合わせてバックオフィスの方への感謝も書いている点が、とても素敵だと思いました。

どうしても、自分にとって得になる人を選んで、態度を変えてしまいがちです。 そんな中、誰にも見られない部分でもホスピタリティを発揮する姿勢が、彼の良いところで、そこをこれからも大事にしてほしいと伝えました。


以上、3つ紹介しました。

KEY pro社内でも毎回、いくつか抜粋して、張り出しています。
ホスピタリティを発揮した社員(名前が書かれた人)をポイントにして、 積み上げ方式にしています。

コミュニケーションカード(張り出し)

こうすることで、書かれた社員は嬉しくなりますし、 ポイントが足りない社員は、もっと頑張ろうと思います。
もちろん、ポイントが上位の社員には報酬がもらえます。
可視化することで、この取り組みが社長のエゴにならないように…苦笑

少なくとも、自分にとっては「こんなに考えてくれてたんだ」とか、 「あいつは意外とそういう一面もあるのか」など、喜びや気づきも多いですし、
社員との距離が縮まる貴重な場所になっていると思っています。



■おわりに


今回のnoteは、半分社員に対して書いた部分もあります。
KEY proを選んでくれた社員に対して、 自己実現と承認欲求が満たされる場所にしたい。

経営者と社員の間では、どうしても距離が生まれてしまいます。
その距離を縮めるために、色々考えて、実践できるところはしているつもりです。

が、、

今月末で1名、新卒の社員が自主退社することになりました。

彼女はとても優秀で、なによりも頑張り屋さんでした。
私が掲げるホスピタリティの精神を理解し、実践してくれました。
そして、私と会社にとって、たくさんの素敵な結果と思い出を残してくれました。

丁寧に対話を重ねてきましたが、退社の理由も前向きですし、
本人の決断を尊重したいと思いました。

1年半と短い時間でしたが、その子は、どこにいっても活躍できると思っています。 願わくば、このKEY proでの1年半が、今後に役立ってくれたらいいなと心から思います。

今回はコミュニケーションカードをテーマに書きましたが、 正直、社員は激務の中、こんなめんどくさいこと、やりたくないと思います。
そんな中、一生懸命書いてくれている社員の皆さんに感謝しています。
(ただ、やはり大変なので、週1回から月2回にしようかなと思います、、)

「対話・関心・理解」

結局、会社を作るのは人です。
ここを大事にして、これからも頑張りたいと思いますので、
社員の皆さん、大変だけどコミュニケーションカード、出してくださいね笑

今回も長文、ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

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