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【現社】大学入試における時事ネタの扱い②【政経】

前回の続きです。

考え方② 他教科の先生の勘違いが受験生を誤った道に導いてしまう…

 そもそも、なぜ現社・政経はニュースを見れば何とかなるという不易流行が存在するのでしょう。それは、単なる生徒の思い違いという側面もあるかと思うのですが、それ以上にその思い違いを後押ししてしまっている存在=現社・政経のことを知らないのに知ったふりをしてしまっている教員の間違った進路指導が災いしているのではないかと考えています。

 昔のセンター試験についていえば、公民という科目は、資料の読み取りが多いので知識がなくても解けるとか、ニュースを普段から見ているから何となく解けるという実態が少なからずありました(ただし、その場合でも運良くとれてしまっただけのことが多い)。そんな時代に受験生であった現在の中堅教員が、現社・公民=ニュースを見れば何とかなるという自分が受験生だった時代のイメージがどうしても拭えず、現代社会は時事ネタを知っていれば解けるという誤った指導をしてしまう…という現象を生み出してしまうのでしょう。実際の教育現場でも同様の事例を何度も見かけたことがあります。

 さらに言えば、その風潮を助長しているのが、教員同士のマウント合戦です。我々教員が同じ職場の教員よりも賢い&優れていることを強調する方法として、「自分の教科以外の授業も教えることができる」というのがあげられます。理科の教員が数学の指導もできる、社会の教員が現代文の指導もできるなど多様な事例がありますが、ニュースを毎日見ているから地歴公民科の教員でないけど現代社会なら詳しい!という理屈は、自信のない中堅教員が自尊心を高める手法としてよく見かけます。そして、自慢をしやすいのも何も知らない生徒なわけです。進路指導の中で、「俺は公民も得意でさ…」と自慢げに話している教員は思ったよりも多いです。そもそも、その教員が学問に対して不誠実な態度である点が解せません(そういう人に限って、自分の教科の専門性が低いことも多い)。なにより、教員のマウント合戦の道具として使われてしまったために、教育現場の生徒が現社・政経という科目の性質を見誤ってしまうという現状に誠に遺憾です。

 蛇足ですが、「勘違いされやすい」という点から見れば、現代社会は現代文と少し似ています。現代文も普段から使っている日本語なのだから何とかなる!という勘違いが教育現場でいまだ根強く残っています。現代文の勉強の仕方については、柳生好之先生の動画が参考になります。ぜひご視聴ください。

次回の記事はこちら


★ まとめ 大学入試における時事ネタの扱い

考え方① 理論(基礎)から時事ネタ(応用)へという考え方が大事

考え方② 他教科の先生の勘違いが受験生を誤った道へ導いてしまう

考え方③ 公民の先生は時事ネタをどのように使うと良いか?


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