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原油価格のABC② WTIはテキサス生まれ(愚痴日記#33)

原油価格の指標になっているWTIって何なのかを、先輩キャスターMに命じられて調べ中。
ヒントは映画『ジャイアンツ』っていうんだけど、何のことやら分からない。
ホント、意地悪なヤツね。

面倒だな・・と思っていたところに、プロデューサーSが通りかかった。
グッドタイミング!
早速聞いてみた。

「そのヒントじゃ分からないだろうねえ。『ジャイアンツ』は1956年公開のアメリカ映画で、伝説的な大スターだったジェームズ・ディーンの遺作として知られている。映画の撮影後まもなく、彼は運転していたスポーツカーで事故を起こし、わずか24歳でこの世を去ったんだ。で、この映画の舞台になっていたのが、テキサスの油田なんだよ。」
こういうと、Sはスマホでジェームズ・ディーンの写真を見せてくれた。
私の趣味じゃないけど、アメリカ人が好きそうな顔ね。

「さあ、本題だ。WTIはWest Texas Intermediate、西テキサス地方で採掘される原油の中で、平均的なものという意味なんだ。」
「テキサスの原油なんですね。サウジアラビアかなって思っていました。」
「高校で習わなかった?世界一の産油国はアメリカだ。その中心地がテキサスなんだ。ちなみに、2021年の原油産出量のシェアを見ると、第1位はアメリカで14%、第2位のロシアが13%、サウジアラビアが第3位で12%だ。この後にカナダ、イラク、中国、UAEなどが続いているけど、トップの3カ国との間にはかなりの開きがある。原油価格の動向を探る上では、こうした構図を知っておくことも大切だね。そして、産出量2位と3位が加わっているのが、OPECプラスというわけだ。」

「OPECは知ってましたけど、OPECプラスは初耳でした。」
「OPECはサウジアラビアを中心とした13カ国が加盟している組織で、「Organization of the Petroleum Exporting Countries」、『石油輸出国機構』の略だったね。かつては世界シェアの5割を占め、産出量を調整することで、価格を支配していたOPEC。ところが、2021年のシェアは36%、ロシアなどの産出拡大で、価格支配力が低下してしまったんだ。そこで、ロシアなど新たに10カ国を加えたOPECプラスへと拡大させ、価格支配力を回復させようとしているわけだね。」

「でも、価格の指標はテキサスの原油なんですね。」
「その通りだ。OPECプラスは、原油の供給量を調整することはできるけど、価格そのものは原油市場によって決められている。原油には産地や種類によって様々なものがあるので、価格の基準となる『指標原油』が誕生したというわけだ。」
「アメリカを中心とした北米市場ではWTI、ヨーロッパでは北海で産出される北海ブレント、中東を含むアジアではドバイ原油だ。その中で、最重要視されているのがWTIなんだ。」

「アメリカが世界一の石油消費国だからですか?」
「それもあるけど、ポイントは先物取引にあるんだ。」

先物取引?先輩キャスターMもそんなこといっていたし、
原稿にもWTI先物価格って書いてあったな。
「先物って、いったい何なのですか?」

「教えてあげたいけど、今は時間がない。ヒントをあげるから、少し自分で考えてみなさい。」

え?またヒント?
はやく教えて欲しいんだけど・・・・。

「ヒントは『バーチャル・リアリティ』だ。」

こういうと、プロデューサーSは、会議があるといって、スタッフルームを出て行ってしまった

仮想空間?原油が仮想ってこと?
また、取り残されてしまった。
先物取引って、何なの???


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