【吸血鬼×運命】神父はヴァンパイア…1

【吸血鬼×運命】神父はヴァンパイア…

~~~~本編~~~~
〇森の奥(夜)

【SE:銃声】

あの女…
っ…まさかこの俺様がヴァンパイアハンターにやられるとは…

とにかく銀の銃弾でこれ以上撃たれるのは勘弁だ。

【SE:逃げる足音】

○教会の裏口

フーっここまで来れば…まさかヴァンパイアが教会の敷地に逃げ込むとは思わないだろ。

(荒い息遣い)
はぁはぁ…まさかあの雰囲気の中で撃ってくるとは…

新鮮な血を吸えば直ぐにこんな怪我など治る…

…そろそろ朝日が昇る…
夜までここで休んでから女(エサ)を探しにいくか…

【SE:裏口のドアの開く音】

…誰だ!あぁここのシスターか…

(駆け寄るシスター)

近づくな…これぐらいの怪我、大丈夫だ。
おい!何をする。

お前…俺はヴァンパイアだ。教会の中になど入れるわけがない。

やめろ!傷口に触るな…
…あんた今の俺の話を聞いてたか?

わかった…中へ入ればいいんだろ。
肩を貸せ…

【SE:ドアの閉まる音】

人間の薬など意味がない。
じっとしていれば夜には出ていく。
一人にしてくれ…

【SE:銃弾が傷口からこぼれる金属音】

どういうことだ…
一度、ヴァンパイアの体内に入った銀の銃弾は絶対に取れないのに…
それをこうもあっさり抜くなんて…
いったい何ものなんだあんた…

笑ってないで答えろ!

【SE:ドアの閉まる音】

○教会(夜)

まったくなんでヴァンパイアの俺様がこんなとこにいるんだ。
あのシスターは何者なんだ。

(あくびして伸びをする)
ふわぁ~

(ベッドから起き上がる)
この声は…お祈りか…にしても変わった教会だな。
こんな夜にお祈りをするなんて聞いたことがない。

まぁ、どちらにしてもここは長居する場所じゃないな。
そろそろ出るとするか…

【SE:ドアのノックの音】

誰だ。

これはこれはシスター、何か用か?
この俺様にお祈りをしに来いと言うわけじゃないだろう。

ばかか…初めに言ったろ。
俺はヴァンパイア。
誰が好き好んで十字架のある場所に行くかよ。

…そこ、どけ、邪魔だ。

ここを出ていかせてもらう。

なんだその顔…流石の俺様でもシスターの血を吸うのは気が引ける。
だがヴァンパイアは人の血を吸わないと生きてけない。
ここに居ても食餌に有りつけそうない。

はぁ?あんた馬鹿か?
俺がここ住んだら若い女はみんなエサにするぞ。

流石のそれはまずいだろう。だから出て行く。

まったく…俺の話を聞いてたか?
ここにはエサになる女も居なければ、苦手な十字架に囲まれていつまでも居れるか。

(シスターが手を引いて行く)

おい、どこへ連れていく。

【SE:二人の足音】

【SE:重いドアの開く音】

○礼拝堂

(礼拝堂にあるものがない事に驚く)

ない?本来ならあるはずの十字架もマリア像も何もかもがここには無い。

何故、ここは…教会だろ?

そう言えば、お祈りが行われているのは夜…

ふーん…何か面白い事がここには隠されていそうだな…
俺がヴァンパイアだって言った時もあんたは微動だにせず平気な顔をしていた…

そうか…ってはぁ…(びっくりする)

俺様が神父?
あんた頭は大丈夫?まさか本気で言ってる訳じゃないよな…

(笑)馬鹿かよ…
ヴァンパイアが教会にいるって言うだけでもおかしな話なのに…
さらに神父?まったくあんたの冗談に付き合うつもりはない。

執拗!(しつこい)
それでいいのか?ここは教会だろ?

(しばし間を空ける)

どうやら無理のようだな。
じゃあ出ていくとするか…

(好きにすればいいわ)
(そのシスターの言葉に振り返る)

今、なんと言った?

(好きにすればいいと言ったの)
(シスターに近づいて)

それ本気で言ってるのか?

そうか…なら先にあんたの血を貰おうか…
俺の好きにしていいんだろ。

新鮮な血が吸えてここには十字架もない。
教会の仕事のお祈りは夜だけそうなれば陽の光浴びる心配もいらない。
俺にとっては願ったり叶ったりだ。

さぁ首を差し出せ…

【吸血開始】
(シスターの血は人間のものでは無いため吐き出します)

うっ…なんだこれは!

【吸血終了】

あんた人間じゃない。
この世のもんじゃないだろ?

(シスターの人型が崩れて灰になる)

はぁ…参ったな…灰になっちまった。

仕方ない…シスターの部屋になんか残ってるか…

【SE:足音】
【SE:ドアの開く音】

日記かぁ何か…

あった…これだ。

【SE:ページのめくれる音】

そういう事か…
しばらくは退屈しなくて済みそうだ。

シスターも女だったんだな(笑)
自分か死んだ後もなお恋人の帰りを待っていた…か。
まぁ来たのはその子孫の俺様だけど…
せいぜい飽きるまで楽しませてもらおうとするか…

○礼拝堂(夜)

これでお祈りは終わりです。

…分かりました。
この続きは懺悔室でお聞きしましょう。
きっと神はお許しになりますよ。

【SE:足音】
はぁこの話し方だけは慣れない…なんとかしないと…(ブツブツと文句を言いながら歩く)

○懺悔室

…どうした。何か懺悔したい事があるんだろ?早く話せ。

(笑)普段と話し方が違うと言われてもこれが本来の俺様。
おっと…逃げんな。
さっさと跪け。そして懺悔しろ。

(匂いを嗅ぐ)お前…随分と美味そうだな。
バカか(笑)別にいやらしい事なんか何もしねぇよ。

寝起きで腹が空いてるんでな。ちょっと食餌をさせてもらうだけだ。

【吸血開始】
(吸血シーンはお任せしますので存分に吸ってください)

すぐに終わる…じっとしていろ。

やっぱり…美味そうな匂いだと思った。

なんだその顔(笑)

俺様に血を吸われて恍惚の表情をするか…

まだだ…もう少し吸わせろ。

【吸血終了】

ふぅ…お前…随分と甘い血をしてるな。
そうだ!ここで俺の世話をしろ。

どうせ帰っても親が勝手に決めた嫌な奴のところに行かされるんだろ。
ここにいればそんな奴ところに行く必要もなくなる。
もっといい暮らしをさせてやろう。

お前には拒否権などないから頷くしかないんだがな。

ここでの暮らしが楽しくなって来た(笑)

【SE:コウモリの羽音】

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