【吸血鬼×運命】神父はヴァンパイア…4

【吸血鬼×運命】神父はヴァンパイア4

~~~~~~本編~~~~~

〇教会・書斎
(イライラした口調で)

いつまでそこに立っている。
お前はずっと壁に張り付いている気か?

教えた通りに歩いてみろ。

なんだその歩き方は…まるでゼンマイ仕掛けの人形だな。
手と足が一緒に出ている。カクカク動くな!
足元を見るな!前を向いて胸を張れ…

もっと優雅に歩け!
ここまで来るのにどれだけ時間をかける。日が昇るぞ!
下を向くな!
何度、言えばわかる
いつになればまともに歩ける…

おい!また背中が曲がって…

ったく…見ろ、あの猫の方がよっぽど優雅に歩いているぞ。
【SE:猫の泣き声】
少しは見習え…この田舎娘が!

文句が言いたければ、まともに出来るようになってからにしろ。
お前は食事のマナーもなってない。

ふっ(笑)
確かにヴァンパイアは人間の食事はしない。だからテーブルマナーを知らないとでも?
お前が思っているより人としてもヴァンパイアとしても俺様の地位は高いんだ。
パーティーや舞踏会へも普通に顔を出す。
だがその時に連れている女がこれでは…見てくれだけで中身のない女は不要だ。

俺がそう決めたんだからそうする。
お前に拒否権はない。
淑女になって誰からもお前が欲しいと思われるようになれ。
無駄な事を考える暇があるなら、完璧を目指すよう努力しろ。

以前に比べれば見た目はマシになったが、俺がその程度で満足などする訳がないだろう。
今、お前のためにドレスも宝石も最高級のものを用意させている。
それに見合うだけの女になれ。
その為の努力を怠るな、わかったか!

もう一度ここまで歩いて来い。

【SE:ヒールで歩き足音】

顔をあげろ、何度も言わせるな。
絶対に足元を見るな。
フラフラするな。立ち止まるな!

相手の顔を見て微笑んで歩け!

【SE:どっさと倒れる音】

ハア~そうやってビクビクと怖がって歩くから転ぶんだ。

(ほんの少し優し気に呆れ口調で)
…ほら手を貸せ。
大丈夫か…踵の高い靴で歩くのはまだ難しいか?
脚を見せろ…

どこも痛めてないか?

(匂いを嗅ぐ)
クンクン。
随分と汗ばんでいる…

ただ歩くだけでこんなになるとは…まあいいだろ。
その汗はお前に努力の証というわけだ。
褒めたわけではない。認めたわけでもない。
だから嬉しそうにこっちを見るま。

(汗ばんだ匂いに誘われて喉が鳴る)
(急に態度を戻して)
そのまま頭を傾けて首を差し出せ。

レッスン中など関係ない。口答えするな。
こういう顔をする時のお前の血は美味いからな…

【吸血開始】
(お任せです。台詞アリ)

っん?いつもと違う…

【吸血終了】

(抱きしめたまま囁くように)
お前の血は吸うたびに変化があって面白い(笑)
濃く甘い好みの血に仕上がっていく。
ずいぶんと生きてきたがこんな女は初めてだ。

(冷たく突き放す)
次はダンスのレッスをする。
その汗をシャワーで流し着替えて来い。

【SE:ヒールの足音】
【SE:ドアの開閉音】

【シーンチェンジ】
〇大広間

【SE:ドアの開閉音】

お前、ワルツはわかるな。

…なぜ返事をしない?黙って頷くな、声に出して「はい」と答えろ。

なんだその顔…
もしや、言葉の発音を訂正されるのが嫌で話さないのか?
甘えるな!そんな事ではできるようにならないぞ。

返事は?

ではレッスンを始めるとするか。

キョロキョロするな。パートナーは目の前に居る。
ダンスも一流の俺様が講師だ。有難く思え…
まずはここまで優雅に歩いて来い。
さっきの様に転ぶなどという醜態はさらすなよ。
教えた通りに真っすぐ歩け。

【SE:ヒールの足音】

ん…歩き方はだいぶマシになったな。
なんだその嬉しそうな顔…マシになっただけで合格点ではない。。
その緩んだ顔を止めろ。
まったくこの程度で満足するな。
もうお前は以前のような田舎娘ではない。
それを自覚しろ。

初めは音楽に合わせて身体にそのリズムを叩きこむ。

【SE:ワルツ曲】

手は相手の手に添えるだけだ。
もう片手はそのまま。

…このまま相手に全て委ねろ。
下を見るな。そのまま相手の肩越し…

ばか…顔を見るんじゃない。

ワルツは三拍子、リズムを合わせろ…

ワン…ツー…スリー…

ワン…ツー…スリー…

今度はもっと大きく…

おっと…転びそうになったら…相手の手を掴め。
そうすれば背中にまわしている手で支えてくれる。

ばか…一緒に転ぶわけがないだろ。

もっと続けるぞ…

イテっ…おい、いま脚を踏んだだろ…先走るな…

いくぞ…もう一度…

ワン…ツー…スリー…

ワン…ツー…スリー…

(徐々に音楽をフェードアウトさせて下さい)

【少し間を空けて】

スロースロー…ここでチェンジからのターン…

大丈夫だ…踊れるようにはなったが優雅には程遠いな…

息が上がっているな…やはり人間は体力がない。
たったこれだけしか踊っていないのに足元がふらつくとは…

そう言えばお前、なぜ礼拝堂に来た。
そこで男と親し気に話をしてたな。
なぜ黙る?

(ぐっと抱き寄せて)
どういうつもりだ…言いつけを守らず男に媚を売るとは?
自分が誰のものか自覚しているか?
このベルベット様な美しい髪も…シルクの様に滑らか(なめらか)肌も…その輝く瞳も…

すべて俺のものだ…

(無造作に噛みつく)
【吸血開始】
(お任せします。初めはイラつき…最後は愛し気になるようにお願いします)

ビジョンブラッドのように赤いこの血の一滴まで…
(ビジョンブラッドとは←最高級のルビー(赤)を示す名称)

誰にも渡すつもりはない。

【吸血終了】

(愛しくなってきつく抱きしめるがハッとして突き放す)
(このシーンについて)
台詞無しで息の演技だけでヴァンパイアの心の変化を表現できますか?
自分の中に湧いてきた今までにない娘への愛情と嫉妬に戸惑うヴァンパイア。

今日はここまでだ…もう部屋に戻れ…
早く戻れ…出て行け。

【SE:急ぐヒールの足音】
【SE:ドアの開閉音】

【SE:椅子にドサッと座りこむ】

一体…この感情は…

【SE:猫の鳴き声】

珍しいなお前が膝にのってくるとは…
その何もかも見透かしたような目…どこかで見たことがある。
お前は…

to…be continued

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