部下のモチベーションを下げずに耳の痛い話を伝える伝え方〜本音で話しよう!〜
さて、本日は「私、部下に厳しい事が言えないんです」というお悩みに対する続編です。
前回、"やり方”より”あり方"が大事。嫌われる事を恐れず、部下と真正面から向き合ってくださいとお伝えしました。
しかし、上手く行く見込みが無ければ、人はなかなか行動が起こせない生き物です。(前にも書きましたが、人の行動を止めるのは"失敗の恐怖"と"拒絶の恐怖"という2つの恐怖の感情ですので)
なので、本日はタイトル通りに、部下のモチベーションを下げずに、耳の痛い話をきちんと受け取って貰う伝え方をお伝えしたいと思います。
その方法は、以下の4ステップから成ります。
◆ステップ1: 許可をとる
◆ステップ2: アイメッセージで率直に伝える
◆ステップ3: 本当はどうなのか?を相手に問う
◆ステップ4: 相手の言葉を聞き対話する
です。
それぞれのステップについて説明します。
◆ステップ1 : "許可をとる"とは?
「今から、もしかしたらあなたにとって耳の痛い話になるかもしれないけど、お伝えしても良いですか?」と文字通り、相手の許可を貰うことです。
これは2つの意味で大事なプロセスです。
1つ目は、「これから160kmの大谷翔平みたいなストレートを投げるよ。」と予告して、相手にきちんとミットを構えて貰うためのプロセスです。
相手にこれから伝える厳しい内容を受け取る為の準備をして貰うので す。
2つ目は、人間には一貫性の法則というものがあります。
自分で「良いですよ」と許可を出してしまったら、後から拒絶することは出来ないのです。即ち、最後まで聞かなければならないのです。
◆ステップ2 : アイメッセージで率直に伝える
について説明します。
アイメッセージとは英語の "私" を指す "I" の事です。
以下、英語を使って説明します。
I see : 私には〜〜〜〜〜のように見えています。
I hear : 私には〜〜〜〜〜のように聞こえています。
I feel : 私は〜〜〜〜〜〜のように感じています。
I think : 私は〜〜〜〜〜〜のように思ってます。
と、私を主語にして、相手の言動をみて、普段から思っていること、感じている事をストレートに伝えます。(ここで普段面と向かってはなかなか言えない事、本音を曝け出します)
アイメッセージで伝える事が何故大事なのか?ですが、
"貴方の感じ方は、相手にコントロールができない事実だから"です。
原因と結果の法則で言えば、相手の言動があって、それを見て聞いて、貴方が何かを感じているわけで、貴方がそれを感じている事は事実であり、それを感じないでくださいと、相手がそれに対して文句をいう事は出来ないのです。
相手は「ああ、そうなんですねー」と受け取るしかないのです。
ここまでは大丈夫ですか?
◆ステップ3:
本当はどうなの?と相手に問う
について説明します。
ステップ2は、あくまでも貴方の受け取り方、感じ方であってあなたの主観です。即ち、それが真実かどうかはわかりません。
もしかしたら、貴方が相手に対して、サングラスを掛けて見ていて、偏った見方をしているのかもしれません。なので "決めつけ" にならないように相手に問うのです。
例えば、以下のような感じです。
「私には貴方の言動が何か、私や会社に対して、不満があるように見えてしまっているのだけど、実際どうなのかな?私が何か穿った見方をして、貴方に言いがかりをつけてしまっているのかな?だとすると大変申し訳ない話なので、実際のはどうなのか聞かせて?」
みたいな感じです。
そして、
◆ステップ4:
相手の話を聞いて対話する。
ステップ3の相手の答えを聞いて、更に話を深めて欲しいのです。
「はい。そんな風に見えているのですね。いや、特に大きな不満というのはないのですが、この場をお借りして強いて言えば、マネージャーは他のメンバーにはチャンスを与えているのに、私にはチャンスを与えてくれないな、とちょっと悔しく思っていたのは事実です。」
「ああ、そうなんだ。**さんはチャンスが欲しかったのだね。そして、私が**さんには、チャンスを上げようとしていないと感じていたんだ。それはごめんなさい。そんな風に感じさせてしまっていた事についてお詫びをします。言い訳ではないのだけど、**さんが、もっとチャンスを欲しいと思っている事を知らなかったので…。
でもそれも、本当は上司の私がそのことを感じてあげなきゃだったのだと反省するのだけど…。今までごめんなさい。
で、**さんは、どんなチャンスが欲しいのかな?どんな事ができるようになりたいの?どんな活躍がしたいのかな?この機会にぜんぶ教えて!」
みたいな感じです。
上記の例のように、上手く話が進むかは分かりませんが、少なくともステップ2で、あなたが普段思っていること、感じていることを率直に伝えたことにより、今までよりは1歩踏み込んだ話ができると思いませんか?
私はこう思います。
"腹に一物を持ったまま、顔だけニコニコと笑顔浮で話をするのは不誠実ではないか"と。
思っていること、感じていることがあるのであれば、それを本音できちんと伝え、相手に聞いてみる事の方が、頭の中や心の中で悶々としているよりも、よっぽど精神衛生上も良いし、何よりもより良い人間関係ができるのではないだろうか、そう考えています。
若かりし頃、まだ私が、心理学などを学ぶ前、私はある制作チーフと仕事で大喧嘩をしたことがあります。
血気盛んな私は、普段から、その制作チーフの言動が気に入らないところがあり、あることがきっかけで、それを本人に対して面と向かってぶちまけてしまったわけです。
すると、制作チーフも”売り言葉に買い言葉”で、私に対する不満を投げ返してきました。「あなたは私が悪いと、全部、私のせいにするけれども、営業のあなたが本来やらなければいけないことが、そもそもできていませんよね。そっちの方が問題でしよ!」丁寧に言い直せば、そのような内容でした。
お互にまだ若く、口喧嘩になってしまったわけですが、私も先輩の彼もお互いに本音をぶち撒けたことで、その後の関係性はとても良くなりました。
相手が何を大切にしていて、何をどう感じるのかということがお互いによく知れたので…。
まさに"雨降って地固まる"と言うやつだと思います。
上記に書いた、ステップ1〜4に沿ってやれば、歪み合いになったり、口論になることなく、本音の話ができると思います。
ぜひ、試しにやってみてください。
何度も言いますが、”やり方” より ”あり方” の方が大切です。
相手に対して負の感情を持ったまま、笑顔で何も無いように振る舞う事は、とても不誠実だと思いませんか?
お互いに何でも、思っていることを本音で話ができる関係性を作りたいと思いませんか?
今日はとても長くなってしまいました。
この辺で失礼させていただきます。
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