#3 雨音

傘の上で雨粒が踊る
ちょっとうるさいね、って笑う君
透明なビニール越しにみる世界は
どんよりと灰色に染まっている
私はうれしい
あなたが雨を「音」として感じているから
ポツポツ ザアザア
色んな音があるけれど
すべて私たちの体で響いている
聞こうとしない人たちは
雨をどう感じているのだろう
そもそも感じようとしているのだろうか
水溜まりをひょいと、とびこえる君
紺色のスカートが揺れる
栗色の髪が少し濡れている

梅雨は今年もやってきた
私の隣に君はいない
透明な傘で雨音を響かせながら
あの頃を思い出す
また君と傘をさして歩けるなら
今度は紫陽花でも見に行こうよ


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