『おみおくりの作法』
<シネマでTOLK&本deコミュニケーション⑳>
一昨日の金曜日、イギリス・イタリア合作映画『おみおくりの作法』(原題『STYLE LIFE』)をWOWOWで観た(2013年公開)。
地味な映画で楽しい気分にはならないが、何だかホッコリして良い映画だった。
「あれ? この物語は最近阿部サダオ(役者名の別のオの字が出ない。買い替える前のパソコンでは使っていた字なのに)さんの邦画で観たよ」(wowow)と思って調べてみたら、『アイ・アムまきもと』という邦画が2022年に劇場公開された。
日本版リメイクを見たときも、愉しい気分になる好きなタイプの映画ではないが何だか良いな……と思った。
イギリス・イタリア版も日本版リメイクも、好評だったようである。
洋画のほうは、ケニントン地区の民生係の男性が、孤独死した人の身寄りを探す。真面目で誠実で仕事熱心。一人一人に時間をかけすぎるので解雇される。解雇までの残り少ない期間に彼は最後の仕事に奔走する。
ラストはハッピーエンドでなかったのがショックだった。
リメイクの邦画は市役所の「おみおくり係」で働く男。一風変わった人物だが誠実で仕事熱心なのはイギリスの主人公と同じ。ラストシーンが同じだったかどうかは覚えていないが、ウベルト・パゾリーニ監督・脚本に、ほぼ忠実に描かれている。
孤独死については市役所が担任するのか、ちょっとネットで調べてみた。
身内を探してちゃんとした葬儀を執り行うとは考えられないが孤独死の遺体を火葬してくれるのかなと思って調べたのだが、そんな記事は載っていない。身寄りのない死者は、自治体が現地で火葬し無縁墓地に葬ってくれるらしい。
孤独死は、まず救急車か警察に連絡。死亡が明らかな場合は警察が現場検証や遺族への連絡を行うらしい。
映画では自治体の民生係とか市役所の「おみおくり係」とかになっているが、市役所の関与はネット情報に記されていない。
昔、新聞の求人欄に独居高齢者宅を訪問する募集記事が載っていた。あのころは自営仕事が忙しくて応募できなかったが、今その仕事をやりたい。孤独に暮らしている高齢者のお役に立ちたい(本人が孤独に暮らしている高齢者だが今現在は元気で健康、行動力もあるし気力も充分)。
死後が心配な身寄りのない人は……
①生前に葬儀会社と契約。火葬のみを請け負う安価な直葬もあるらしい。
②成年後見人または死後事務を担任してくれる人と生前に委任契約する。
死後事務受任者は死亡届けや各種手続きを行うことはできないと書かれている。委任契約を結んでも法律面から業務範囲に限界があるというのが実情らしい。
私の母は自宅で夜中に亡くなった。入院・手術でお世話になった病院に連絡したが、なぜか警察がやって来て(動揺していた私はよく覚えていない)最初私は容疑者だった。
容疑はすぐに晴れ、死亡診断書は警察病院の医師が用意してくれた。
今現在は元気で健康な私も、70代半ばで夫も子供もいない独居生活者。いま社会で大きな問題になっている「孤独死」の対象者である。
この1~3年孤独死するようなことがあれば、家主の県営住宅が保証人の兄に連絡する。しかし私が不安なのは、兄は9歳上。順番的に兄のほうが先に逝く。甥や姪も居るが懇意にしていない。誰も私の死後を面倒見てくれないだろう。
生前に葬儀を依頼できる。遺品整理も各種手続きも依頼できる。しかし、どこに何を依頼するにも費用がかかる。情けないことに大阪から地方へ移住後の私は、日々生きる…食べることだけで精一杯、余裕のお金がない。
でも、「死後を依頼する費用は必需」と私は映画を観て痛切に思った。貯えなければ。または葬儀費用額を受け取れる保険に入る?
(死者が生活保護を受けていた生活困窮者は「葬祭扶助」が受けられるそうである。喪主または葬儀社が申請できるらしい。支給額は20万円前後とか)
追記……以前何かで読んだが、死後に必需なことをメモ書きした用紙を筒に入れて冷蔵庫に入れておくとよいらしい。全国的にこの方法がポピュラーということでもないが家探しするより見つかりやすいだろう。
私の場合、救急車で運ばれて意識不明の場合のために、必要最小限のことを書いたメモを外出時は常時提げているミニ布バッグに入れている。孤独死のときのために……葬儀は不要、火葬のみ希望。お墓は大阪府箕面市の勝尾寺に有るなどのメモも冷蔵庫に必要?
用意しておこう。人生いつ何が起こるかわからない。