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名札をつける優しさ/デイサービス看護師が語る

私の働くデイサービスでは
職員は名札をつけている。

ただ、数年前までは
その名札をつけたり、つけなかったり
皆が当たり前に
必ず付けているわけではなかった。

でも私は、勤め出してから
ほぼ100%で付け続けてきた。
そこには、ちゃんとした想いがあったからだ

私の勤めるデイサービスは
運動をするためのデイサービスだ。

多くの人が想像する『デイサービス』の
イメージとは、まるで違うと思われる。

どんな方がご利用になっているかというと
皆さんお歳の割にとても若々しい方が多い。

『おじいちゃん、おばあちゃん』というよりも
『おじさん、おばさん』の方が似合う。

そんな高齢者の方々からよく聞く言葉。
「名前を聞いてもなかなか覚えられんわー。本当に頭がダメになったわ。」

それを聞くと、私はこんな風に感じる。

せっかく知り合って
我々職員とも気さくに話せる関係になったのに
名前を覚えられなくて申し訳ないという思い。
忘れっぽくなってしまった
ご自身を卑下する気持ち。

どんなに若々しくてシャキッとしておられる方でも、年相応に記憶力は低下していく。

明るく笑い話でおっしゃることも多いけど
そこには、若い頃に比べて出来なくなった
切なさを感じることも多い。

だから、私はこう答える。
「私が名札をつけているから、覚えなくても大丈夫。こうして楽しく話せるのが一番です。」

私達が名札をつけていれば
高齢の利用者さんに
「申し訳ない」気持ちを抱かせなくて済む。「私ダメになったな」って、
ご自分を責めさせなくて済む。

『名札をつける』たったそれだけで
高齢者さんの負担を減らし
優しさを提供できるのだから

私は必ず名札をつける。

私達も、もれなくいつかは高齢になる。
他人事では全くない。

そう思うから、小さな気遣いをすることに
何の負担も思わない。

いつかは私も、誰かのお世話になる時がくる。
だから、人を助ける力がある今のうちに、
自分の優しさを提供したい。

『人のために私はたくさんエネルギーを使ってきた』と自負できたなら、誰かの助けを借りる日が来ても、申し訳なく思う気持ちは少なくなるんじゃないかなぁ。

そんな風に思いながら
人に親切にすることを惜しまずに
毎日を過ごしている。






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