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メンヘラコミュ症ホステスになる❊初出勤❊

専門学校に通いながらホステスをしている同級がいた。
その子のつてで、ホステスデビューをするお店を紹介してもらった。


その店は繁華街にビルを所有する大ママが、経営するクラブだった。
クラブの他に、パブ、スナック、ボーイズバーも経営するやり手だった。

大ママは、「この店は水商売の登竜門って言われてる店で素人感を売りにしてるから、安心して働いて」と言ってくれた。


でもそんなに甘くはなかった。


私以外のレギュラーキャストはどっぷり夜に染まったお姉さん方だった。
中卒で夜の蝶になったゴリゴリの大ベテランホステスの桃子さん。
ヤンキー上がり顔面偏差値レベル上の上、断トツNo.1の加奈さん。
オッパブ上がりコミュ力オバケのなっちゃん。

昼職と掛け持ちをしているお姉さん2人に、実家暮らしをしながらゆるゆると自分のお小遣いを稼ぐお姉さんが2人、で構成されていた。


素人感ゼロのレギュラーメンバーに入った私は、浮きまくっていた。
見た目も中身もお子ちゃますぎて、そのメンバーの中にいることが居た堪れなかった。



初出勤の日は走馬灯を見ているかのようにあっという間に時間が過ぎた。

自宅につくと緊張の糸が切れ、それと同時に疲労感と何一つ仕事ができなかった無力感で、玄関にへたり込みしばらく動けなかった。


ようやく意識を取り戻した私は玄関で号泣した。


私、やっていけるのかな………


でも私にやれない、やらないという選択肢は用意されていなかった。

ホステスでやっていけなければ死ぬ!という覚悟で家を出たのだから。

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