一緒にこの世界を生きていけたらいい
この人いいな、と感じると
その人になりたいと思ってしまう。
別々の者同士ではなくて
同じものになりたい。
無意識に動作を真似したり
口調や笑い方、
話すときの間合いなんかが似てしまうのは
そのせいだろう。
他人と自分の境界線はいつも曖昧で
どんな人にもほんのり好意を寄せている。
だからどんな人からでも
拒絶されるとほんのりかなしい。
私には私の意見というものがないと感じる時もある。反対意見を聞けば「そうかもしれないな」と思うし、強く主張されれば「たしかに」と納得する。
好きなものはたくさんあるが
嫌いと主張できるものはほとんどない。
自分の意見はあるが
貫き通そうとは思わない。
これが私だ、と
主張できるものがない人間は
自分が何を考え、
どんな人間なのかがわからないので
「あなたじゃなければだめだ」と言ってもらえる仕事や恋愛を心の拠り所にしてしまうんだろう。
もちろん私のことだ。
ここで思いを言葉にするようになってから”誰かの唯一無二になりたい欲求”が少なくなったと思う。
なくなったと言いたいところだけど
それはちょっと言い過ぎだろう。
考えを言葉にするだけでは足りず、
凸凹で不恰好でも
なんとか文章にしてみてはじめて
自分が何を考えていてどんな人間なのかがわかる。(気がする)
自分の輪郭が見えてくると
あえて他者とまるごと一つのものになりたいとは思わない。
違うもの同士として
先を歩いたり後ろから追いかけたり
たまに手を繋いだりなんかして
一緒にこの世界を生きていけたらいい。
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