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静けさ

What’s this!?
玄関のほうから彼女の困惑の混じった声が聞こえてきましたので、
そちらに向かってみますと、
彼女の足元に、
盛り塩ほどの大きさの薄茶色の山が見えまして、
なんだろうか、
ぐんと顔を近づけて見てみると、
彼女の靴にもいくらか同じものが付いておりまた。
前日、雨が降っていましたので、
泥でも付いたのではないか、
僕はそう考えていたのですが、
彼女はすぐにその正体を掴んでいたようで、
Did you heat that?
そう僕に尋ねたのですが、
What?
全くなにも掴めていない僕はきょとん。
彼女の説明するところによりますと、
kittyが彼女の靴の上にもどしてしまって、
でも、普通ならもどすときには咳などをして、
比較的大きな音が聞こえるはずだ、
そのようなことでございました。
だからこその、
Did you hear that?
とのことだったようです。
事情が判明してから、
kittyに急いで目を向けたのですが、
けろっとしていて、
いつものようにまんまるとした大きな目をこちらに向けているのみで、
異常は全く見られませんでした。
安堵。
猫はよくもどすものだと聞いておりましたが、
食べたばかりのご飯をもどしたのを見るのは初めてでしたので、
少し心配になりました。
まあそれでも、
抱っこをすれば指を舐めてくれて、
あー、天国、
そんな表情でだらんとし始めましたので、
これまたいつもどおりのkittyで、
ますます安堵。
もどしてしまったものを、
跡形もなくきれいに吹き上げたのですが、
kittyは側に寄って、
鼻をくんかくんかしておりましたので、
気にしているのだろうか、
少しばかり不憫に思い、
kittyを抱き上げて、
部屋に連れて行き、
おもちゃでしばし遊ぶことにいたしました。
五分と遊ぶと、
うとうとし始めるのがkittyでございますので、
案の定、そのときも、
五分ほど経ったところで疲れが見え始め、
ベッドにのっそりと入って、
うとうとし始めました。
寝たら忘れるだろう、
そう願いながら眠りに落ちるのを眺めておりました。
それ以降は、
もどしてしまったあたりをくんかくんかすることはなく、
普段通りに過ごしておりましたので、
心の中で小さくガッツポーズ。
僕も家の中でなにかをするとき、
幽霊のように静かだと言われたことがありますので、
kittyの静けさは、
僕がkittyだったらそうするな、
と、理解できるものでございます。
静か過ぎるのも問題ですが、
共通点を見つけられて、
どこかにんまり。
なにはともあれ、
末永く健康でいてくださいよ、kittyさん。

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