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2023年6月の記事一覧

『アンダークラス』 相場 英雄 著

『アンダークラス』 相場 英雄 著

社会格差の闇を描いた小説。
社会格差のリアルな世界とは。

大手企業と下請け工場の事情と難しさ。
人口減少による労働力としての外国人研修生の現状。
社会格差と今後の問題。

外国人研修生が行方不明になり探すことになる継続捜査班の田川。
しかし、自殺幇助で研修生アインは警察に捕まる。

この事件に対して引っ掛かりを感じ捜査することになる。
そして、見えてくる現実社会の不公平。

大手外資系企業でマネ

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『ミカエルの鼓動』 柚月 裕子 著

『ミカエルの鼓動』 柚月 裕子 著

医療ロボット「ミカエル」を使った手術で注目されている天才医師・西條。そこへドイツから帰って来た天才医師・真木。
真木は医療ロボットを使わないが、手術の腕前は世界基準。

この二人のやり取りで見えてくる命との向き合い方。

志高く平等な医療を掲げながら、いつの間にか自分の都合の良い解釈をし、自分が受ける期待に応えたいだったり、出世を考えたり、権威を誇示して大義を見失う。

むかし販売員をしていたが、

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『ドーン』 平野 啓一郎 著

『ドーン』 平野 啓一郎 著

近未来の物語で火星に行った宇宙飛行士たちは何かを隠している。
それは政治、戦争、格差、人格が複雑に絡み合う小説。

この小説を読んで衝撃なのは「分人」というもの。
これは一人の中にある自然と使い分けている人格の事。

親といれば親に合う自分になり、会社に行けば会社に合う自分になる。友達に合う自分になるし、細かく言うと中学、高校、社会人と友達の中でも微妙に違う自分になる。

これは演じているのでもな

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『博士の愛した数式』小川 洋子 著

『博士の愛した数式』小川 洋子 著

相手を想うとは存在の肯定なのかも…。

事故で記憶が80分しかもなたい数学博士。
それが原因でなのか過去に何度も家政婦が変わっている。
そんな家に家政婦にいくことになる。

家政婦には10歳になる息子がいると言うことを知った博士は、「子供を一人にして働くのはいかん。」と息子の学校が終わったらウチにくるように言う。こうして、3人の交流が始まる。

博士は無類の子供好きで未来の全ては子供たちの中にある

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『そして誰もいなくなった』アガサ・クリスティー 著

『そして誰もいなくなった』アガサ・クリスティー 著

人を死なせてしまった過去を持つ10人が孤島に集められ一人ずつ殺されていく。
っていう設定 おもしろい。

犯人がどこにいるのか誰なのか分からない。
誰なら犯行が可能なのか?どうやったのか?どこかに潜んでいるのか?

自分が起こした過去を十人がそれぞれ噛み締めながら犯人を探る。
過去を悔いる者、過去を不運と思う者、過去を悪いとさえ思っていない者。それぞれの心境を描きながら犯人の可能性を探る。

「そ

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