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憧れのおばあちゃん      『ひかりの魔女』

#読書感想文
『ひかりの魔女』著者 山本甲士

私はこの先どんな風に歳を取りたいのか?と考える時。いつも1番に『ひかりの魔女』の「真崎先生」を思い浮かべる。

さり気なく、押し付けがましくなく、そして決して手柄を誇示せず。
やって来てたった4ヶ月で真崎家の数々の困難を鮮やかに解決してしまうスーパーおばあちゃんだ。

私は‥と言えば。
立禅(リツゼン)も出来ず。ぬかみそだきも作れない。誰かの役に立ちたいと思っても、かえって迷惑かも‥とあれこれ出来ない言い訳を並べては、結局何もしない。そして、そんな自分が嫌で勝手に落ち込んでいる。(;_;)
程遠い‥。

真崎先生は優しい嘘をつく。
相手の自尊心を傷つけないように。
いや‥。もしかして‥。
嘘は言っていないのかもしれない。

大学生がキャバ嬢か。
キャバ嬢が大学生か。


順番を入れかえるだけで、受け取る側の気持ちも見える景色も全く違ってくる。そんな風にして真崎先生は、人と人を繋ぎながら、奇跡のような結末を導いているのだ。
恐るべし真崎ひかり。

そして。
この小説でさらに好きなところは。そんな優しい嘘に巻き込まれながらも、最後にはちゃんと真崎先生の優しさに気づく周りの人達。そして、自らも優しい嘘の使い手になろうとする人達によって、少しずつ変化の輪が広がっていく様子に、安心と希望をもらえる。

著者の山本甲士さん。
この人のなかに真崎ひかりの原型があるのだろうか。
それとも現実に真崎先生のモデルとなる人がいたのだろうか。

シリーズ化されていてどの巻を読んでもじんわり心に染みるように諭され、こんな人に私はなりたいと憧れる。
無理ならば‥。せめて誰かの優しさに気づける人になりたい。

気持ちがざわざわしたとき、読み返したくなる本です。

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