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ワーキングホリデーが、ただの「ホリデー」になった件

日本に帰ることになった。

1月初旬に体調を崩したのがきっかけだ。

いきなり動悸に襲われて、頭の左側がズーンと重くなる感覚と左腕が少しピリピリする、時々力が入らない等の症状が現れた。
今まで経験のない症状で、パニックみたいになり、おれは今ここで死ぬんじゃないかと本気で思った。

症状は何日も続き、一日中、胸の違和感や頭の悩まされ、ほとんどベッドの上にいて、全くまともな生活が送れなかった。
寝る前も「眠っている間に死にはしないだろうか」と怖くなったり、ちょっと気晴らしに外に出て歩いただけで動悸がしてきて息苦しくなり、
「このまま路上で倒れて死ぬんじゃないか」と散歩中にパニックを起こしそうになったり、常に「いつ死ぬかわからない」という不安が頭を捉えて、毎日毎日、その恐怖とストレスで押しつぶされそうだった。

それで、大袈裟かもしれないが、「もし死ぬとしたら最後に家族や彼女の顔が見たい」と思ったのが日本に帰りたいと思った最初のきっかけだった。

その後も数日間、この症状が治まるのを待ったが、一向に良くなる気配がないので、怖くなってとうとう病院にかかった。

海外で病院にかかるのもかなり心が折れた。
なによりこんな大変な状況で日本語を話せないのが一番しんどかった。
英語で電話もしたし、英語で診察も受けた。
診察の時は先生に症状をちゃんと伝えるため、事前に英語の原稿も用意して行った。
つたない英語でもなんとかはなったが、こんな体調が悪い中、ペラペラでもない英語で何とかしなければいけないのは精神的にも肉体的にもかなり苦痛だった。
そのほかにも保険会社と繰り返し電話でのやりとりだったり、保険請求の事務手続きなど、自分自身でやらなければいけないことが多く、こんな状況の中でかなりのストレスだった。

結局、病院では尿検査・血液検査・心電図をするように言われ、検査の結果、どれも異状はなかったので少し安心したが、心の底から「ああ、病院に行くにしても日本に帰って安心して病院に行きたい」と思った。

そういうことも含めて、「とにかく日本に帰って早く安心したい、家族や彼女の顔を見たい」という気持ちがどんどん大きくなっていった。

ただ、それと同時に「こんなあっさりと終わってしまっていいのだろうか?」という葛藤もあった。
会社も辞め、少なくないお金もつぎ込んで実現させたワーホリである。
そうまでしてようやく実現できたことなのにこんな簡単に終わらしてしまっていいのだろうか?まだまだたくさんやりたいことがあるんじゃないのか?

自分自身と何度か相談した。

まだカナダに残って
もっと英語力伸ばしたい、、、
仕事見つけて、たくさん働いてお金稼ぎたい、、、
新しい友達もっと作りたい、、、
もっと旅行や観光したい、、、
今の滞在先のハウスメイト
とももっと色々な話をしたい、、、

やっぱり、まだまだやりたいことはたくさんあった。

でも、そういうことも天秤にかけてみたけど、やっぱり、今の状況にして、それが「日本に帰る」という安心感に勝ることはなかった。
今、体調もだいぶ回復してきており、発作が起こる前と同じように普段通りの生活を送っているが、あの発作みたいな症状は相当自分に恐怖を植え付けたようで、カナダに残って生活を続けるという選択よりも、とにかく日本に帰りたいという気持ちの方が大きかった。

という訳で、いろいろ葛藤もあったすえに、先日「やっぱり日本に帰ろう」と、いよいよ決心を固め、早々にオーナーに部屋を退去する旨を伝え、フライトも手配し、銀行のアカウントも閉鎖し、こちらの友人にも帰国する旨を伝え、帰国が確定した。
急な事だったので、オーナーや友人はみんな驚いていたが、理解してくれた。いろいろと優しい言葉をかけてくれたし、本当にありがたかった。

・・・

ということで結局、カナダには3か月ちょっとしかいなかった。
そして、ワーキングホリデーなのに仕事を見つけて働く前にリタイアすることになったので、ただの「ホリデー」になってしまった。

想定外も想定外。
こんなこと全く予想していなかった。

ただの「ホリデー」。

ネタやん。

しかし、今は「これで良かった」と思っている。
正直、やり残したことはあるし、「これで良かったのだ」と言い聞かせている部分も多少はあるが、少なくともこの3か月間は十分楽しかったし、新しい友人も出来たし、ずっと憧れていた海外生活も経験できた。
この先もずっと残る思い出が出来たことは確かだし、これだけでも大きな財産である。
そして何より今「日本に帰れるんだ」と安心している自分もいる。
ちゃんと今の自分の気持ちに正直な選択が出来たと思う。

まあ、今回はこれで良しとしよう。
ワーホリはもう年齢的に無理だけど、英語にもっと磨きをかけて、
また海外に遊びに来ればいいじゃないか。

今はそう思っている。

***


いま帰国準備を進めている。

フライトは22日の深夜の便だ。

日本に帰るのが楽しみだ。

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