見出し画像

J3とJFL、二人の関係~ver2024~

参照記事

今期JFLの構成図

いよいよ今年も、JFLが始まった。そして早くも第3節が近付いている。まだまだ全30試合の1/10も消化していないが、去年とはまた違った様相を見せつつあり、興味深い展開である。

さて。JFLに所属する以下16チームの内、なんと11チームがJリーグへの参入(将来的なものも含む)志望勢である。J3ライセンスの有無や、参入への環境構築ができているかできていないか、という違いはあるものの、上(便宜上表記)を目指していることには変わりない。

(参考)今期JFLに所属する16チーム ◎:J3ライセンス所持 ○:J参入志望
Honda FC
ブリオベッカ浦安○
レイラック滋賀○
ソニー仙台FC
ラインメール青森◎
ヴェルスパ大分◎
高知ユナイテッドSC○
FCマルヤス岡崎
アトレチコ鈴鹿(鈴鹿ポイントゲッターズから改名)○
ヴィアティン三重◎
クリアソン新宿◎
FCティアモ枚方○
横河武蔵野FC(東京武蔵野ユナイテッドFCから改名)
ミネベアミツミFC
沖縄SV○
栃木シティ○

では、そのJ参入のためにはどういった条件を満たせばよいのか。ライセンスは前提であるが、2023年以降、J3との間には「J参入⇔J資格喪失」という形での入れ替えが発生するようになっている(Jリーグが60チームの定数に到達したため)。その入れ替えに至るまでの条件はいかばかりか。改めて書き記したく思う。

Jリーグの門、どうすれば開く?

時間があるのであれば上2つのリンク(公式リリース)を読んでいただくのが一番早いのだが、時間がない方などもいらっしゃると思うので要約も記載しておく。
まあ要するに従来の時点で財務やスタジアムなどの諸条件を満たさねばならないのだが(選手の努力ではどうしようもない)、選手の努力及びシーズン中におけるチーム組織全体の頑張りでどうにかなる条件がある。それが

  • JFLシーズン終了時に2位以内に入ること

  • 1試合平均入場者数が2,000人を超えていること かつ 年間入場料収入が1000万円を超えていること

上記の2点だ。上についてはいわゆる門番――Honda FCやソニー仙台FC――を乗り越えなければならず、従来からその難しさが指摘されているが、今回、2024verについては、下についての難しさを示したい。なぜか。こちらについては上のリンクにもある通り、今回改定が行われた項目だからだ。昨年は努力目標とされていた平均入場者数の規定が完全に達成要件となり、おまけに入場料収入にまで規定が設けられた。これはなにを示すのか。

  1. とにかく平均2,000人をかき集めなければならない。

  2. その上で無料券の配布はできない(収入が必須要件なので)。

以上2点である。これはハッキリと言えば難しい。J3のチームでも平均2000人に至っていないチームがあるらしいのに、JFLに対してそれ以上を、しかも無料券無しで要求しているのだ。これを難しいと言わずして、なにが難しい挑戦となるのか。ある意味では、Honda FCやソニー仙台FCを越えることよりも難しいと言えるだろう。

しかもさらにハードルを上げるのは、これだけ果たしてもJの扉はまだ完全に開いたわけではないという事実である。上述のリンク先にもある通り、優勝さえしてしまえば自動入れ替えでJの扉はすんなり開く。
しかし、2位ならばJ3下位チーム(シチュエーションにより異なる)との入れ替え戦に回らねばならない。そして、勝利しなければまた1年掛けてやり直しなのだ。
チームの体力。そして資金力。様々なものが消費されていく苦難の道である(これ自体は「地域リーグ→JFL」の道のりでもあることなのだが)。
それ故に、JFL突破を目指すチームは元J選手などの有望な戦力を集め、上位を目指すのだ……。

まとめ……みたいなもの

ともあれ。J3とJFLの関係は微妙である。ピラミッド上では同格の扱いでありながら、プロとアマの境界として、上下関係にも似た構造が展開されている。
そして、境界を突破する条件は年ごとに変化する。コロナ禍での特例から、再びコロナ前の条件へ。そして、収入力も要求される。成績要件も厳しさを増した。

無論、それに対する意見は多様である。入れ替わりを激しくすべきというものから、『プロ』という権威を目指す以上は相応の壁を乗り越えるべきというものまで、雑多である。

しかしながら、決定が遅いとはいえ、今季の条件は定まってしまった。筆者は参入を阻止する側――Honda FC――のファンではあるが、今季のJFLも、楽しく見届けようと思っている。その先にJFLを卒業するチームが出るのなら、それはそれで悔しくも祝福したいと考えている。それが送り出す側の振る舞いだろうと、愚考するからだ。

以上、乱筆ですがJFLとJ3の関係についての話でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?