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勝利の価値は、重い(JFLとFリーグDvi2をハシゴ観戦してみた話)


思えばこの週は

色んな意味でぶっ刺さるような敗戦を見届けたことに始まり、X(旧Twitter)や速報を通じて勝利を願った天皇杯でも外国人FWの2発に沈んでしまった先週のHonda FC
それでも時は無情に過ぎゆくもので、週の最後にはすでにJFLの次節が待ち受けていた。ホームHonda都田サッカー場、ラインメール青森戦。せめてここを勝利してほしいと願い、私は現地へと足を運んだ。
そしてこの日、実は偶然にも16時より、アグレミーナ浜松の試合までもが浜松アリーナで開催されるという。別段、両者に公式でなんかの繋がりがあるわけでもない。イベントもない。だが、ささやかながらに両者を追う者としては、ハシゴを決断する他なかった。たとえそれが、時間ギリギリの大博打だったとしても。

①第26回JFL第12節・Honda FC対ラインメール青森

ここまでのHonda FCについてはやや割愛するが、先述した四日市での手痛い敗戦により、Honda FCはこの時点で5位となっている。そして首位高知ユナイテッドSCは連敗を止め、着々と勝ち点を積み重ねている。これ以上離されてしまえば、いよいよ無理な連勝や無敗街道を遂行するしか逆転の道がなくなってしまう。毎度毎度言っているが、またしても正念場が待ち受けていた。しかし……

結果は1-1。引き分けであった。
他の上位チームも引き分けや敗北で停滞したので順位こそ落ちなかったが、高知ユナイテッドSCがまたしても勝利したため、勝ち点差がさらに広がってしまった。

試合経過はといえば、前半早めの時間に僅かなほころびから流れでの先制を許してしまい、それでも中盤にはゴール前で繋いで9番FW児玉怜音選手がシュートを叩き込んで同点。逆転の希望に胸膨らんだものの、後半は互いに攻め込みながらも、得点なしに終わってしまった。

とはいえ、前節とは異なり現時点で振るえるだけの全力メンバーを起用したHonda FCは、やはり筆者をワクワクさせるだけの力があった。
終盤の攻めには期待を持てたし、守備も失点場面以外はカッチリと守れていたように見える。だが、それでも。私は勝利が見たかった。強いHonda FCが見たかった。どうしても、これが正直な気持ちなのだ。

勝負に、「タラレバ」はない。存在しない。だが、あえて言うならば。もしも、もし。Honda FCがこの週の3戦を「3つ獲る」という心境で臨んでいたならば。振るえる力を、すべて振るっていたならば。現在の苦境は訪れていなかったのかもしれない。仮に道中で手酷い目に遭ったとしても、納得できていたのかもしれない。

しかし既にすべては終わりを告げた。天皇杯は敗退し、JFL連覇の希望も徐々に遠のきつつある。ならばここから目指すものはなにか。たとえ敗れようとも、JFLの頂点を目指すことではないだろうか。

Honda FCにとって、JFLのタイトルは常に要求される命題のようなものである。これがあるからこそ。ユニフォームの胸に掲げる11個の星があるからこそ。ここまでに積み重ねた実績があるからこそ。Honda FCはプロからも、プロを目指すチームからも、一目置かれる存在(個人的印象)なのだ。

希望は遠のきつつあるが、まだ消えたわけではない。筆者はHonda FCを応援し続ける。時には言葉選びを誤る可能性もあるが、それでも観戦記は書き続ける。
だから、Honda FCもすべてを賭してJFL連覇に臨んで欲しい。一戦一戦に臨んで欲しい。それが、筆者の希望である。

と、足早ながら観戦の感想を残しつつ。私は次の戦地へと向かった。そこは……

②2024-2025・Fリーグディビジョン2・第3節・アグレミーナ浜松対エスポラーダ北海道


浜松アリーナ。キックオフギリギリに着いたその場所は、これもまた、上位に食らいつくための決戦の場であった。

開幕戦を勝利し、2戦目も相手チームを振り切ったアグレミーナ浜松。しかし3戦目に待ち受けていたのは昨年ヴォスクオーレ仙台との入れ替え戦に敗北、ディビジョン2へと陥落したエスポラーダ北海道だった。

当然ながら戦力の入れ替わりが発生しているとはいえ、単純に見ればディビジョン1昇格候補の1番手。昨年仙台と覇を競ったディビジョン2・2位、ボアルース長野と並んで昇格争いの先頭に立つのは間違いないであろう存在だ。事実、北海道はここまで盤石の2連勝。アグレミーナ浜松としては昇格を目指すためにも、負けてはいけない相手だった。だが。

https://www.fleague.jp/score2/result.html?gid=89638

4-5、敗戦。先制点こそ奪ったものの、第1ピリオドの早い内に反則を重ねてしまった結果、第2PK(ピリオド中に6回以上の反則を犯すと、反則の度にフリースローみたいなことになってしまう)で突き放されて追う展開に。

後半残り約8分からパワープレーで見事な追い上げを見せたものの、38分に許したパワープレー返しにトドメを刺される結果となってしまった。物凄い戦いに、客席のテンションは上がっていたんだけどなあ……。過去の経験からまだやり切れるとも思えたし……。

試合の感想としては、概ね北海道が一枚上手だった、というのが主たるものか。個人技や連携で浜松を翻弄し、得点シーン以外にも数々の決定機を作り上げていた印象が根強い。GK13番ミヤモトギレルメ選手や守備陣の奮戦はもあって5点に抑えたが、もう数点奪われていてもおかしくなかった、というのが率直な思いである。

攻撃でもそうだ。浜松がパワープレーに移っても、北海道は概ね冷静だった。しっかりとゴール前を固め、なかなか浜松に切り込む隙を与えなかった。

だからこそ、そんな中でも突き刺さった7番山桐正護選手の2ゴール、15番伊藤悠悟選手のゴールには価値があったと思う。だが勝負は無情。最後に結果が伴わなければ、苦い1ページとなってしまうのだ……。

ともあれ。この結果によってアグレミーナ浜松もまた、負けられない戦いの連続という展開が予想されることになってしまった。たかが1敗と仰るかもしれないが、今季のFリーグディビジョン2はそれほどまでに上位2チームの優位が予想されるというのが、個人的な見解なのだ。そこに食らいつくためにも、なんとかアグレミーナ浜松には気持ちを切り替えてもらいたいものである(なおこの文章を書いている時点で次節は終わってしまった……)

③まとめ

若干足早ながらにハシゴ観戦記をまとめたが、主たる感想はやはり「勝利の価値は……重いっ……!」だった。

そりゃあ誰だって負けたくて試合に臨んでいるわけではないし(実力差などはともかくとして)、勝負の場に立つ以上、活躍と勝利を脳裏に浮かべているに違いない。見る側だって、期待に胸膨らませてるんだもの。選手たちは、もっと考えているだろうと思う。そのために練習を重ねているんだと思う。

だが、現実というのは残酷だ。どんなに全力を賭したところで、結果がすべてを分けてしまう。

我々観客というものは、特にその傾向が強いかもしれない。時には書くに耐えないような思いもこみ上げてしまうこともあるし、時には浮かれてやたらと筆が進むことだってある。

結果だけで判断してはならないと人は訳知り顔で言うが、応援しているからこそ、どうしてもその傾向が顔を出してしまうのだ……と、個人的には思っている。

ともあれ。今回は両者ともに勝ちを積めず、今後の厳しい展望が浮き彫りとなってしまうこととなってしまった。
しかしながら、戦いはまだまだ続く。現実はどこまでも続いていく(基本的には)。だからこそ。私は前を向きたいし、選手たちにも前を向いてほしいと願っている。

その先にあるであろう、勝利を信じて。


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