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【MTG統率者】 「永遠神ケフネト:ウィザード式」その1=「デビュー戦!」 【初心者、復帰勢、自分と同じ親に向けて】

1.ドーモ。いつもは「レガシー」の記事を書いている六条屋です。「統率者」の方々、はじめまして。謎の経緯で、急に「統率者」《永遠神ケフネト》さまのデッキを作ることになりまして。
そして、先日、レガシーの対戦会に出たとき、実際に統率者戦=EDHの対戦もしてみました。今日の記事は、デッキ紹介と対戦の記録をするためのもの。
(某所でポロッと「青単の統率者が好み」と呟いた瞬間、《ケフネト神》↓に捕捉されたのです)

しかし、すこし、困っています。僕が書く記事には、いくつかのルールがあり(すでに明言しているかは別として)、その1つに「自分の心の動きに関わることは、偽りを言わない」というものがありまして……。

この円の中で
僕は嘘がつけない

結論をいうと、統率者戦《ケフネト》さまは、ほろ苦いデビュー戦になりました。結果は、脱落1人目。敗けです。
負けたから、苦い味になったのではありません。死力を尽くして敗れたのなら、それは楽しい。充分に熱い記事にできます。
ところが、今回は僕にとって、必ずしもそうではなく……悩ましくて難しい戦いだったのですよね(同卓だった方たちに失礼な話だし、統率者戦の初心者として不遜すぎる言葉ですが)。どうしよう、本当に? 逃げたいぜ。

しかし、その経緯や戸惑いもふくめ、「統率者」初心者の目線から記事を書くことも無駄ではないと信じましょう。
順を追って話します。今日のデッキは、こう!

2.いくら僕が“調子と流れには乗るもの”を座右の銘にしているとはいえ、《ケフネト》さま以外の「統率者」に「どう?」と誘われても、儀礼上の神妙な態度を示しつつも、ていねいに断っていたでしょう。

僕が「青単」好きなのは社交などではない事実で、同時期に試していた「レガシー」のオリジナルデッキも「青単ダークデプス」なくらい(こっち↓の記事もよろしくな!)。

まず、統率者である《永遠神ケフネト》の能力を見てみましょう。

4マナ4/5飛行という基本性能の高さもさることながら、その真核は「奇跡」能力につきます。
各ターン1枚目に引いたカードを公開し、それがインスタントかソーサリーなら、手札にコピーを作り、②マナも軽減して撃つことができる……要するに、「アヴァシンの帰還」が生んだ「奇跡」を全呪文に付与できます。この神さま、凄いんだ……。

さらに、これはコピーを撃つ能力なので、“原本”のカードは、しっかり手元に残ります。
それを継続的にライブラリートップに戻せば、任意の呪文を毎ターン、撃ち続けられるということ。たとえば《巻物棚》と《時間のねじれ》が揃えば?
ごく簡単に無限ターンです。

ふーむ。おもしろい。基本土地スキーとしては、《島》を強く使える点も気に入りました。《永遠神ケフネト》ほど《神秘の聖域》を活かせるデッキは他に無いからです。

このカードを活かすために
《島》を並べたいのですよね
どんな呪文も《ケフネト》さまで
使いまわし放題になります
これ自身が「島」で
フェッチランドからサーチできるのが凄すぎる
こんな記事を書くくらいには
基本土地が好きやで↓

しかし、まぁ、自分の資産ではそんなに強いデッキにならないだろうと考えました。僕はレガシー村のすみっコぐらしで、EDH専用のパワーカードなんか持ってませんからね。
各種のインスタントやソーサリーはレガシーや昔の資産の流用ができますが、とくにマナアーティファクトが弱い。加速力に限界があります。

要するに
こういうのが無い

それでも……それだからこそ、高額カードを使わないという限られた条件の中、全力でデッキを組もうと決めました。それは「統率者」とは畑違いの「レガシー」の世界で、僕が常に試してきた遊びだからです。

《ケフネト》さまに関する、探せるかぎりの記事を読み、デッキリストを漁り、ほかの同系より劣る点を見つけつつ、それを逆用して長所に変えられるプランを練り……僕が組むことにしたのは、上のような「永遠神ケフネト:ウィザード軸」タイプ。
さまざまな役割の「ウィザード・クリーチャー」を採用しており、その根本はこれらのカードを積極的に使いたかったからです。《遵法長、バラル》+《通り抜け》。

高性能マナアーティファクトには、初速で遅れをとるとはいえ、インスタントとソーサリーのマナコストを軽減できる「メダリオン」能力持ちクリーチャーを安定して設置できれば、呪文を連発する後半での爆発力は劣らないはず。
「ウィザード」には《ケフネト》デッキと好相性のものが他にも多く、《通り抜け》の「ウィザード・サイクリング」をあてにして、デッキの軸にしています。厳選を重ねたカード、《遵法長、バラル》以外の5枚を紹介します。

①《古術師》

普通に呪文回収に使えるのも偉く
コンボパーツとして《幽霊のゆらめき》で
《神秘の聖域》と共に明滅させると
無限ターンに繋がります

②《捧げ物の魔道士》

先ほど紹介したように
《ケフネト》さまと揃えれば
必殺の神器になる《巻物棚》をサーチ可能
しかし、そちらの用途は予告ホームラン的で危険
それよりも先に
加速用の《サファイアの大メダル》を探したい

③《呪文探求者》

こちらは汎用的な
そして《魂の洞窟》経由なら打ち消されない
呪文サーチとして

④《ザルファーの魔道士、テフェリー》

デッキ内、最重量ウィザード
《魂の洞窟》を用いて
自分の手番が来る直前に呼び出せば
通常の呪文では“干渉のタイミングがない”絶対防御で
コンボを守ることが可能に

⑤《心悪しき隠遁者/心優しき霊》

表面は早期に設置できる
妨害装置として
裏面は
《テフェリー》よりはマイルドな
コンボ防衛用として

ほかにも、大量のアドバンテージを稼げる《大魔導師の名誉教授》や、コンボルートを増やせる《練達の魔術師、ナル・メハ》なども候補にいたのですが、今回の裏テーマは軽量化と単純化。
とくに重要性が高い個体だけを、前述の《バラル》と合わせ、6体。この枚数に採用をしぼっています。

おもしろそうだけどね~
鉱脈はまだまだ深いです

また軽量マナアーティファクトがないと真価を発揮しづらい「無限マナ」ルート用のパーツを思いきって、全て撤去。
扱いやすさを第一義に考え、勝ち筋を《時間のねじれ》などを使い回す「無限ターン」ルートに一元化します。コンボパーツも、可能なかぎり単騎での汎用性が高いものを優先。

そうして空いたスペースには1マナドロー呪文をとにかく増量。とくに対戦相手の手番でも《ケフネト》さまの「奇跡」能力を誘発できる、インスタント呪文と、1マナサイクリング系を優先。このあたりのカードですね。

とくに《ヒエログリフの輝き》と
《願い与えの加護》は
《ケフネト》さまで直にめくったときの
“当たり”を増やす役目も兼ねます

キャントリップ呪文で圧縮をかけて、実質的なライブラリー枚数を減らし、デッキの強い部分だけを純粋化していく……。レガシーで「青いコンボデッキ」を組み上げるときの手法をそのまま応用することにしました。

僕にとっては、この統率者「ケフネト」デッキは、無限ターンを武器とする「コンボデッキ」=「エターナル・ブルー」の亜種。そう考え、魚が世代ごとに泳ぎ方を最適化するように、デッキをどんどん研ぎ澄ましていきます。

それでも、きっと強くはない。僕は本気でそう思っていました。なぜって? 《魔力の墓所》がない。《魔力の櫃》がない。《激情の後見》がない。《時間操作》がない。
デッキの理想形には遠く、そのために、他を圧するほどのパワーは出せないだろう、と。

なにしろ
予算にも限りがあってだな……

3.統率者戦も記事にするという約束があったため、レガシーの対戦会の合間に、僕は手を上げました。

僕「EDH、やりたいです! 僕は《ケフネト》さま」
Aさん「そのデッキのレベルはどれくらい?」
僕「ええ~、“6”か……“7”くらい?  かなあ?(よくわかってない)」
Aさん「“7”って、相当強いってことだよ?」
僕「それなら、“6”ですかね? 見ての通り、青単だし、2、3ターンで即死させるコンボはないし(やっぱり、よくわかってない)」

事前にこんなやり取りがあったのですが。
ちなみに「MTG」公式の目安表を拝借すると、こんな↓基準になるようです。え~、本当に~???

それでは、統率者《永遠神、ケフネト》。デビュー戦です。
参加者は、1番手から順に……《アングマールの魔王》《鋼の魂、ワイレス》《永遠神ケフネト》《宴の結節点、ジェトミア》。僕は3番手ですね。

まずテーブルについて、おや、と思いました。「青」が自分しかいません……まあ、それは仕方ないか。よほどのコンボを止めるのは自分の役目かなぁ、と感じたくらいで。

せっかく手に入れた
美しい《白鳥の歌》で
がんばるでぇ~

うきうきと1マリガンし、新しい7枚の手札を見たあたりから……違和感、というか、ビリッと電気が肌を走るような直感があり……困り果てました。これ、どうしたら良いんだと思って。気づいたことは、2つ。

1つ目。僕は自分で思っていたより……意外なほどに正統な“レガシーの”コンボ使いであるらしい、ということ。

2つ目。僕が自分で思っていたより……この統率者「ケフネト」デッキが強い……強すぎる、ということです。少なくとも今回は、危険なほど引きが良すぎます。

レガシープレイヤーとしての僕が、勝手に最短パターンを計算し始めました。
マナ加速を使わない巡航速度なら……3ターン目までに準備を全て完了、4ターン目に《永遠神ケフネト》着地。5ターン目アップキープには……もう無限ターンが成立!!? 
早期にマナアーティファクトを探すことができれば、さらに手順の短縮も可能です。

初手に鎮座しているのが、無限ターンの主要パーツ《巻物棚》と、追加ターン呪文《荊州占拠》。ほかには1マナキャントリップの《考慮》などと、極めつけにオールマイティの“ジョーカー”=《神秘の教示者》。

《ケフネト》さま影響下なら
手札に加えるより強い、まである
驚異のサーチカード

もちろん、妨害されることも充分にありえるでしょう。《巻物棚》を割られるか、《ケフネト》さまを除去されるか、打ち消し呪文……で……?
そう、これも困った点です。この日、テーブルにただ1人の「青」が、よりによって自分自身しかいない。つまり、打ち消し呪文を攻守に使える権利があるのも、自分だけ。
レガシープレイヤーとしての純朴な本能……無邪気な殺意に従うなら、防御札をかき集め、高確率で勝ちます。

1番手、「黒単」の《アングマールの魔王》は……速くはなさそうな初手の気配。しかしクリーチャー除去で《ケフネト》さまを狙うことができ、コンボ達成を妨害してくれる期待が持てるのは、ここです。

2番手、「白赤」の《ワイレス》は……動きません。というか、すぐに気づいたのですが、こちらは「構築済み」のまま、ほぼ無改造のデッキのようでした。このままだと1ターンに1つずつ装備品を置くだけで、ゲームに参加する前に、全てが終わります……。

4番手、「白赤緑」の《ジェトミア》は、いちばん活発に動きます。統率者の能力からして、クリーチャーを並べてのビートダウンを狙ってくるはず。しかし、コンボへの妨害に長けたデッキではなさそう。

いやもう、あとから考えると傲慢ともいえる考え方で、自分でつくづく嫌になりますが……これは、まっすぐには勝てんな、と僕は思ってしまったのです。

これが「レガシー」なら?
1対1で勝ちを目指すことは対戦相手への礼、最短距離で斬ることがコンボ使いの矜持です(もちろん駆け引きで、あえて溜めを作る場面はある)。同じ日に戦った、この記事のように。

しかし「統率者」戦なら? 
素人ながら、“全員が楽しむこと”こそが「統率者」の理念だと、勝手に認識しています。だれも楽しめないうちに、1人でコンボに突っ走って、ゲームを終わらせる権利が僕にあるのか? それで胸を張って、「勝ちました!」と一方的に宣言するような真似が許される?

ためらっているうちに、《ジェトミア》が《フェリダーの撤退》を、《アングマールの魔王》が《ナズグル》を繰り出してきます!
どちらも楽しい上にデッキに合って、強い。フレーバーにも満ちた良カードです。

《アングマールの魔王》と《ジェトミア》が盤面を作って、殴り合いがスタート。というか、戦場はもう、2人だけのもの。
僕はといえば、ひどく惨めな選択をすることにしました……「待ちます」。せめて「敗北するギリギリまで待ってから、コンボに入ろう」と決めたからです。
しかし「統率者」初心者よ……それは「ゲームに参加しない」ことと同義でもあるぞ???

本来より2ターンは遅らせて、《永遠神ケフネト》着地。妨害はなし。しばらく盾にして様子を見つつ……さらに2ターンほど遅らせて、《巻物棚》設置。妨害はなし。
もう少し待ったあと、「このままだと、つぎの手番に勝ちます。対処があれば、どうかお願いします」と宣言。《アングマールの魔王》が《シォオルドレッドの勅令》を撃ってくれたことに、ほっとする始末。

そして、《ジェトミア》の猫の群れに殴られ、僕が最初に脱落です……あえなく《ケフネト》さまのデビュー戦は、おしまい。試合もそのまま、クリーチャーの物量に優れる《ジェトミア》が他を圧して、勝ち。

じつに猫まみれでした(デーモン)

お疲れさまでした。正直、本当に、疲れた……。
もし、あのとき、同卓した方がこの記事を見つけたとしたら。
恥じ入りながら、謝ります。なかなか動かなかった《ケフネト》は、裏でこんなことを考えたせいで、勝手に金縛りにあっていたのでした……。

いま思えば、ほかのやり方はあったはずです。コンボだけでなく、コントロールの方向に舵を切ることで、ゲームに参加しても良かった。こんなカードだって積んでいるのだから。

もしくは、もっと周りを信用して、まっすぐコンボに走っても……仮にそのまま勝っちゃっても、“そういうもの”と受け止めることにして、存分に暴れてみれば良かった。現に最後の一撃は、きっちり止められたではないですか。

僕は、やはり「統率者」戦では、初心者です。まわりが楽しめているかを気にかけ過ぎるあまり、“自分自身が楽しむ”ことを完全に忘れていたのだから。

それだから、これは苦いデビュー戦なのでした。アクセルの踏みどころ、ギアの切り替えどころが、最後までわからなかったという意味で。せっかくのデッキが泣くぜ……。

黄昏たい……

上手く活かしてあげられなかっただけで、デッキそのものは何も悪くありません。
というか、想定よりも遥かに強かった……これ、さっきのレベル表で、いくつくらいになるんだろう?
カリッカリにチューンされていた《アングマールの魔王》や《ジェトミア》ならともかく、少なくとも構築済みクラスのデッキとの激突は、双方が幸せにならない、とわかりました。

うーん。わざわざ「レガシー」村から「統率者」町まで出張してきて、この戦いぶりでは不甲斐なさすぎますね。いずれ、機会を他に見つけて、デッキの本当のパワーを見極められれば、と思っています。どこかで、だれかと、リベンジマッチだ!

せっかくの初回なのに
すかっとした爽快な内容にならず……悲しみッ!
このままだと縁あって巡り会った
《ケフネト》さまにも申し訳ないですから

ただ……デッキ同士のレベル差の問題、プレイヤー同士の意識差の問題、それらが生じにくくするためのコミュニケーション、実際にパワー差が生じたときの振る舞いやプレイングの方針……。

これらは、初心者の僕のほうから、「統率者」を主戦場にするプレイヤーの方々にこそ、教えを乞いたい難問です。

4人で戦う「統率者」は、いつもの「レガシー」の世界とは、まるで違う。それが今回……「統率者」の記事をスタートして、初回にわかったこと。
1対1で、テーブルの向こうの好敵手を凌ぐことに集中すれば済む、純粋でシンプルな「レガシー」という遊びとは。
奥深い。しかし、難しい。いまの僕には……「統率者」戦において“自分のデッキがどれほどの強さなのか”、それすら上手く計ることができないのですから。

いつか、“全員が楽しむ”……そんな体験をしてみたいですね。もちろん、“自分自身も含めて。全力をかけて”。いまは初心者なりに、その未来を切に願うばかりです。それでは、また。

ストレージから救い上げた
この美しい《選択》を
使う場所が、やっとできた
実はそれが、デッキを組んだ
いちばんの動機だったのかも

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