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【MTG レガシー】 「プレインズウォーカー、父になる」その6/オシャレは「基本土地」から! 【初心者、復帰勢、自分と同じ親に向けて】

1.「プレインズウォーカー、父になる」。ここまで5回の記事で、初心者や復帰勢の方、親であるプレインズウォーカーのために、安価な“単色”のデッキをそれぞれ紹介させてもらいました。

単色デッキは、良いものです。それぞれの戦略方針がはっきりしており、多色デッキのような“万能性”を持たない代わりに、高い“安定性”が魅力。《不毛の大地》に割られず、《血染めの月》にも色を変えられない「“基本土地”の堅牢さ」はレガシー環境では侮れない長所となります。ケアの必要や裏目の心配がなく、一貫性があるゲームプランを終盤まで……

「Pomb!!!」

今日はそういう戦術的な話をしたいわけではないのですよね。単色デッキは、安価。しかし……突き詰めようと思えば、極限までこだわることができるのも、単色デッキの特徴。
たとえば、前回ご紹介した「青単フルパーミッション」。

レガシーにしては破格に揃えやすいデッキだと思います。ところが角度を変えれば、あらゆる環境デッキをぶち抜いて、最高価格になり得る、ともいえます。恐らくは《The Tabernacle at Pendrell Vale》を擁する「Lands」以上に。

14枚装備した《島》を、これに統一してみては???

「Guru Land」の《島》。言わずと知れた「Terese Nielsen」の傑作です。この「Guru Land」は《平地》~《森》までの連作となっており、「ドミナリア」次元の真なる月「霧月」とスラン時代の人工の月「虚月」による二重月蝕の様子が時刻を変えて描かれており、豊かな物語性も感じさせてくれます。
晴れる屋さんの販売価格だと、現在は《島》1枚が「26万円」。価格のインパクトで選ぶのは、品が良くない、と知りつつも、この芸術作品だけをずらりと並べた戦場は……壮観でしょうね。「Guru Land」で《対抗呪文》を構えるためだけに、「青単フルパーミッション」を組みたくなります。

もちろん、これは極端な例ですが、“基本土地”はどんな時代でも無駄になりません。「マジック:ザ・ギャザリング」が生き続ける限り、必ず使われるカードだからです。
今日のテーマは、これです。デッキと使い手に合った“基本土地”を探そう。もし、子どもたちが学校で決闘を挑まれたときも、適切な“基本土地”を選んでおけば、「ほう……“アングルード”のフルアート《森》か。貴様……“わかっている”な?」などと、精神的アドバンテージを取りやすくなりますからね!

2.ただ……けっこう難しいテーマでもあります。「オシャレの基本は足元から」。古事記にもそう書いてあります。プレインズウォーカー的に解釈するなら「オシャレの基本は“土地”から」!
ところが“基本土地”の世界は……あまりに広範です。すべてを語り尽くそうとすると、とりとめが無さすぎる内容になることは必至。
そして、お金をかけたからといって、これこそが自分だ、と胸を張れる1枚を選べるとは限りません。イラストの種類も莫大で、しかもどんどん増える一方。「トレイリア」や「ストリクスヘイヴン」で「“基本土地”学」の講義があるなら、ぜひ最前列で聴講したい。

カズミナ先生、お願いします
(豊満すぎて、授業に集中できんばい)

このニッチな記事で出来ることはせいぜい、「こんなデッキのとき、自分ならこれを選びたい」と、各色の代表的な良作を紹介するくらい。たとえば。僕自身のレガシーデッキ「アーボーグ型ドゥームズデイ」では、これらのカードを使っています。
「ダブルマスターズ」で再録された「アンヒンジド」フルアート土地。理由は、2つ。

まずは利便性。「フェッチランド」で頻繁にサーチする関係で、視認性が高いものを選びたかったのです。フルアート土地なら、かなりの速さで見つけることができ、ゲーム中のストレスが低減されます。

何より、僕が「John Avon」派だからです。「ミラージュ」の《山》や「ウェザーライト」の《水蓮の谷間》で、彼が描く世界の広がりに魅せられたのが、この道に足を踏み入れたきっかけの1つ。

当時の「マジック」では例外的だった写実性と、あざやかな色彩美に衝撃を受けた古参プレイヤーは多いのではないでしょうか。
特に「アンヒンジド」版《島》はまだフルアート土地が一般化されていないころ、時代を越えて刷られた、憧れの土地でした(再録されるまで、5000~7000円くらいだったイメージ)。
ともすれば暗いイラストが多くなりがちな「マジック」で、この冴えた青さと明るさは新鮮で、《島》を並べるだけで、海風が全身を吹き抜けていくような清々しい気分になれます。「ダブルマスターズ」において、ついに新々枠で再録されたとき、ウキウキしながら、まとめ買いをしました。

「Doomsday」は、コンボパーツ自体が省スペースで、速さと妨害への強さを両立した、ソリッドなデッキ。2~3ターンで、“審判の時”です。「用」と「美」=「渡り」と「景」を兼ね備える「John Avon」のフルアート土地がよく似合うデッキの1つだと思っているのですが。

2.まあ、こんな感じで。《平地》から始めて、5色それぞれの“基本土地”をご紹介したいと思います。自分のデッキに合った“基本土地”を探すという、「マジック」ならではの楽しみの一助になればと信じて。
なんというか……いつにも増して、ニッチすぎる……。趣味が偏りきった記事になる点をあらかじめお許し願えればと。

とにかく、始めます。サンプルは、前回までに紹介した単色デッキたち。まずは、これから。「白単エメリアコントロール」。

「白」には「《平地》といえば、これ」といえるほど有名な傑作があります。どれくらい代表的かといえば、Googleの予測変換で「MTG」「平地」と入力すれば……勝手に「ひまわり」と出力されるほど。
「APACランド」《平地》。通称「ひまわり」。

日本の夏をモチーフに描かれたという、地平線まで連なる、金色のひまわり畑。文字どおりに花やかなのに、どこかしら郷愁も感じる、素晴らしい風景です。作者は「Ron Spears」。《怒りの天使、アクローマ》や初代《闇の腹心》でも知られる古参のイラストレーターですね。

休息も慈悲も無し?
ファイレクシア人みたいなことを言い出したのだ……

「ひまわり」は確かに良いものです。しかし、「エメリアコントロール」はせっかく《平地》を横に並べる意味合いが強いデッキなので、もう一捻りがあっても悪くない気がします。ふーむ。《空の遺跡、エメリア》と合わせて、「ゼンディカー」次元のフルアート土地などは???

統一感が美しい……「面晶体」をそろえて古代遺跡《エメリア》の力を目覚めさせるという、フレーバー重視の選択。「ゼンディカー」は再録機会に恵まれた次元で、フルアート土地の種類が多いのも魅力です。
他にもまったく別のアプローチを試す手もあります。「ウルザズ・サーガ」の《平地》。

ここに描かれているのは、《エメリア》と同じく空に浮かぶ大地……「セラの領土」。ファイレクシアの侵攻で荒廃したのち、ウルザの戦略により、パワーストーンに封じ込められた、純粋な「白」の世界。

「John Avon」と並ぶ、最高の土地絵師「Rob Alexander」の淡い筆致で描かれた“今は亡い世界”は牧歌的で、良質な童話の挿し絵のようです。
以下のようなカードたちが主力を務める「エメリアコントロール」。意外と「セラ」と関わりが強いデッキです。

「ウルザズ・サーガ」の基本土地は絵柄違いのものが4種類あり、あえて統一せずに、同じ戦場で「セラの領土」全種を揃えてみせるのも洒落ていると思います。このカードで好きな《平地》を自由に引っ張ってこられるデッキですし。

いやいや、フレーバーやストーリーのつながりにこだわりすぎるのも選択肢が狭くなりますね。純粋に好きなものを使うというのも、もちろんあり。たとえば、これなんてどうでしょう? 「Jumpstart」の「犬」。

日向ぼっこを楽しむ大型犬と、晴れ空の下、蝶が舞う花畑。のどやかで、見ているだけで頬がゆるんできそうな風景です。花畑といえば、これもいいですね。「ユーロランド」の「オランダ」。

「ひまわり」に次いで、少し高価な《平地》ですが、奮発する価値はあると思います。「フェルメール」の風景画を思わせる、曇天の陰影が印象的な作品。
オランダといえば「ドン・キホーテ」が戦いを挑んだ「風車」。どっしり構える「エメリアコントロール」にも合いますが、積極的に小型クリーチャーを展開する「デスアンドタックス」などのデッキに似合いそうな《平地》かなと思います。

次。記事の順番にしたがって、「黒単ダークデプス」。

「黒」=《沼》は、イメージどおりに個性が反映されやすい色で、これという定番を示すことは難しいのですが……特にスタイリッシュなこの1枚を好む“黒単”使いは多いのではないでしょうか。
「アラーラの断片」収録、「エスパー」の《沼》。

暗い下水道から見えるのは、細く切り取られた「エスパー」の夜空。そこに浮かんでいるのも、さらに細く、限りなく鋭い月。幼いころの「テゼレット」も、まだ形のない憤りに苛まれながら、残酷なまでに美しい、故郷の月を見上げていたのでしょう。

「機械仕掛けの男」
名ヴィランです
「あいつは満たされていない状態のほうが、有能」
ボーラス卿、慧眼

ただし「黒単ダークデプス」は《ヴェールのリリアナ》のためのデッキ。まずは彼女の故郷「ドミナリア」か、関わりの強い「イニストラード」の《沼》を探したい気がしますね。もしくは、今のホーム、「ストリクスヘイヴン」。僕の好みは「ミラージュ」の《沼》。

「霧月」と「虚月」、2つの白い月が妖しくも美しい、「ドミナリア」でしか見られない夜の風景。死者たちを従えた「リリアナ」が朧な明かりの下から現れそうです。

やだ……たのしそう
通称「リリアナ・ワッショイ」
いや、あの、こんな神輿イメージじゃなくてな

「イニストラード」なら、これなどは? 「イニストラード:真夜中の狩り」、「永遠の夜」版の《沼》。

「永遠の夜」版の“基本土地”はちょっと視認性が悪いのが難点。

全部、《沼》に見えるのですよね
ちなみに《平地》
白マナ、出る? これ

しかし、「黒単」でならこの難しい土地もファッションとして上手く使いこなせるはず。「リリアナ」だけでなく、《暗黒の深部》のデッキでもあると考えるなら、《冠雪の沼》を使うのもいいですね。ただ《冠雪の沼》は絶対数が少なく、選択肢の幅が限られるのが辛いところ。中でもこれなんか、どうでしょうか。「Secret Lair」=「Eldraine Wonderland」版の《冠雪の沼》。

「リリアナ」は「エルドレイン」次元と特に繋がりが深い訳ではありません。しかし、どことなく薄暗さや妖しさが漂い、意外と親和性が高いのではないでしょうか。「エルドレイン」は通常版の《沼》も良いもので、特に妖精光が飛び交う、この1枚を採用するのもオシャレかと思います。

今回のデッキとはイメージが違うかもしれませんが、生粋のファイレクシアンにはこれも欠かせません。「Secret Lair」のファイレクシア語版《沼》。黒い「感染」や《黙示録、シェオルドレッド》を積極的に用いるデッキでぜひ。

次。「緑単ストンピィ」。

僕個人の趣味にしたがうなら、木立の向こうに黄金の入り日が輝く「テーロス」の《森》。

緑の大神《ナイレア》が治める森に、なにか、人智を超えた存在が降りてくる寸前のようで、神性に打たれて息を止めたくなる1枚です。よく似た構図だと、「オンスロート」や「基本セット2011」の《森》も良いですね。

静謐な神秘性だけではなく、荒々しくも旺盛な自然の発現こそが「緑」だ、という方には「アンサンクションド」版の《森》がオススメ。

ジョークセットである「アン」シリーズでは、毎回、趣向を凝らしたフルアート基本土地が収録されており、目玉の1つとなっています。《森》だけを連ねると、このとおり。
「アングルード」

「アンヒンジド」

「アンステーブル」

「アンフィルニティ」→「惑星宇宙的土地/the Planetary Space-ic Land」

「アンフィルニティ」→「軌道宇宙的土地/the Orbital Space-ic Land」

ブッ飛んだ実験をしかけてくる「アン」シリーズも、ついに極まった、という様相です。こんなパワフルな土地は、他のセットではまず刷られる機会がないでしょう。“宇宙”《森》!!!
この壮大極まる《森》から、“宇宙”《ラノワールのエルフ》を繰り出し、「緑」の誇る“宇宙”大怪獣たちに繋げる……こんなん、盛り上がらないワケがありません。「マジック」、楽しいです!
「緑単ストンピィ」自体が、巨大クリーチャーを次々と叩きつけてエンジョイするために組まれたデッキ。こういうド派手な土地がよく似合うのではないかと思います。
遊び心といえば、これもあり。「イコリア:巨獣の棲処」と同時に販売された、「ゴジラランド」の《森》。

どんな規格外のモンスターが戦場に現れるか、1ターン目から予感に胸が高鳴ってくる《森》です。ちなみに実際に《ゴジラ》をデッキに潜ませておくという奇策も無いわけではありません。《自然の秩序》で軽々と呼び出せる上に、なんと、中盤以降は素出し圏内。「サイクリング」で「トランプル」付与もできるので序盤も意外と腐りません。

なんのゲームだ、ってなるけど
お祭りです、お祭り

次。「赤単フェニックス」。

まずは「ラヴニカ版アリーナランド」の《山》から。

キーカードの《弧光のフェニックス》は「ラヴニカ」次元のクリーチャーなので、溶鉱炉の人工的な熱気と輝きが意外と似合います。しかし……《山》とは、何??? という原初の疑問が浮かんでくるのも確か。それなら《彼女》の出身次元はどうでしょう。「タルキール覇王譚」から、「ジェスカイ」の《山》。

デッキの先鋒《僧院の速槍》にふさわしい、切り立った深山の修行場と赤い陽。「アジア」をモチーフにした「タルキール」次元ならではの鮮烈な光景です。「アジア」といえば欠かせない《山》が他にも。「ひまわり」と並び、「APACランド」の象徴といえる1枚。「富士山」。

特に高価な《山》の1つですが、激しいイラストが多い中、例外的なほどに静かで落ち着いた、日本の原風景。朝焼けの中、空と霞みが仄かな桜色に染まるさまが印象深い名品です。
伝説に謳われる「不死の山」と何度も戦場に甦る《フェニックス》との親和性も抜群で、ぜひこれで統一した「赤単フェニックス」を組んでみたいものです。

別の形での「富士山」を使う手も。「神河:輝ける世界」の浮世絵版《山》です。

こちらは「APACランド」と違って、思いきり戯画化された、楽しい作品。雲間の龍や火の玉もコミカルでお茶目。この《山》から天災のごとく《稲妻》《火炎破》を次々と撃ち込んで、高速勝利を狙っていくのも、粋です。
「神河:輝ける世界」は通常土地も良いもので、高楼と瓦屋根が連なる「ネオ神河」らしい1枚を選ぶのもオシャレではないでしょうか。

「ドーモ。対戦相手=サン
“スィフトスピアー”です」
豊満であった……アバーッ!!!

上でご紹介した、「John Avon」の赤い《山》は有名ですが、同じ「ミラージュ」のこちらも佳品です。

赤い山肌がむき出しのイラストが多い中、生き生きとした樹相と高い空。田舎育ちの身としては、生命にみなぎる、こちらの《山》のほうが馴染み深いです。一方、《稲妻》のための色と考えれば「Jumpstart」の《山》が抜群に尖っています。「赤」=「ロッケンロール」。

個人的には、「Giftbox2017」に収載された、次の《山》が好きですね。
「流星」。これこそが「赤」、という生き様を静かな決意と共に示すようで。

次。ラストは「青単フルパーミッション」。

冒頭でもご紹介した「Guru Land」の《島》はもちろん良いものです。しかし、あまりにハードルが高く、「初心者や復帰勢、親であるプレインズウォーカー向け」という記事の趣旨からは、ちと逸脱しています。
“基本土地”こそ全力でこだわろう、と主張をするための記事でも1枚が26万円は、うん……まぁ……。
「Terese Nielsen」が手がけたフルアート土地は他にもあり、ジャッジ報奨版《島》。

こちらも相応に高価ですが(確認したところ、3万5千円であった……)孤島と海に射し込むプリズム光が複雑で美しく、実に「Terese Nilsen」的。ぜひ手にしたい逸品。
イラストレーターつながりだと、世にも珍しい「Rebecca Guay」の《島》などは?

水彩の柔らかな色彩美が魅力の彼女にしては激しく、波が躍動的に打ち寄せる様子が印象に残る作品。「青単フルパーミッション」の重要パーツ《予報》との絵合わせで、こちらの《島》を採用するのも良いかと。

だいすき(語彙消失)

別の方向で、憧れの《島》は「ユーロランド」の「ヴェネツィア」。「APACランド」の「香港」「日本」。

現実の次元と「マジック」の世界をシームレスで繋ぐ、珠玉の風景たち。「ヴェネツィア」の空を《風のドレイク》が飛び過ぎ、「香港海峡」を《リバイアサン》が支配し、「夫婦岩」の背後から《島魚ジャスコニアス》が大口を開けて飛び出しても何ら不思議はありません。

《氷河期の災厄》を単騎で屠り得るもの
“相克”=《島魚ジャスコニアス》!!!
7/6が《甲鱗のワーム》の日なら
6/8は《島魚ジャスコニアス》の日!
青使いは、備えよう

デッキの性質に沿わせる方向ならば、「奇跡」を生んだエキスパンション、「アヴァシンの帰還」の《島》という手も。

ほの暗く、不気味な雰囲気のイラストが多い「イニストラード」でも、《獄庫》が破壊され、《アヴァシン》が帰ってきた直後には、このように朝の光と希望に満ちあふれていました。この次元のその後は……うむ!

ひたすら受難が続きます
アイ アムラクール(ぐるぐる目)
これでも、充分じゃないんだ

僕自身は、この《島》を長らく愛好してきました。「ポータル2」(というか、「6版」白枠)の《島》。通称「ドレイク」。

「青単コントロール」でこの《島》2枚を構えるのが、僕にとっての「マジック」でしたから。

「John Avon」の《島》には目移りするほど秀作が多く、いくつかを並べてみます。お気に入りの1枚を見つけてもらうことができれば何よりです。

3.ふぅ。ひとまずは、こんなところでしょうか。もちろん、この記事で紹介できたのは、ほんの“触り”だけ。“基本土地”の世界は、ディープです。前述のとおり、お金をかけたからと言って、自分とデッキにとって最高の1枚が見つかるとは限りません。貴方にとっての良き出会いを、祈ります。

……どうして“基本土地”にこだわる必要があるのか。
はっきり言ってしまうと、前回までにご紹介した5種の単色デッキ、そのどれに使われるカードよりも、今日のほうが容赦なく高額なものが多いです。“基本土地”なのにぃ?  なんて世界だ。

その問いかけは僕にとって、「何のためにレガシーをプレイするのか???」というものとよく似ています。

「勝つために」。それは、もちろん。お互いに勝ちを目指して最大の努力を払う、というのはゲームの前提。勝つ気がないのは、対戦相手にも自らのデッキにも失礼。勝ちには、こだわるべきです。

「楽しむために」。それも、そのとおり。楽しくなければ続きません。しかし、解像度が粗い答えです。何を楽しむのか、という内容が重要になります。
なぜ、わざわざ「マジックで、レガシー」なのか。

「マジック」は「対戦相手=Opponent」との対話を必要とする、対人ゲーム。テーブルの向こうに座っているのは、排除すべき「敵=Enemy」などではない……「マジック」で「レガシー」という共通言語を学んでいて、それを通してコミュニケーションを取れる、希少な、有らん限りの敬意を表したい存在です。

ひるがえって、上の問いに僕なりの答えをあげるならば、同じ言葉の「友人を得るため」ということになります。
勝つことは、もちろん重要。しかし、“なりふり”は大いに構うべきです。ただ強さを誇っても、人間性の卑しさから勝ちの喜びを分かち合う相手を得られないのでは、空しい。
肝心の強さのほうも、客観的な視点に恵まれず、誰とも知見を共有できないのなら、すぐに頭打ちです。

話を聴く、という能力も重要
難しいですけどね

社会性は、より高いレベルの強さを得る手段でもあり、自衛手段でさえあります。身なりも礼節も、「わたしはあなたを尊重します」と伝えるために必要……たとえ、完璧ではなくても。アイサツは、この次元が「ネオ神河」でなくても、やはり大事。

「ドーモ。インクアイです。」
ネズミ・ニンジャクランの
アーチニンジャのエントリーだ!
豊満であった

それだからこそ、“基本土地”です。「自分とは何者か」を控えめに伝えられるコミュニケーションツールとして。それで、話の接ぎ穂にでもなれば最高です。
たとえば対戦相手が「Jumpstart」の「犬」や「恐竜」で見事に土地を統一していたら。そんなん、どう考えても友だちになりたいですやん。間違いなく“わかっている”人ですもの。

いつか。子どもたちに「どうして学校に行かないといけないの」と、聞かれたときのために。
用意している答えが、実は同じです。「友人を得るため。今でなくとも、未来の出会いに備えるため」。

学校は、この次元は、ときに残酷です。無理することはない。作り笑いで八方美人を演じる必要も無い。
しかし、思いがけないタイミングで、貴重な出会いも降ってくるかもしれない。
その得難い機会を逃さないために、人との間合いの計り方を、礼節を、品位を……自分なりの美学を身につけなさい。完璧ではなくても……「フェア」でありなさい。それが、まだ幼い娘たちに伝えたいメッセージ。

オシャレもまた、アイサツと同じほど、大事です。基本は、“基本土地”から。無理にお金をかける必要はなくとも、自分なりの1枚を探し求める価値がある、と僕は信じます。それでは、また。

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