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【MTGレガシー】 「青単ダークデプス」の輝き: 前編 対「スゥルタイ豆の木」 【初心者、復帰勢、自分と同じ親に向けて】

1.いや~。自分でプレイするの……すごく、こわいぜ。正直なところ、そんなふうに思っていました。その日はレガシー友だちさんが誘ってくれたフリープレイの練習会。競技でもないし、いちばん、恐くない部類の集まりだぞ???

しかし、僕が紙でほかの人と遊べるのは、およそ4ヶ月ぶりで……しかも、前回の記憶が、すこぶる良くない状態で停止しています。
(敗色であからさまに不機嫌になるタイプのひとを負かしたら、こちらのシャッフルのしかたが悪いせいだと怒ってきた)

望ましくない状態だなぁ、と知ってはいたのですが。
人という生き物は、しばしば、自分の心に呪いをかけます。恐れや怒り、不安を、停まった時の中で実際よりも大きく、反響、増幅させる。

イラストも効果も、こわすぎるんよ
ひぇ……

“呪い”を払拭するには……新しい体験で、心の同じ部分を上書きするしかありません。しかし……家族がいるぶん、なかなか自分の都合だけで動けなくて。

この半年、やたらと新しいデッキを作っては「X」で紹介したり、それを素材にnoteで記事を書いたりしていたのは、じつは自分のための代償行為という面が大きかったのです。(あと、素直に反響が嬉しかった)

それは、悪いことばかりではなく……玉石混淆のデッキをアホほど編み続けたぶん、以前なら思いつかなかった作品も形にできるようになった……気がします。うぬぼれっ!
その1つの結晶が、青1色、純正“モノブルー”の「青単ダークデプス」です。長々と失礼しました、今回のデッキリストはこう!

2.このデッキには、強さとは関係がない部分で、欠点があります。
「青単ダークデプス」は前回の記事、新年1回目、元日に紹介した「青黒ダークデプス」の派生形なのですが……

「青黒ダークデプス」と「青単ダークデプス」。違いは漢字の1文字で、字面が似ているから、どっちがどっちの名前か、よくわからんのです!
それぞれ、センスある呼称を募集中。ふつうに横文字で「ディミーア・ダークデプス」と「モノブルー・ダークデプス」? うーむ。
ともかく、「青黒ダークデプス」は《暗黒の深部》と《吸血鬼の呪詛術士》との組み合わせ「ヘックスメイジ・デプス」を中心軸とし、

ヘックスメイジ↓
デプス↑

20/20飛行の《マリット・レイジ》と、「青黒」の豊富な呪文量を攻撃力に変換できる《濁浪の執政》とで絶え間なく空戦をしかける、攻撃性が強いデッキ。早ければ2ターン目には《マリット・レイジ》を目覚めさせられます。

一方の「青単」は、黒を用いる理由であり、象徴でもある《吸血鬼の呪詛術士》パッケージをあえて外し、デッキを青に統一。土地である《演劇の舞台》を用いた「ステージ・デプス」だけで《マリット・レイジ》を呼び覚まします。

ステージ↑
デプス↓

デメリットは、低速化。最速パターンを含め、問答無用の一刀両断が難しくなったのは、明らかに弱化。2枚の土地をおく必要がある“ステージデプス”の完成は、現実的には3ターン目以降ですから。

そのかわり、メリットも計りしれません。「デプス」は色が出ない特殊土地が満載で、「青黒」2色でもマナベースに大きな負荷がかかる作りになっていました。
その結果が“デッキ内の土地枚数の増加、それを試合中に使いきれず、手札で持てあます”という構造レベルでの欠陥です。

手札に貯まった土地を
リフレッシュできる《帳簿裂き》を
採用していた理由ですね

それが単色となれば、ぎりぎりまで土地を減らし、その病理から逃れることができます。現に「青単」最新のリストでは“純粋な土地”は20枚! いくつかの際どいカラクリを使っているとはいえ、「青黒」では24枚でしたから、悪くない改善です。

また、「ヘックスメイジ・デプス」パッケージがないぶん、空いたスペースで各種のパーツ枚数を増強でき、《濁浪の執政》での通常攻撃に軸足を置いた戦い方なら、遜色がないはず。代わりの“武器” も無理なく装備できるようになるし。

……というのが、理屈での話。実際、パートナーさまとの相談で、その日、フリプ会に出られるようになり、僕は少し困りました。どのデッキを使えばいい?
アンケートまで取り始めたくらい。

途中まで「ハイランダー・コンボ」がトップを走っており、けっこう真面目に考えたのですが……上で書いた因縁の日のデッキでもあったし。しかし、復帰1戦目で、あのスーパー多頭獣を御しきる自信がないよ!!?

今年、僕の挨拶は「青黒ダークデプス」からスタートしました。意外すぎるほど多くの人にまで届いたようで、喜ばしいかぎり。

それなら、はじめに握るデッキも「デプス」。うちのデッキの最新型で、実験機「青単ダークデプス」にしましょう。
この長い4ヶ月を経て、もっとも新しく編み上げたデッキが、現実の対戦相手にどれほどの威力を発揮できるかを確かめるために。

あらためて
《マリット・レイジ》の
加護があらんことを

3.例によって、対戦内容は箇条書き。うろ覚え、勘違いはお許しを。雰囲気重点な! 4ヶ月ぶりの実践、初戦の相手はこの方。

「やあ!」

うちの記事ではよく登場する、最初のレガシー友だちで、対戦会の主催者、「エスパーブレード」さんですね。
超、ありがたいです。こちとら、気持ちが初心者に戻っちゃって、少なからず緊張もしています。前に文句をつけられて新しいやり方で練習もしたが、ややシャッフル恐怖症ぎみになってるし。気心が知れた相手から再開できるのは、非常に助かります。

ただし、デッキは十八番のエスパー(白青黒)では無さそう。1本目、並べはじめた土地の色が違う。白が見えません。代わりに見えたのが、青、黒……そして、緑。
要するに《Underground Sea》と《Tropical Island》です。

久しぶりの実践すぎて、嗅覚がまったく働いてませんが、速いコンボ……では無い気配。代わりに環境を定義する、これらのカードが透けて見えるようです。

一方、こちらの手札は……誘惑が強い7枚でした。複数の《不毛の大地》と《もみ消し》。この「青単ダークデプス」には、ちょっと貴重な特性があり……土地を封じるのが大の得意なのです。

特殊土地である《暗黒の深部》が苦手とする
対戦相手の《不毛の大地》への備えが
本来の用途
一方で、対戦相手の土地を狙うこともできます
《もみ消し》も《不毛の大地》除けでありながら
レガシーの基盤「フェッチランド」の起動を阻止し
1マナの土地破壊呪文になります
ほかにも工夫次第で、応用は無限
心の隙をつけるカードです

こちらの手番、まずタップ状態の《Underground Sea》を《不毛の大地》で破壊。黒マナを阻んで、クロック(あいつ)の登場を妨害します。
まあ、返しの対戦相手の手番、ふつうにもう1枚《Underground Sea》を置かれて、案の定、“あいつ”=《オークの弓使い》を出されちゃうんだけど。

やむなし。こちらのデッキは“3枚を引く”《渦まく知識》をあえて装備せず、はじめから《オーク》の存在を念頭におき、影響が最小になるよう構築したリスト。それなら、レガシーの2マナクリーチャーとしては、並み程度の攻撃力です。

もちろんこのカードの強さは
死ぬほど承知
良い子は、熟考してから

順次、土地破壊を突き刺して、低マナ域に縛りつつ……こちらの狙いは、まず攻守で貯まった墓地を喰らい、《濁浪の執政》。

これには《意志の力》を合わせられますが……ここまではプラン通り。本命は次の手番、《演劇の舞台》+《暗黒の深部》を揃えての「ステージ・デプス」のほうです!
《不毛の大地》を警戒し、《もみ消し》を構えつつ、相手ターンの終わりに20/20飛行の《マリット・レイジ》降臨。
すかさず撃たれる除去(なんのカードだったかは失念)には、この瞬間のため、初手から温存しておいた《意志の力》!

さっき《濁浪の執政》に《意志の力》を撃たせたぶん、この除去は高い確率で打ち消せるはず。ところが、お相手、さらなる応手に《厚かましい借り手/些細な盗み》までも合わせてきます。

《マリット・レイジ》は
あくまで“トークン”なので
バウンス呪文に弱い
ぐすん……(T^T)

お見事。破壊不能の《マリット・レイジ》に対処できる札を2枚も握っていましたか。こちらの手札に残っているのは《もみ消し》だけなので、《些細な盗み》に対処できませんね。
そのまま、《オーク》と対戦相手の《濁浪の執政》とに押しきられて、1本目は負け。
敗れはしましたが、高密度な呪文戦で、ビリッと首すじに電気が走るような、心地よい感覚があり……「そうこなくちゃな」と思いました。これが、「レガシーだったよな」と。

そして相手の正体が見えた以上、やりようは幾らでもあります。一方で、お相手にこちらのデッキの全容は、まだ見えないでしょう……見えるはずがありません。
申し訳ないのですが、ここからがオリジナルデッキ(もしくはネタデッキ)屋の本領……死角からの不可視の斬擊に備えていただきます。

久しぶりの実践で、もたもたとサイドチェンジを終えてから……2本目はお相手、2マリガン。あらら。
しかし、レガシーでも超一流のパワーデッキ、「青黒緑ミッドレンジ」=「スゥルタイ豆の木」(で、合ってるよね?)に対し、油断と手心は不遜で、無礼な行為。全力で叩きます。
こちら先手で《島》を構えて、スタート。お相手も《島》をセット。《不毛の大地》デッキを相手どるときのセオリー通り、基本土地からのスタートです。
そこから、お相手は《ロリアンの発見》の「島サイクリング」。こうしてほかの色にアクセスしていく算段ですね。おそらくは、ここが急所!

「島」のカードタイプを持つ、各種の
デュアルランドも探せる。ず、ズルい~
でも、便利だから、今回は自分も使っちゃう

《もみ消し》で、起動型能力である「島サイクリング」を打ち消し!
効果はてきめんで、お相手、しぶしぶ《神秘の聖域》をタップインするほど、マナに困窮している様子。しばらく、そこで溺れていただきます。
その隙に、こちらはサイドボードから投入した、秘匿兵器を放ちます。《狡猾の宮廷》。

攻撃を通した側が、ターン終了時にカードを1枚引ける、「統治者」カードの一角。さらにこの《狡猾の宮廷》には、「統治者」ボーナスというべき効果があり、こちらのアップキープに“10枚のライブラリーを切削”。

《マリット・レイジ》も《濁浪の執政》も、どちらもクリーチャー除去に弱いことが分かりきっているので、攻めの角度を変え、コントロール寄りのデッキはこの“置物”で削り潰します。
10枚のライブラリー切削は、バカにできない速さのクロックで……4ターンほどで、対戦相手はまともな戦闘継続が不可能に。

しばらくあとに《花の絨毯》を置かれ、マナ量の差を埋められますが……

美しい、対青兵器
概念が変になるくらいのマナが出る

しかし、そのときには「統治者」で作った手札量が大差。その圧力を背景に《濁浪の執政》も着地させ、対戦相手はライブラリーとライフ、2種類の“時計”に対処できず、「青単ダークデプス」が2本目を獲ります。

「おつかれさまでした」

ふぅ。2マリガンに乗じた形とはいえ、なんとか、1本。これで1ー1。
記事にするといった手前、1本も獲れなかったら、どどど、どうしよう??? などと小さなことを考えていたので、とても安心しました。

僕はまっっったく競技向けではない、カジュアルなプレイヤーと自覚していますが、それでもやはり、勝ちは嬉しい。そしてせっかくなら、もう1本。マッチを獲りたい。そう思うのが自然です。
3本目、お相手が先手で、《思考囲い》からスタート。いま猛威をふるったばかりの《狡猾の宮廷》を手札から未然に落とされます。

デッキの目
「青単」では使えないのが「青黒」より辛い点

しかし《狡猾の宮廷》を失くしたことは、問題になりません。
ほかに晒された手札には《意志の力》2枚が含まれており、こちらは《思案》《定業》などドロー呪文などをはさみつつ、刻々とまっすぐ、“その時”に向かって、時計の針を進めるだけ。

対戦相手、《オークの弓使い》。いざ、この局面に至っては……貧弱ですね。さらにお相手は《トレストの使者、レオヴォルド》。

お相手は、見えている《意志の力》を彼に消費して欲しそうでしたが、無視です。取引に合意するつもりはありません。
なにしろ、こちらはすでに……一切の呪文を唱える必要がないのですから。

対戦相手がクリーチャーを順番に唱える間、こちらが淡々と進めていたことは……《演劇の舞台》、そして《暗黒の深部》の設置。
つまりは、呪文を唱えなくとも、土地を置くだけで進行できる「ステージ・デプス」コンボが完成! 今回は最初から狙って、“そういう手札”を整えていたからです。

お相手は《渦まく知識》や《思案》で対処を探し……しかし、はじめから見えている2枚の《意志の力》を貫いて《マリット・レイジ》を撃破するにはマナ量が足りないらしく……投了。
2ー1で、「スゥルタイ豆の木」戦、マッチ勝利です。

「おつかれさまでした」

なんか、順番間違えて《不毛の大地》を置けなかった、と怖いことをいってましたが……もし、正しい手順をふまれたら、《もみ消し》用の青マナが……足りたかな? 怪しかったかな。

ともかく、ひさしぶりの戦いだったことに免じ、貴重な勝ちを贈ってもらったと喜ぶことにしましょう。

ふぅ。たとえ練習試合でも、ぎりぎりの噛み合いに救われただけでも……勝ちは不思議です。自分にかけていた“呪い”は、この時点で大きな部分が上書きされて、すっと胸が楽になった気がします。

そして「レガシー」最強のパワーカードの凝集体である「スゥルタイ豆の木」と、自分の作品「青単ダークデプス」が互角に近いレベルで渡り合えたことも、小さくない自信になってくれました。
(興味あるかたは「スゥルタイ豆の木」のリストを調べてみてください。いや、物凄いんだから)

あちらも
《濁浪の執政》を最大のパワーで活かせるデッキです

ともかく、次の戦いまで1度に書き連ねると、紙数を使いすぎますね。続きは後半に分けることにしましょう。それでは、また。次回は「スニークショー」戦。

間違いなく
レガシーでもっとも安定した
最強格のコンボデッキの一角です

1/22追記。後半戦は、こちらへ↓

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