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ASDの特徴を的確に捉えた概念〜ウィングの三つ組とは

こんにちは、精神科医のはぐりんです。 
※この投稿は3分で読めます。最後までお読みいただけたら嬉しいです。

「発達障害かどうか診てほしい」との理由で来院される患者さんが増えている、というお話は以前もさせていただきました。

発達障害かどうかを診断することは、患者さんのその後の人生を左右すると言っても過言ではなく、そのため様々な角度から、出来るだけ多くの情報をもとに診断していきます。

過去の様子や現在の症状、診察と心理検査、本人や母親や職場の同僚からの供述、通知表(これ意外に大事!)等、でしょうか。

その中で、私が診察時に重視していることの一つに、ウィングの三つ組と呼ばれるASDの特徴があります。イギリスの精神科医であり、自閉症の娘の母でもあるローナ・ウィング医師が提唱した3つの特徴です。

ウィング先生は、かつては自閉症といえば文字通りの孤立型に限定されていたものを、いわゆる現在のASD、実は相互的な関係が取れていないような子がおり、そういった子には三つ組の特徴があると提唱しました。1981年にアスペルガー症候群という言葉を広めた方でもあり、積極奇異型ASDの名付けの親でもあります。

その三つ組の特徴とは

①社会性の障害
②コミュニケーションの障害
③常同的、限定的な行動
(こだわり、想像力の障害)


ASDの特徴を端的かつ充分に捉えてますよね(ここに挙がっていない他の特徴は感覚過敏DCD)。三つ組それぞれの具体的な特徴を紹介します。

①社会性の障害
同年代との交流ができない。幼少期は1人遊び、人より物に興味を持ったり、楽しみや悲しみを共有できなかったり、大人になってからは暗黙のルールや空気を読めない、挨拶や気配りができず、集団適応ができなかったりします。

②コミュニケーションの障害
実際の対人場面でのコミュニケーション、言語面では、冗談が通じなかったり、そもそも言葉の意味を正確に理解していなかったり、独特の言葉遣いだったり、声の大小や抑揚がおかしかったり。言語外では、視線や物理的な距離感、身振りや顔の表情といった、直接のコミュニケーション場面での特徴を指します。

③常同的、限定的な行動
(こだわり、想像力の障害)
興味が限定的だったりルーティンが多すぎたり、変化を嫌いそれ故に想定外のことに弱かったりします。

特に、①社会性の障害は重要視されていて、幼少期から特性がでやすく、私がよく聞く内容としては、中高生の頃に部活に所属していたか(またどのように過ごしたか)、いじめがあったかどうか、それと通知表も確認します。通知表は評価点も見ますが、先生が書き記した普段の学校での様子は特に参考にしています。大人になると擬態して分かりにくかったりしますが、子供のころは割とはっきりと特性が出ていたりします

ウィングの三つ組、コミュニケーションの障害やこだわりや常同性があるから、表面的には①の社会性の障害が問題として浮き彫りになってくるんですね。相互に関連しているから三つ組なんですね。

次回はウイングの三つ組をもとに、意外に知られていない発達障害について紹介しようと思います。ぜひ次回もお読みいただけたら嬉しいです。

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