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精神科医に求められるアンビバレントな資質

こんにちは、精神科医のはぐりんです。
※この記事は2分で読めます。

今回は私の思う精神科医として働く上で必要な要素をご紹介したいと思います。

この仕事をしていると、時に患者さんから心無い言葉を投げかけられたりもします。長年この仕事をしていて、そういったことにはだいぶ慣れてはいるつもりでしたが、先日とある入院されていた高齢男性患者さんから言われた言葉にはさすがに堪えました。

「人間のクズ」「お前医者辞めろ」「顔見ているとイライラする」等々‥‥
お相手の人格を否定したり、心をえぐるような言葉は良くありませんね。。精神科医でも傷つくんです(泣)

その方は軽度の認知症ではあったのですが、割としっかりしている部分もある方でした。薬物依存(安定剤)があり、入院した当初は離脱症状でイライラして他のスタッフをつねったり、暴言を浴びせたり、最終的には入院の不当性を訴えだし、主治医である私のみが標的となったのです。

色々ありましたが、薬物依存も改善し、(私の前以外では)穏やかになり無事退院しました。私もその時は多少傷つきはしましたが、過ぎてしまえば(こうして思い返してはいますが)そこまで引きずることはありません。

精神科医には嫌なことを引きずらない、もしくはそもそも全く気にならないといったある種鈍感力が必要になるかと思います。数百人いる患者さん、全員を気にかけ感情移入していたら身が持ちません

心が病み休職した(している)精神科医も何人か知っていますし、バーンアウトして自〇してしまった精神科医も話に聞きます。「休日は、仕事や病院や患者さんのことがほとんど気にならない」くらいが丁度いいのかもしれません。

その一方で精神科医には、患者さんへの共感性心の機微を感じとる能力、多職種との連携や意見を取り入れるなどの柔軟性も当然大事な要素です。

鈍感力とは相反する部分だとは思うのですが、この両価的(アンビバレント)とも言える感情や認知を持ち合わせ、あるいはうまく使い分けられる、というのが精神科医に求められる要素なのかなと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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