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■私のphilosophy


哲学すなわちphilosophyで、まず頭に浮かぶのは、TV番組「プレバト!!」で陶芸や俳句で活躍する松岡充さんのことです。彼がヴォーカルを務めるバンドsophiaのミュージックVHSのタイトルが、philosophyなのです。私と奥さんの馴れ初めはsophia を通じたものでした。

おそらく、松岡充さんの信念をphilosophyとしてビデオに詰め込んだのであろう、「philosophy-VI ~手にしたモノと失くしたモノと未だ見ぬモノ~」。そんなトンがったサブタイトルにも夫婦で震えた思い出があります。

■私の仕事哲学は診る相手は子どもだけではないということ


さて、私の仕事哲学の1つに、小児科医は病んだ子どもを治して社会に帰すこと、というのがあります。急性上気道炎に始まり、さまざまな感染症、身体疾患や心の病を診療することです。ただそれのみならず、社会に帰す際には、再び戻って来ないようにどうすべきかを、子どもや親に伝えることが必要です。例えば、いじめによって不登校となった子どもであれば、家庭で子どもを責めるような自己評価を下げる言動はしてはいけません。親は子どもが不登校に至った現実を受け入れ、子どもの気持ちに寄り添いながら、再び学校に行きたくなる気持ちを待つことが大事です。医師は子どものみならず、そのような親の気持ちを動かすことが大事だと考えています。

ただ私も人間なので、感情的になってしまうことがないわけではありません。子どもが辛くて辛くて学校に行けない状態にあるにも関わらず、「そんな大したことのないことで学校休むんじゃない」「出席日数や内申点のことがあるから早く学校に行け!」と、どの親でも自分の子どもに言いたくなる時があります。しかし、親であるからこそ怒鳴りたい気持ちを抑えて、子どもの気持ちに寄り添うことが大事です。親は子どものために、自分の気持ちを押さえて、全てのことを受け入れる、それが何よりも重要なことだと、私自身子育てをしているからこそ思います。

■自分の根底にある思いが仕事の哲学を作る


神経性やせ症の子どもの全身管理や心の診療について、私は身を削っています。よく人は、コップにギリギリまで満たされた水の如く、気持ちを張って生きているものです。あと1滴がくれば溢れてしまう状態だと表現されることもあります。とくに若い頃は、私自身もそうでした。それほど、精神的にギリギリの状態にいたということです。だからこそ、そういった子どもの気持ちがわかるので、子どもたちのためにできることを最大限にしたい、というのが、私の根底にはあります。

それなのに救急車の不適正使用、すなわち大したことのない症状で救急車を呼びつけ、タクシーがわりに使用する保護者がいます。そういう行動をとる保護者には、小児科医局として保護者と争ったことがありました。救急車は本当に必要な人に使ってもらうためのものだからです。

それが私の信念であり、仕事哲学です。だから今をしっかり頑張って生きています。社会のためにも、そんな不正は許したくありません。
「そんなことで争うぐらいなら目を瞑りなよ」
私を指導してくださった教授や医局との折り合いがあるので、ほら、「サンタは誰にでも来るじゃないか」と口癖のように上司には諭されたものです。

だから私は、小谷美紗子の「あなたはやって来る ~Dear Santa~」をクリスマスが近づくと思い出したように聞いています。新年や時あるごとに、自分の信念を貫いた尊敬する菅原道真を祀った湯島天満宮に自分の思いを擦り合わせて、精一杯医師人生を生きています。それが私の仕事の哲学です。

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