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金丸耕平の休日--伊勢老舗旅館編--14話〜19話

14話

「うぉぉおおお!!!」タケルの渾身の一撃が10発ほど大嶽丸の顔面に打ち込まれる。既に大嶽丸の顔面はグチャグチャになり、角は2本とも折れている。

田村麻呂「タケル殿!タケル殿!もう死んでおる。大嶽丸は死んでおる!」地面から覗き込むように、砂埃舞う穴の空いた地面に向かって田村麻呂は叫んだ。

タケルは我にかえりゆっくりと攻撃をやめた。すると、タケルの虹色の覇気が消え、その場に倒れ込んだ。タケルもボロボロの状態であり、血だらけである。

大嶽丸は見るに無惨な姿になっていて、黒目は上を向き、顔は、グチャグチャになり、身体はボコボコになっていて、息はなく死体と化した。

田村麻呂は懐かしき敵である大嶽丸を横目に倒れ込んだタケルをお姫様抱っこするように抱えて、タケルの攻撃により10メートル穴のあいた地面から地表に上がった。

田村麻呂「タケル殿よくやってくれた!感謝いたす。」ボロボロのタケルに向かって話しかける田村麻呂。タケルは地面に仰向けになった状態でピクリともしない。

すると、林の中から一匹の白い狼が歩いてきた。体長は3メートルほどある、大きな狼である。目は青く、神秘的な姿をしている。

田村麻呂「タケル殿に会いにきたのか!?」殺気が全くない狼を見て田村麻呂は話しかける。

白い狼はゆっくりとタケルに近づいて、タケルの顔を舐めている。田村麻呂「やはり、タケル殿の使いか。」すると白い狼は何も言わず、タケルを背中に乗せて走り出した。

田村麻呂「拙者もついていかねば!」田村麻呂も白い狼を追いかけて行った。






金丸一同はタクシーに乗っていた。仁科「月梨さん疲れたでしょう!?」西郷はせんべいを食べいる。その横には金丸がいる。助手席には月梨が座り。後部座席には、真ん中に西郷が座り、金丸、仁科がある。


月梨「疲れたといえばそうね。」月梨にとっては散々だった今日、振り返るように1日を表した。その表情は辛くもどこか嬉しそうに話した。金丸「でも、本当良かったですよ、無事にこうしていられるんだし、西郷さんや月梨さんに出逢えたのもなにかの縁かもしれません。」西郷「じゃの。わしはただ休憩しとったんにゃ、ベンチで腰掛けとったら、女性が見えたんにゃ」仁科「西郷さんのおかげですよ、私1人では気づけなかった筈です。」月梨「本当、ありがとうございます。」金丸「もう、そんな事しないで下さい。」月梨「(ドキッ!)はっはい。」月梨は真っ赤になった。横目でタクシーの運転手がチラッと月梨を見た。仁科「あれっ!?月梨さん赤くなってませんか!?」西郷「んにゃ。」月梨「そっそんなことありません。」西郷「ハッハッハ若いのはいいにゃぁ(笑)」

しばらく話していると、タクシーは月梨の家の前に着いた。ガチャ!ドアが閉まる。ウィーン窓が空き、金丸「月梨さんまたね!」月梨「えぇ!ありがとうございました。」仁科「おやすみなさーい」西郷「またにゃぁ。」



15話

金丸達はサンセット伊勢に到着した。時計の針は20時をまわっていた。

玄関の扉が開き、女将さんが出てきた。

女将「あら、おかえりなさいませ、金丸さん、西郷さんまで。ご一緒?お知り合い?」金丸「途中で意気投合しちゃいまして(笑)」西郷「今日は一瞬に飲むにゃ。」女将「はいはい、どうゆういきさつかは知りませんが、皆さん仲良くってね(笑)」仁科「女将さん、お気づかいありがとうございます。西郷さんの夕食もこちらの部屋にお願いできますか?」女将「えぇ勿論ですとも。」女将さんは金丸達の要望に気前よく答えてくれた。


3人は仲良く食事をしながら話していた。金丸「いやぁしかし、今日は色々あったね(笑)」西郷「んにゃ。」仁科「本当ですよ。朝から晩まで!こんな日は珍しいかも知れませんよ(笑)」西郷「んにゃ。」金丸「そうそう(笑)そいえば仁科くん、夫婦岩に向かうバスが急停車した時点でなんか変だったよね?」仁科「そういえば、なんかの前ぶれだったのかも知れませんね(笑)」西郷「わしも引かれそうになったわ(笑)」仁科「ん?西郷さんなにかに引かれそうになったんですか?車ですか?」西郷「(しまったにゃ!)ん?ちょっとにゃ。」西郷はつい口を滑らせたような面持ちでいる。すると金丸「猫でよかったね(笑)」西郷(ギクッ!!猫で良かったじゃと!!こやつらのバスじゃったのか!?もう少しで死ぬとこじゃったにゃ!)仁科「ほんと危ない所でしたよ(笑)」西郷(ここは一旦話を変えよにゃ。)西郷「お主ら知っちょるにゃ?」金丸「へっ?何をですか?」仁科「へ?」西郷「なぜサンセット伊勢がこれほどまで伊勢で大きくなれたかと言うとにゃ、サンセット伊勢は古から続く天然温泉なのじゃ、その昔はるか、はるかかなたの昔に、イザナギがその身をお湯で洗ったという言い伝えがあるのじゃにゃ。」仁科「へーそうなんですね。それはすごいですね。」金丸(んっ!?今、西郷氏、古の話した!?)3人はお酒を飲みながら、散々色々な話で盛り上がった。

西郷「んにゃ、また明日にゃ。」金丸「おやすみなさい。また明日。」仁科「おやすみなさーい」西郷はそう言って部屋を出た。

ガチャッ!西郷は扉を締めて、自室に向かった。


ポンッ!!!と音をたて西郷は人間から猫に姿を変えた。そして、走り出した。

西郷(やっぱりこの姿のほうが走りやすいわ、どうも最近歳をとりすぎたにゃ。おっとっと、酒がきいとるにゃ。)西郷は若干ふらつきながら、白いモフモフの毛のおじいちゃん猫のまま部屋に戻っていった。







天狗「あーぁ、死んでるな(笑)大嶽丸。卑弥呼様に報告しないとな。」天狗は大嶽丸の死体を見ていた。天狗「須佐之男があんな化け物に変身するとはな、しかし、俺の気は感じれなかったみたいだなキッキッキッ、田村麻呂も俺の気は感じれなかったみたいだなキィキッキッキッ」



2章16話

卑弥呼「ぬ…ぬ…ぬぅ、パピリラパピリラ!ラタナニィラァ!!!!」卑弥呼がそう唱えると、目の前にいるヤマタノオロチは山1つ分程ある大き過ぎる体が、杖に变化した。

卑弥呼「やっと、わらわの願いが叶った。ホォーホッホッホッ」かん高い声で笑う卑弥呼、その右手にはヤマタノオロチを变化させた、蛇の頭を持つ杖を持っている。







金丸が旅行に来て4日目の朝が来た。

チャラララリィラリィ♪、デジタルテレビから宮崎アナが現れた。宮崎アナ「朝からググッど!では最近起きた、一連の伊勢連続殺人事件を日夜追っています。皆様からの情報お待ちしております。」テロップには伊勢テレビ朝からググッと!伊勢連続殺人事件情報局と書いてあり、その下に電話番号が書かれている。宮崎アナ「では、本日は2件目の事件なんですが、伊藤さんどう思いますか?この事件?」伊藤「我々ジャーナリストの意見として言いたい所なんですが、個人的に発言させて頂きます。今回のこの3件の殺人事件は異常です。残忍ですし、短期間に連続して起こっていますね。」宮崎「ええ」宮崎の目はしっかりと伊藤を見ている。伊藤「はい、2件目の事件、まだ中学生ですよね?」宮崎「はい」宮崎は答えるように返事をした、伊藤「酷すぎませんか?こんな事普通の人間はできませんよ。」宮崎「えぇ、非常に胸が痛いですね。」伊藤「いや、あのね宮崎さん!私もね娘がいるんですよ。娘がねこんな事されたらと思うとね!!わかるでしょ!」伊藤は少し感情的になってきている。宮崎「はい!本当です。」伊藤「1日も早く犯人が捕まる事を願っています!犯人聞いてるか!?自首しなさい!自首!」伊藤は血走った目でカメラに向かって唱えた。宮崎「伊藤さん、皆様の気持ちまで伝えて頂きありがとうございます。」伊藤「いや、いいんです。私は親御さんの事を思うと、同じ娘を持つ身としては黙っていれないのです。こんな事許されません。」宮崎アナ「本当です。伊藤さんありがとうございました。それでは中継に参ります。」中継先へとテレビが切り替わる。宮崎アナ「剣持さん!剣持さん!聞こえますか?」牧村「はい、こちら牧村(まきむら)です!!」宮崎アナ「あれっ!?剣持さんお休みですか?」牧村リボーター「はい、剣持リポーター色々とありまして、急遽私が交代して現場に入りました。」牧村は50歳を過ぎたオールバック気味のベリーショートヘアーのベテラン女性リポーターである。宮崎アナ「そっそうなんですね、心配ですね。それはそうと、説明お願いできますか?」牧村「はい、事件はちょうど1ヶ月前のここ、たった今私が立っているこの場所で行われました。こちらすぐ目の前に神社が見えます。こちら側は林になっていて、女の子は何らかの形でここに連れて来られて殺害されたのではないかと思います。」宮崎「凶器は見つかっていませんよね?」牧村「はい、遺体からは刺し傷などはなく、警察の見立てでは首を閉められて殺されたとの事です。」宮崎「そうですか、ありがとうございました。」牧村「現場からは以上です。」宮崎「一旦cmに入ります。」チャラララリィラリィ♪


17話

月梨「ママァ今日も先生に会えるの?」ママ「依美ちゃんがいい子にしていないと会えないわよぉ」月梨が産まれて間もなく父を亡くくしている。そんな彼女にとって藪は大切な存在だった。
ガチャ病室のドアが空く。藪「おっヨミちゃん、もう保育園行って来たの?」月梨「うん。お昼寝いっぱいしたの。」藪「へー良かったね。いっぱいしたの。そこに座ってごらん。」月梨「うん。」藪はヨミちゃんの心臓の動きを息1つせず診察している。藪「うん、元気いっぱいだねヨミちゃん。」月梨「そだよ。藪先生に会えたからだよぉ」ママ「まぁヨミちゃんお上手ね(笑)」藪「照れますなぁ。ハッハッハ」藪は宮崎駿風の見た目をしている。しかし、宮崎駿を更に優しくした感じの顔をしている。
月梨が保育園に通う頃、藪は45歳を少し過ぎたくらいだった。少し老け顔の藪はヨミちゃんの前ではいつも笑っていた。ママ「藪先生いつもありがとうございます。なにからなにまでしていただいて。」藪「いえいえ。そんな事ないですよ(笑)」看護婦A「あらぁ、藪先生照れちゃって(笑)」看護婦B「アッハッハッハッ」病室は笑い声で溢れていた。
藪は月梨と同じ心臓病を生まれながら持っていた。それ故、藪は月梨を自分の事のように可愛がり、思っていた。藪の人生は自分のような同じ人を救うために医者になり、そして、彼は日々それを実践している。

月日は流れ月梨依美子は15歳になっていた。日々学業に追われながら、部活に恋にと彼女なりに頑張っていた。生まれ持った彼女の心臓の病は時に彼女をひれ伏せさせた…そんな彼女の事を気にかけてくれる八神来子(やがみらいこ)は中学時代の友達である。
「来子きょう帰りに寄道していかない?」珍しく月梨から来子を誘った。「いいけど、どこ行くのよ」「イオンよ、イオン。」2人は放課後の廊下を歩いている。「珍しいわね。ヨミからイオン行こだなんて、なにか買うの?」「うん、ちょっとね」「なになになに気になるわね」顔を近づける来子「お父さんにプレゼント買おうと思って。」「偉いわね、私なんか一回もあげたことなんかないわよ(笑)」2人は自転車に乗ってイオンへ向かっていった。
月梨「えーとっこれプレゼントでお願いします。」店員「はい。こちらで宜しいですか。」「うーんこっちで。」月梨は2種類の包みから1枚を選んだ。「いい柄じゃん、お父さん喜ぶわよ」「だぁといいんだけど」照れながら笑う月梨の手にはネクタイの入った袋を持っている。「どこからそんなお金出てきたのよ」「お年玉よ、コツコツ貯めてたの」「あんたらしいわね。」月梨は細見の体型をしていたが、来子はわりとがっちりとしていて、スポーツ万能タイプの表情顔である。陸上をやっているせいか全身が焼けている。周りからは月梨の美白が際立って見える。「あら、もう17時ね。」来子は時計の針を見た。中学生にしては遅い時間である。「ごめんね、長引かせちゃって」「いいのよ、親孝行見習うわ。」2人さ自転車に乗ってイオンから帰っていった。「私今日はこっちだから、じゃね。」「塾?」「うっうん。」月梨はいつもと違う道を選んだ。「じゃね。」「うん、今日はありがとう。」

月梨は県立伊勢病院に到着した。ガラガラガラッ玄関が空き、月梨は心臓外科まで行った。
看護婦A「あっらヨミちゃんどしたの。こんな時間に?」「先生にプレゼント買ってきたの。」看護婦B「あらヨミちゃん偉いわね。先生喜ぶわよ。」看護婦C「私達も今から先生の誕生日プレゼント渡そうとしてたのよ。」「なら一緒にお願いします。」看護婦長「そうと決まったら始めましょ。」この日県立伊勢病院の心臓外科は17時で閉まっていた。 
「ハッピバースデートゥーユー、ハッピバースデートゥーユー、ハッピバースデーディア藪先生、ハッピバースデーディトゥーユー」4人は声を、合わせて藪のいる病室へ入っていった。藪「んっ!?」藪は椅子に座り、驚いた様子でケーキを持った4人達を見た。その顔に掛かっている眼鏡は、本を読んでいたのか、老眼鏡のように鼻上まで落ちていた。「藪先生、55歳の誕生日おめでとうございます!」4人が口をそろえるように言う。看護婦長「3月9日、今日は藪先生の誕生日でしょ!」藪「ん?あっあぁ(笑)」藪は喜びを隠すように笑っている。 藪「ヨミちゃんまで!」「はい、先生!いつもありがとうございますm(_ _)m」月梨はゆっくりとお辞儀をした後に、藪に向かってニコッと笑った。看護婦A「あらっ藪先生照れちゃって!」みんながいっせいに笑っている。藪「みんな本当にありがとね、ヨミちゃんありがとう。」看護師B「先生早く開けたら?気になるんでしょ?」藪「あっなんだろうね?開けていい?」「勿論です。」月梨は答える。看護師C「あらいいネクタイね、先生にピッタリじゃない」藪「紺色のネクタイ欲しかったんだよ。ありがとうヨミちゃん、大切に使うよ。」藪のその目には薄っすら涙を浮かべていた。看護師長「先生良かったわね。ヨミちゃんから誕生日までもらっちゃって。明日からまた頑張って下さいね。」4人は藪を囲って笑っていた。とても幸せそうな藪は仕事の事を忘れて誕生日を満喫するかのように皆と笑いながら話をしていた。


18話

金丸耕平が老舗旅館サンセット伊勢に到着して4日目になる。「よし!今日も頑張らなくちゃ!」昨日の事を吹っ切るかのように鏡に向かって声を出した。月梨依美子は大人になっていた。依美子はママのいる家を出てアパートで1人暮らしをしていた。ちなみにママは依美子が中学生の時に結婚した再婚相手と暮らしていた。さらに付け足すと、その再婚相手とママが結婚したのは依美子が中学2年生から始まり中学3年先の終わりには一度離婚している。そして23歳で家を出た依美子を見計らったかのように再婚相手と暮らしている。
依美子は大学を卒業後、伊勢マートという、伊勢では有名なスーパーマーケットの正社員として、主に企画やマーケティングなど、主に内部に関わる仕事をしている。


ところ変わって、伊勢警察の事務所でパソコンを眺めながら何やら忙しそうにしている彼女がいた。八神「倉科とかいう東京もん、無茶苦茶ね!伊勢市の死亡者リスト全部洗えなんて!!」八神はイライラしながら、パソコンの画面を調べるように見ていた。東京のエリートである倉科刑事の指示で川下警部から、八神来子らにまで捜査の指示が出ていた。今年度2022年の1月から死亡したリストと内容を全て調べろという事だ。「あらっ雅夫(まさお)さん亡くっなっていたんだわ…」雅夫は来子の親戚にあたるおじさんだ。少し遠い親戚ではある。「お母さん達、雅夫さん亡くなってたの知らないのかしら…死因は、肺炎によると」来子はメモに病名と死亡者名をわかりやすいように分けて記入している。「えーとっ、次は藪、藪ね。どこかで聞いたことある名前ね…」来子は思い出すかのように話し出した。「藪って依美子よ、依美子が通ってた病院の先生よね」中学卒業後離れ離れになっていた二人を来子は思い出すようにパソコンを見ている。「藪さん死んだんだね。依美子大丈夫かしら…」ある程度話しを聞いていた来子は、少し心配した。月梨は来子が心配しすぎないようにある程度しか、病気や病院のことなどは話しをして来なかった。それを悟った来子も友達との時間を共有するように接っしていた。二人は中学時代を楽しめるように時間を過ごしていた。
「藪さんね、死因はえーと、先天性の心臓病により意識不明、術後3日目に死亡。」術後に亡くなったのね。「あらっ、伊勢病院で3件続いてるわね…変ね…」来子は一通り調べた後、作業を中断して川下の席に報告に向かった。「警部、ここみて下さい。」「んっ!」川下は机に座りパソコンを弾かせながら、来子が持っているメモに目を通した。「これ、全部伊勢病院の心臓外科でか?」「はい。この2ヶ月間で3人です。」「うーん、変だな」川下はパソコンを打つ手を止めた。「八神、昼から開けとけ」「はい。」川下はそう告げると再びパソコンを打ち始めた。


19話

大嶽丸を倒したタケルは白狼の背中に乗って家の前にいた。田村麻呂「ほぉここがタケル殿の家か!」立派だがどこか古風なたたずまいをした建物に田村麻呂は感心した。白狼はタケルを玄関の前に降ろすとまた林の方へ帰っていった。玄関に意識の無いまま仰向けに寝そべるタケルを見かねて、田村麻呂は玄関の扉を叩いた。
ドンドンドン「頼もう!頼もう!」イザナギ「んっ!ミコ見てきなさい」「うん」イザナミ「始めて聞く声ね。」ガチャ「どなたですか?」ミコがたずねる。「拙者!田村麻呂と申します!訳あってタケル殿と共に参りましたでござる」「うん、おじいちゃん呼んでるよ。」「お邪魔いたする!」田村麻呂はタケルを抱っこしながら、イザナギが座るテーブルの方へ歩いてきた。イザナギ「そこに座りなさい。タケルはソファーに寝かせてあげてくれ。」「はは!」田村麻呂はその方を知ってか、ご老人に低姿勢でいる。「あなたが、かの有名なイザナギ殿でおられますか?!」「左様、タケルにあったのだから私が居る事を知ったのだな」「はい!拙者と大嶽丸は三重の鈴鹿の者、拙者は大嶽丸がまた、悪さをしないか見張っている者でございました!」「それは知っておる。有名な話しだからの、日本3大妖怪の1人の大嶽丸を退治した、坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)じゃろう、お主。しかし、何故伊勢に来とる。2人揃って。」田村麻呂「はい、それはですな!私の耳に大嶽丸が鈴鹿の山から降りて行くのを民家の方が見たという報告が入ったのです。拙者はすぐに後をつけましたでござる。大嶽丸の大きな足跡を追って遂に見つけたら、なんと神の国、伊勢にまで来ておりました。そしたら、大嶽丸があの有名なヤマトタケル殿と対峙しておったでござる。最初は見ておりました。武勇で右に出るものはいない日本武尊(ヤマトタケル)の異名を持つタケル殿が負けるはずはなかろうと思っておりました。」イザナギ「うむ。」田村麻呂「しかし、大嶽丸は拙者の知る過去の大嶽丸では無かったでござる。格段にパワーアップしておりました。」イザナギ「卑弥呼の仕業じゃろぅ」田村麻呂「卑弥呼!!邪馬台国の卑弥呼も伊勢におるのですか!?」イザナギ「そうじゃ、南の邪馬台国からわざわざ来とる。」田村麻呂「やはりオロチですか!?」「そうじゃ。困ったもんじゃ。いかにタケルでもオロチと卑弥呼を相手にしたら…」「イテテテッ」タケルが目を覚ます。田村麻呂「たっタケル殿!大丈夫か!」「あぁ、ありがとう田村麻呂!話しは聞いていたよ。久しぶりにあんな強い相手と戦ったよ。イテテテ」イザナギ「まだ横になっていなさい。」イザナミ「まぁ傷だらけじゃないの、ミコ、消毒液と包帯持ってきなさい。」ミコ「うん」ミコとイザナミはタケルの身体に包帯を巻いたり治療している。



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