「0」Q.メッシの0トップって何？ A.ガキ大将のことだよ！

０〜１００まで数字から浮かんだサッカーについて好きなこと、トリビアや薀蓄、思っていること気づいたこと書きます。

最初のテーマはこれ。

サッカーの花形ポジションってどこだろう？

野球ならピッチャー。打順で言えば３、４番打者。

高校野球で１番がピッチャー、２番がキャッチャーなど決まっているように、サッカーにもポジションごとに番号が決まっている。

ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ０９ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
１１ｰｰｰｰｰｰ１０ｰｰｰｰｰｰ０７
ｰｰｰｰｰｰ０８ｰｰｰｰ０６ｰｰｰｰｰｰ
０３ｰｰｰ０４ｰｰ０５ｰｰｰ０２
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ０１ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ

となっている（４番や６番は違う配置になることもあり）。

ただし、野球のように必ず役割の背番号を着ける訳では無い。クリスティアーノ・ロナウドは左ウイングで「１１番の選手」だが、実際の背番号は７である。

キング・カズこと三浦知良が１１番を愛しているのは、ブラジルでプロの時に左ウイングの１１番だったから。ブラジルでは、背番号とポジションは必ずセットである。

【Ａさん】
いやいや！そりゃ１０番でしょ！つまりはトップ下。
センターフォワード（９番）のすぐ後ろでパスを出し、ドリブルして、点を取る。ペレ、マラドーナ、ジダンとか……

【Ｂさん】
でも、ジダンを最後に１０番（トップ下）のポジションからサイドにスターが移行してないか？メッシは右サイドのFWで、クリスティアーノ・ロナウドは逆の左サイド。

【Ｃさん】
いやいや！９番でしょ！つまり最前線の点取り屋！デカくて、ボールキープできて、強烈なシュートを撃つ大男。いつの時代も変わらないよ。
今ならハーランドとかケインとか。ちょっと前ならレヴァンドフスキとベンゼマ、昔ならバティストゥータ。
点取り屋に特化した選手ならブラジルのロナウドやイタリアのインザーギ。大昔ならゲルト・ミュラー！

僕は思う。Ｃさんの意見の変化形にこそ、サッカーの究極の花形＝ガキ大将が存在する。

偽９番、すなわち最前線にいながら０トップと呼ばれるポジションだ。

実はメッシも、長らく活躍したバルセロナで右のウイングからペップ・グアルディオラの元で偽９番として活躍していた。

この0トップ、始まりは諸説あり、イタリア・ローマの王子フランチェスコ・トッティとも言われるが、実は偉大な先輩が二人いる。

メッシが受賞するかもと言われている名誉バロンドール「スーパー・バロンドール」を受賞した１９５０年代のレアルの王様・アルフレッド・ディステファノ。

そして、ミッドフィールダー扱いされることが多いが、実は９番のポジションに「最初だけ」いたヨハン・クライフ。余談だが、彼の代名詞である１４番は「自分だけの番号にする」という野心から。

そもそも0トップとは何か。それは、ガキ大将である。つまり、最初だけ最前線を陣取り、試合が始まればボール奪取、ドリブル、パス、シュートまで繰り出しゴールを決める自由人のことである。

ある時はピッチのど真ん中、ある時はサイドに流れ、いつの間にか相手ゴール前に飛び込む。ピンチの時は後ろに戻りボールをかっさらう。

スクールでなく、公園でサッカーをしていた昭和・平成世代に思い出してほしい。こういうワンマンタイプの上手いサッカー少年。いなかっただろうか。ポジションこそFWだが、何でも自分でやらないと気が済まないその場で一番上手いガキ大将。

ディステファノとクライフの数少ない映像、雑誌や文献から知る逸話を総括すると二人はまさにこれだった。

特に、クライフは1試合フルの映像とハイライトをYouTubeで観て驚いた。

本当に、センターフォワードから中盤からサイドバックまでどの位置にもいる。彼は王様だ。

せっかちで自信満々でそれが過大な自己評価じゃない本物。

ではメッシも同じなのか？実は全然違う意味で彼はガキ大将なのだ。

全く動かない。かといって元祖ロナウドやインザーギのように点取り特化型でもない。最前線でボールを受けると、チャンスを作り、ドリブルとパスを織り交ぜ、ゴールかアシストを決める。

あっちこっち動き回るクライフ先輩と違い、バルセロナの後輩メッシ君は最前線でボールを受け、そこからすべてをクリエイティブに生み出す。

なんにせよ、一番上手い奴をゴールに近いとこに置いとけ。これは、サッカーというスポーツの摂理なのである。

一時、メッシやクリスティアーノ、ロッベン、リベリなどスターがサイドのFW（ウイング）に集結したが、またハーランドやケインなど9番の王様ぶりが復活している。

そもそも、メッシもクリスティアーノも最後にはゴール前中央にいたのが常だった。

どの背番号をつけていても、その自分の背中をエースにしてしまうのがレジェンドなのかもしれない。

しかし、気になるのが１０番の消滅。それについては、「サッカーが好き！」の「10」でまた書きます。

（続く）