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〜地域と「つながる」ということ〜

こんにちは、ミライ研の阿部です。ミライ研では地域価値創造に向けた調査・研究を行っておりますが、研究員として日々の活動を通じて感じたことを本noteで綴っていきたいと考えております。私も記念すべき初投稿。 

つなぐ、この言葉は弊社およびNTTグループのCMのキャッチコピーでよく使われています。離れた場所にいる人たちが想いや情報を伝えあえるように、物理的に通信回線をつなぎ、日々そのインフラを守っているNTTグループの社員にとって「つなぐ(connect)」は特別な言葉だと思います。

私自身、20代後半から30代半ばまではグローバルネットワークオペレーションセンターという、国際通信サービスの保守運用センターでキャリアを積みました。通信が途絶えた時にいかに迅速につなぎ直すか、不慮の事態が発生してもいかに通信をつなぎ続けるか、ということに心を砕きながら、運悪く障害等が発生した際には誠心誠意状況をお客様に説明し、再発防止の改善策を真剣に考える。平成一桁代にNTTに入社した私は、そんな業務に携わりながら「つなぐ、つなぎ続けるDNA」を諸先輩方から受け継いできたと思っています。

その後、営業という職場でも、自分達が提供する「つながっていて当たり前」が前提なネットワークサービスの責任の重さを痛感することが多々ありました。故障が発生してお客様から苦言を呈されたり、時には叱責・罵倒されたり。そんな辛い時にこそ、自分達こそが日本経済の基盤である通信インフラを守っているのだという矜持を、通信キャリアで働く私たちの仲間は感じているのだろうと思います。

そんな私たちが「日本各地の自然や文化を、本気で未来につなぐために、地域の魅力と地域を想う人たちをつなぐ活動」をミライ研究所として開始したわけですが、活動を始めてみて感じることは「つなぐ」の意味合いが全然違うということです。

これまで私たちがつないできたものは、通信基盤というインフラを介した自分たちが提供するサービス(電話とかインターネットとかVPNとか)のユーザ同士をつなぐ行為でした。それゆえ、どうしてもサービスを提供する側のものの見方で「つなぐ」を定義しがちで、それはえてして「上意下達」的でもあり、第三者的にみれば「上から目線的」なきらいがあるのではないか。ミライ研の研究員として、文化、食、自然といった地域資源の探求を開始してまだ半年程度ですが、そんなふうに考える今日この頃です。

地域社会には、地域の文化、食、自然といった固有の資源があり、それらの魅力発信、伝承に力を入れていらっしゃる方は沢山います。その想いや熱量もさることながら、私が感服しているのは、個々の想いに呼応して草の根的につながって拡がっていくコミュニティの力強さです。インターネットやSNSが普及した現在、想いを持った個人個人がつながるのに、我々のような通信キャリアがあえて仲介役として貢献できることはあるのか。ネット上での繋がりを形成する際に、厳密言えばインフラの一部をご利用いただいているかもしれませんが、そのつながりはコミュニティ形成のほんの些末な部分でしかないのかなと。 

ほんの数カ月間の活動だけでも、

「この街をもっと面白くしたい」
「この文化(想い)を伝承していってほしい」
「この地域にワイナリーを創って、お世話になった地域の方々に恩返しをしたい」

と様々な熱い想いをお持ちの方にお会いしました。熱量の高いアクティブな方ほど、既にその想いに呼応する多くの方々との「つながり」を有している方ばかりでした。「誰かとつながりたい、つなげて欲しい」ではなく「もう既につながっている(始まっている)」。

今後、私たちが取り組むべきことは、自分たちが仲介役として新たにつなげる、ということもあるかもしれませんが、すでにつながっている(始まっている)コミュニティにまぜていただき、そのつながりを強化し拡大することだと感じています。その営みは、決してサービス作って提供するという「提供者目線」的なものではなく、地域のそれぞれの現場で湧き上がっている「想い」をくみ取り、それを大きなムーブメントに育てていく「草の根からのボトムアップ」的な活動になることでしょう。

「つなぐ(connect)」という言葉は、語感的に自分たちが仲介してつなぎ合わせるという意味合いが強いような気がします。地域の新しい価値を創造する営みにおいては、まずは今あるつながりにまぜてもらう、「つながる(be connected)」という姿勢で地域を深く学び、そのうえで「つなぐ、つなぎ続けるDNA」をどう発揮するのか。

と、そんなことを考えてながら活動しておりますが、日々新しいつながりが生まれています。そこから得られる気づきや学びを、これから本noteで綴っていきます。

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