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地域課題解決ラボ in 長野県喬木村①

以前「まなび」が「つながる」社会へと題して、探究学習を契機とした地域価値の創造モデルについて記載いたしましたが、現在ミライ研では長野県南部にある喬木村という人口約6,000人の村をフィールドに、地域を題材とした探究学習プログラム「地域課題解決ラボ」の価値検証を進めています。

弊社と連携協定を結んでいるドルトン東京学園の生徒16名が、今月喬木村を訪問し三日間のフィールドワークを実施します。

喬木村も地方の多分に漏れず、人口減少や伝統工芸品の担い手の不足といった地域課題に直面している地域です。先日発表された消滅可能性自治体には含まれておりませんが、この10年間で村の人口も1000名近く減少しており、最盛期には村内に100名以上の造り手がいたと言われる阿島傘の担い手も、今ではわずか2名とまさに存続の危機にあります。

一方、延期は決まってしまいましたがリニア中央新幹線が開通すれば、喬木村は都市圏から一番近い長野県の村になります。(リニア長野駅は隣の飯田市に開設予定で喬木村の中心部から車でわずか5分の距離) 三遠南信自動車道の延伸工事も村内で進んでおり、将来的には東京・名古屋・浜松といった経済圏からのアクセスが劇的に改善される地域でもあります。

先日、喬木村の職員がドルトン東京学園に訪問し、フィールドワーク前の事前講義として村の概要や課題を生徒達に説明する機会があり、私もその模様を見学してきました。

村の職員の丁寧なプレゼンに対して、

「ベリー&ゴー(喬木村の公式キャラクター)は調べてきました!」
「河岸段丘! こないだ習ったばかり!」(喬木村の地形は天竜川が形成する河岸段丘が特徴)
「大造じいさんとガン、教科書で読みました。覚えてます!」(作者の椋鳩十は喬木村出身)

とノリの良い反応を示す生徒達。 

単にノリが良いだけではなく、RESASで事前に人口動態等を調べて独自の考察を述べていたり、仮住まいやサマーキャンプのような形で魅力を知ってもらうお試し移住のような取組みがあってもよいのでは、と具体的な提案をする生徒もいたりしました。さらには休憩時間中にも、積極的に職員を捕まえて意見交換をする生徒もいたりと、事前学習の段階から探究心に熱が入っている様子が伺えました。 

事前講義の様子

職員との意見交換においては、喬木村の移住者には挑戦者が多い(夏秋キュウリと市田柿を組み合わせた新しい農業を実践している若者がいたり、寒冷地には適さないオリーブの栽培を試みている方もいる)といった村の魅力だけでなく、少子化の影響で第二小学校は1、2年生が複式学級になってしまったことや、一部の移住者からは地域コミュニティに入りにくいという相談が役場に上がっているというリアルな課題も共有されました。職員から直に話を伺ったことで、生徒達の喬木村に対する理解度や課題認識もより鮮明になったと思われます。 

「あなたは喬木村に住みたいと思うか?(村がどうなれば住みたいと思うか?)」という問いに対して、高校生達がどう応えていくのか? 現地を訪れて何を感じ取るのか?

ミライ研では探究的に地域課題を考えるという行為が、学習者および当該地域に対してどのような変容をもたらすのかを調査しております。 

生徒達のあふれ出る探究心がどのような効果をもたらすが、今から楽しみです。 


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