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ボーイッシュな女の子が居るなら、ガーリッシュな男の子も居るよね…?

 女性のファッションのバリエーションは、今は豊富で、スカートだけでなく、ズボンを履くことは当たり前です。学校でも職場でもボーイッシュなスタイルの女性は頻繁に目にします。しかし、男性のファッションのバリエーションはまだ少なく、スカートやロングヘアはまだまだ女性のものという固定概念が多くの人の中にあると思います。フェミニンな男性、もしくはガーリッシュスタイルな男性の姿はまだまだ目にする機会が稀です。

 先日、女装さん(女性の服装をする男性)が集まるバーで、心がしびれるかっこいい話を聞きました。

 女装さん二人で商業施設のトイレに行った時のことです。(二人ともジェンダーアイデンティティは男性なので男性トイレを使っていました。)お二人ともロングヘアで、ズボンを履いていても「パンツスタイルの女性かな」と思うようなファッションを好みます。
 二人が手を洗っている時、一人の男性がトイレに入ってきました。が、二人の姿を見た途端に慌てて出て行きそうになったので、女装さんの一人が「間違ってないですよ!ここ、男性のトイレです。」と、声をかけたのだそうです。
 男性がまだ不思議そうな顔をしているので、「僕たち、男性です。」とにこやかに言って、トイレを後にしたそうです。

 この男性はおそらく、二人の姿を見て女性だと思い込み、「間違えて女性トイレに入ってしまった!」と、慌てたのだと思われます。
 ちょっと気の毒には思いますが、ガーリッシュな男性や、フェミニンなファッションスタイルの男性が当たり前に居るのだという事に慣れれば、そこまで慌てなかったかもしれません。
 おそらく、その男性の頭の中にある「男とはこういうもの」というイメージのバリエーションはとても少なかったのではないかと思います。男性のファッションのバリエーションが豊富にあり、フェミニンな服装を好む男性も居る事を一度でも認識すれば、「髪が長い男性も居るよね…。」と落ち着いて考える事ができたかもしれません。
 その男性にとっては、心底驚いた体験だったかもしれませんが、「男とはこういうもの」の固定概念を、一瞬で破壊されたのではないかと思われます。

 誰かの頭の中にある固定概念を覆すことは、とても難しい事だと思います。
 私は「フェミニストでありたい」と思う女性です。フェミニストとは、世間一般に浸透している「女ってこういうものだろう」という固定概念に対して、「違うよ!こういう女性も居るよ!」「こんな『女性らしさ』なんていらないよ」と、言い続ける人達のことだと考えています。
 「固定概念」という強固な岩を小さなノミとハンマーでコツコツと砕いていくような、気が遠くなる程に胆力が必要とされる事を、フェミニストの方々は諦めずに続けているのだと思います。(尊い…。感謝!)

 で、先ほどの二人の女装さん達は、一人の男性の中に巣食う「男性の外見に関する固定概念」という岩を、ダイナマイトを使ったかのように一瞬で爆破したのだと思う。

すご~い。かっこいい!!


って、私は思いました。

 女性がズボンを履くようになった歴史はそんなに長いものではありません。1930年代ではヨーロッパ社会の中でも、女性がズボンを履いていたというだけで非難の対象にされました。仕事の効率化のためにズボンを履きたい気持ちがあったとしても、社会からの抑圧や偏見と戦いながら着ないといけない状況だったようです。
 私は、この時代にあきらめずに戦って下さったフェミニストの先輩たちのことを尊敬し、感謝しています。女性史に名前を残したアクティビストの方々だけでなく、至る所に居たであろう「ただ、ズボンを履きたかった、履く必要があった」女性達のおかげで、私は好きな時にパンツスタイルファッションを楽しむことができます。

参考にしたWeb記事「ELLE:女性のための“パンツ200年史”。女性がパンツ着用を禁じられていた理由とは?」

 
 男性がスカートを履くことは、まだまだ奇異な目で見られてしまいがちですが、今はちょうど過渡期なのかもしれません。女性がズボンを履くことが当たり前の選択肢になるまで戦ってくれたフェミニストの先輩達に対して現在の女性達が感謝するのと同じように、今勇気を出してスカートを履く男性達に対して、10年後、20年後、感謝する世代が出てくるかもしれません。

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