医療とは。死とは。〜スピノザの診察室〜
もう少しで、祖母の命日がやってくる。
5年ほど前になるだろうか。
その時私はまだ学生だった。
県外の学校へ進学していたため、祖母の死を知ったのは母からのLINEだった。
涙が止まらなかった。
母から、「もう1回会いたかった。」
と祖母が言っていたことを聞いた時は、全身に鉛が重くのしかかったように感じた。
その言葉は、今でも呪いのように私を苦しめている。
スピノザの診察室では、最先端の医療より緩和ケアや看取りに重点を置いている。
これから死にゆく人になんという言葉をかけるべきか。自信を持って患者さんを見送るにはどうしたらいいか。主人公は考える。
医療は充実しても、人が不老不死になることはできない。医療の力は万能ではないのだ。
そんな中で人ができることは
「凍える隣人に外套をかけてあげることだ」
と主人公は言っていた。
人間は弱い。
意志の力で変えることは少ない。
だけど、努力をしなさい。
そう教える思想家スピノザの本を読んでみたいと思った。
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