見出し画像

Le chercheur de trésor 宝さがし D.256

シューベルトは、ロマン派時代の有名な作家ゲーテ(糸を紡ぐグレートヒェン、魔王など)の約70の詩に音楽を付けました。
この曲は、さまざまなストロフィー形式で、短調間のコントラストを通じて、テキストの詩的な世界を示しています。


シューベルト:音楽の形式
De forme strophique(=有節歌曲形式)

ひとつの旋律を何度も繰り返すように曲が付けられているものを言う。
繰り返しの1回を節と呼ぶが、普通そのそれぞれを1番、2番、3番と数えることが行われる。

有節歌曲形式 - Wikipedia


ゲーテ:詩の内容

すっからかんの財布 病んだ心 
俺はだらだら過ごしてた 俺の長い日々を
貧乏ってえのは一番つらいことだ 
豊かさこそが最高に良いことさ!
そこで 俺のこの苦しみを終わらせようと 
俺は宝を掘りに出かけた
「俺の魂なんざ貴様にくれてやる!」
俺はそう書いたのさ 自分の血で

それから俺は 輪に輪を描いて 
あやしい炎を起こし
薬草と白骨を集めて 
召喚の儀式を執り行った
そして習い覚えたやり方で 
俺は掘った 古代の宝を探して
儀式が示した場所を 
真っ暗な嵐の夜だった

すると遠くに灯りが見えた 
そしてそいつはまるで星のように
こちらへと遠くからやって来た 
ちょうど十二時の鐘が鳴るときに
何の心の準備もあらばこそ 
明るくなったのだ あたりは突然の
きらめきで 一杯の杯からの 
ひとりの美しい少年が提げている

おだやかな目がきらめくのを俺は見た 
分厚い花の冠の下で
霊酒の天上の輝きのうちに 
そいつは輪の中に入ってきた
それから俺に親しげに飲むように勧めた 
俺は考えた このガキ
こんな美しく輝く贈り物を持ってるからは 
たぶん悪い奴じゃねえなと

「飲むんだ 清く生きる勇気を!
そしたら君もこの教えが分かるよ
恐ろしげな呪文なんかに惑わされて 
二度と戻ってくることはない 
こんなところに ここを掘るなんて 
全くムダだよ!
昼間は仕事 夜はお楽しみ 
平日は汗かいて 楽しい祝日を!
それが君のこれからの魔法の言葉だよ」

シューベルト Der Schatzgräber (biglobe.ne.jp)


シューベルト18歳の作品

「宝探し(宝堀り)」D256は、「野ばら」D257、「魔王」D328 Op.1 と同様、シューベルト18歳(1815年)頃の作品です。


D:ドイチュ番号

ドイチュによる目録で与えられた作品番号

シューベルトの1000近いスケッチ、未完を含む作品群は、オーストリアの音楽学者オットー・エーリヒ・ドイチュ(Otto Erich Deutsch)により1951年に作られた英語の作品目録『Franz Schubert – Thematic Catalogue of all his works in chronological order』のドイチュ番号によって整理されている。
シューベルトの場合、出版に際しての作品番号(op.)を持つものは170程度であるため、通常はドイチュ番号が使用されている。
「D. ○○」とピリオドを打たず、Dと数字の間に半角スペースのみを入れ「D ○○」と表記するのがドイツ語圏や英語圏をはじめ国際的に主流である。

フランツ・シューベルト - Wikipedia


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?