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LAUTRECの"Il mondo del circo e di Montmartre(訳:サーカスとモンマルトルの世界)"を鑑賞する

先日、トリノでHenri de Toulouse-Lautrecの展示を鑑賞した。多少なりともアートに興味があれば、Lautrecを知らない方はいないと思うし、珍しくもないから今更見なくても、と思う方も多いとは思う。

入口の外観

しかし私には、10年以上前、Toulouseの町からLautrecの生まれ故郷のAlbiを訪れたくせに、なぜかMusée Toulouse-Lautrecを訪れずに町ブラをして意気揚々とToulouseへ戻った大バカ者だったという過去があり、それが干支を1回り以上した昨今、悔やまれてならず(こういう時、死期が迫っているんじゃないかと思う😅)、リベンジの絶好の機会として、今回の展示を観に行ったのだった。

もし展示のタイトルが、例えば"Moulin Rougeで働く女たちの光と影"等とあれば、メインの展示作品の想定がある程度できるので、行かなかったかもな、とも思うが、ついつい"サーカス"の部分にそそられて、ふらふらと行ってしまった、というのもある。
そんなことで、展示のタイトルは、本のそれや雑誌の大見出しと同じくらい重要だな、とNoteを書き始めてからの自分の行動を振り返って実感している。

会場入口

では、今回の展示案内の意訳を載せよう。

Henri de Toulouse-Lautrecの芸術的才能を、彼の象徴的なリトグラフや大胆なポスターを通して探求する展覧会。Lautrec生誕160周年を記念し、120点以上の作品を展示。
展覧会の冒頭では、ベル・エポック期のパリの活気ある芸術的・文化的環境を概観し、Lautrecにインスピレーションを与えたカフェ、キャバレー、劇場、サーカスの熱気にスポットを当てる。彼は、モンマルトルの通り、娼婦、クラブ、とりわけムーラン・ルージュに安らぎとインスピレーションを見いだし、多くの代表作の題材となった。
展覧会のレイアウトは、サーカス、パリのナイトライフ、当時の芸術家や有名人の肖像、社会から疎外された階級の表現など、彼が繰り返し描いたテーマに焦点を当てる。

展示案内より抜粋・意訳

いよいよ、作品の紹介へ移ろう。
奇遇にも現在、新宿のSompo美術館でロートレック展が開催されているようなので、もしかしたらそちらと間違って(いや、併せて、ですね🤭)私のNoteを覗く人がいるのでは、と思う。そうした方にとっては、新宿の展示案内に載せてある作品の系統を紹介しても価値が低そうなので、私の方ではサーカスメインで紹介したいと思う。


※サーカス

Ellesシリーズより「Mademoiselle Cha-u-ka-o」1952年
道化師の女性が控室で待っているシーン
「ご挨拶」1905年
「野生の象」1905年
「馬使いと馬」1905年
光ってしまってよく見えないかもしれませんが、馬の上に乗っているのは熊です。果たして馬使いは人なのか熊なのか?
「綱渡りの人」1905年
「降伏」1905年
踊り子のシマ子としては、踊り子が描かれた作品を載せないわけにはいかない😂
「舞台裏、待機」1931年
ダンスの発表会の舞台裏もこんな感じなので、親近感が湧く。
「ドッグトレーナー」1931年
「つま先立ちの馬」1905年
個人的には、馬より調教師のポーズが気になってしまった。
「空中ブランコ乗り」1905年
この下向きの女性のプロポーション、何たるや!!ハレル~ヤ🙌
「道化師と豚」1931年
この子豚、可愛すぎませんか?
「バンジョー弾き」1931年
「道化師兼動物の調教師」1905年
近景
めっちゃ怖そうな調教師ですよね。
"おい、お前、言うこと聞かないとぶっ殺すぞ"的な表情でこわっ。
犬も腰抜け、象もちんまり…。

そういえば、村上春樹の「象の消滅」という短編があって、読まれた方もいるとは思うが、これこそ、その話を思い出させられる図だな、と。
だんだん象が小さくなって、消えてしまう、その途中経過、みたいな雰囲気がある。

「ダンス、海上のファンタジーと日本人」1931年
ダンサーの女性はLautrecぽいけれど、この日本人は私の目にはお気に入りのフランス人のダンサー兼振付師、Yanis Marshallのビデオクリップの3人に見えてならない😁

よろしければ、下のビデオの1分12秒当たりからどうぞ。きっと皆さんも似たような意見を抱いてくださると信じている🙂‍↔️

ちなみに、下の振り付けを、YanisとDanielleがVeronaにワークショップで来た際に習い、凄くよい思い出になったので、載せておこう。。。またしても脱線が過ぎたので、ここでオシマイ。

締め、入ります!

「ご挨拶」1931年

今回も脱線が甚だしかったこともあるし、その他に気に入った作品を幾つか載せて切り上げようと思う。

※Le Rire

次に全体的に気に入った土曜日発行のユーモラスな新聞「Le Rire」の挿絵から幾つか紹介しよう。

Le Rireは、Felix Juvenがパリで創刊したフランスの政治・社会風刺雑誌で、1894年10月から1950年まで発行され、当時の主要な芸術家を迎え、重要な作家やイラストレーターを世に送り出したことでも知られている。

展示の説明より抜粋
1894年
表紙には「マダム、どうか、あなたの犬のお召し物を私の弟にください」とあるが、Lautrecの作品は裏表紙のYvette Guilbertの挿絵"もっと長く"の方。
Skating Professional Beauty 1897年
近景
かつてのパリでは、こうやって殿方をお誘いしていたのでしょうかね?
 Chocolat Dansent dans un bar 1896年
表紙には「それで、男爵、あなたはあなたの奥さんを”Tu(※)"で呼ぶのですか?」「そうだね、時々、彼女の愛人の前でね」という会話(苦笑)いかにもフランス人らしい会話じゃないですか?
※二人称の親しい人を呼ぶ際に使うが、当時は高貴な人同士は双方を丁寧語(現在は専ら二人称複数形)に当たるVousを使って呼んでいたと思われる。これはイタリア語もそうなので、詳しく調べてはいないが、フランス語も一緒だと思う。
Lona Barrison avec son manager et époux 1896年
尻に釘付けになる男の視線は永久不滅だな🤣


最後に少しだけ、ザ・Lautrecな作品を載せて終わりにしよう。

※その他

May Belfort 1895年
Lautrecのお気に入りだった、アイルランド人の歌手、女優、コメディアン。
May Milton 1895年

展示作品数はそれほど多くはなかったし、有名な作品も少なかったけれど、ミュージアムショップが充実していて、欲しいものが山ほどあり、最後の最後で何回か深呼吸して心を落ち着かせる必要があった。
結局はその中から厳選して、ポーチとしおりを買った。
ポーチにはコスメを入れようか、それともペンケースにしようか、大好きな秋を想い、今から使うのを楽しみにしている。


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