素描のコンテストで優勝したUmberto Chiodiの作品を鑑賞する
とある会社帰り、知り合いから「前回の素描コンテストで優勝したアーティストの実演があるよ」という連絡が入る。
「むむっ、それは大変興味があるな」と思うが、生憎、実演があるギャラリーの場所が遠すぎて、着く頃には終わっていそうだったので、後日、展覧会の最終日にゆっくり見に行くことにする。
そのアーティストの名前はUmberto Chiodiという。1981年生まれ、Bolognaの美大を卒業し、主にイタリアとヨーロッパの近隣諸国で個展を開き、普段は美大で講義をされているようだ。
今回私が見た展示についての説明を読むと、「素描の言語のさまざまな可能性と、メディアや環境の空間との関係を調べるために、百科事典的な花・アルファベット・動物という3つのテーマを用いている」とある。
では、各テーマに沿って、作品を幾つか紹介していこう。
※花
→花瓶の中の静物画に焦点を当て、インクペンと赤いテンペラで表現している。
※アルファベット
→タイピングキーボードのクワーティ配列に焦点を当て、インクと色鉛筆で28のデザイン、つまり26文字と?と!を描いている。
(気に入ったフォルムのみ撮影)
※動物
→色鉛筆で描かれた8枚の大きな素描と、それを補完する壁面素描からなるサイトスペシフィックな作品。
どのシリーズも魅力的な作品ばかりだが、個人的には、動物シリーズが一番活き活きと描かれていて好みかな、と思う。
きっとこの人も、日本のアニメを見て育ったのだろう、という気がする。
そういえば、イタリアに来たばかりの頃、「釣りキチ三平(pescatore sampei)」とか「アタックナンバーワン(mila e shiro)」とか「キャプテン翼(holly e benji)」とか「マジンガーZ(これはこのままで、Zの読みがゼータになるだけ)」とか、色々アニメの名前を挙げて私と会話しようとしてくる人が何人もいた。
しかし生憎、私は厳格な家庭で育ち、小学校に入学した時点でアニメを禁止され、ピアノの練習6時間を義務付けられたため、唯一くらいで見たことがあるものと言えば、イタリアでは放映されていない「日本昔話」と「ゲゲゲの鬼太郎」くらいだったから、いつもアニメでは話がかみ合わなかったなぁ、という思い出がある。
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それにしても、「アタックナンバーワン」が"mila e shiro"、「キャプテン翼」が"holly e benji(ちなみに、フランス語ではOlive et Tomというそうです。パリに住む友達に教えてもらいました)"だなんて、日本のタイトルと違いすぎるとは思いませんか?
そして、イタリアにくるまで「釣りキチ三平」なんて聞いたこともなかったから、会話は全く成り立たなかったけれど、ある意味面白い発見ではありました。
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