Amoreと呼べる度胸
注)
夏季休暇前の最終週の出来事を書いて保存していたものです。
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会社帰り、家の最寄り駅で、携帯を耳に当て、「Ciao Amore, come stai? Sto tornando a casa…(アンタ、今家に向かっている途中よ)」と旦那に向けて話している推定60位のオバサンがいた。
イタリアでは、夫、彼、息子、果てはお店のお客(但し店員がCampania州の出身の場合に限る)やダンスの生徒(先生がゲイの場合に限る)に至るまで、愛する人(稼ぎの一部になってる場合を含む)に対して「Amore」と呼ぶのを聞く機会が五万とある。
ただ、シマ子には、暑くなるとそのいまいましさから脳を麻痺させるために敢えてアイスランドの冷ややかな宗教音楽を道端で聴く癖があるため、他人の会話を聞く機会を暫く失っていた。
なぜ、偶然にも、オバサンの会話が聞こえたのか?
その理由は定かではない。
もしかしたら最近恋愛相談をされたからか、もしかしたら異性に惹かれなくなって久しいからか、とにかく、よくわからない。
ただ一つわかったことは、この「Amore」という呼び方にゾクッとするような虫唾と吐き気をもよおした自分に驚いたことだ。
そして、大昔に同棲した男や、過去に付き合った男たちの顔を思い浮かべ、そういえば私は誰一人として「Amore」と呼ぶことができなかったな、と今更ながら気付いてしまった。
ただ単に、日本人として、その呼び方が気恥ずかしかったのか、それともそこに真の愛がなかったのか、だとしても、愛しているふりをして、清水の舞台から飛び降りるつもりで(大袈裟なだと思われる方は、是非試してみてください、素面では発するのが困難な単語ですから😂)一度くらい呼ぶことはできなかったのか、最寄り駅から家までの数分間、真剣に悩んでしまった。
体調が良くなく弱っている日に限って、こんなことって参るなぁ、と思いつつ、足取りは更に重くなり、歩幅は狭くなり、家には一向にたどり着く気配がない。
く、苦しい。
ふらふらする、、、暑さにやられたのか、、、
いや違う、、、あの言葉が私の中での禁忌ワードなのだ、、、
冷や汗が出る、早く横になりたい、、、そうこうするうちに漸く家の門が見えてきた。
普段なら5、6分の道のりが、一体どれほどかかったのだろう、そういえば私の顔をチラチラ見ている人もいた、きっと紙のような真っ白な顔をしているに違いない。
家の鍵を開ける。
手を洗いエアコンをつける。
帽子を脱いで顔を鏡に写す。
確かに顔色は優れない。
携帯が青く光ったので徐ろに開くと、「こんばんは、明後日の17時に診療室に来てください、私の新しい診療室の住所は 云々」と昼間にメールをしたかかりつけ医からの返答がきたところだった。
果たして、体調不良の原因がわかれば解決するのか、それとも私は一生「Amore」という単語に嫌悪感を抱きながら暮らすのだろうか。。。
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追伸)
今朝3つの検査をし、うち2つは結果待ちで、来週もう1つの検査の予約をしましたが、メインの結果だけ出ていて、一先ず癌じゃなくて良かった、というのが、ささやかな喜びでした。
でも体調はあまり良くないままなので、Noteの投稿ペースを下げ、来月の展示会と、10月から本格始動するフランス語のレッスンに備えたいと思います。
皆さんも健康には十分にお気をつけください🤚
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