シマ子

イタリアに住んで十云年の会社員。某大学の今はなき一文の美術史を氷河期時代に卒業し、日本…

シマ子

イタリアに住んで十云年の会社員。某大学の今はなき一文の美術史を氷河期時代に卒業し、日本で社会人をした後、移住先をフランスかイタリアかで迷い、ミラノに来て今に至る。ヨーロッパ各地の美術館や文化施設訪問、フランス映画、ダンス、北欧の自然が好き。 インスタ:@enaga_shimako

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記事一覧

Alex Da CorteのWorld Leader Pretendを鑑賞する

とある金曜の会社帰り、地下鉄を途中下車して、4月に始まったAlex Da Corteというベネズエラ系アメリカ人のコンセプチュアル・アーティストの展示を見に行った。初めて耳に…

シマ子
2日前
13

自然保護公園"Oasi Bosco Vignolo"を散歩する

4月のある週末、Pavia近郊にある自然保護公園の散歩会に参加した。発案者は下の記事と同一の友達だが、今回は自然保護公園というだけあって、公園の管理者が説明をしてくれ…

シマ子
4日前
9

Stockholmの邸宅美術館 Prins Eugens Waldemarsuddeを見学する

4末の連休、かつて日曜出勤をした分の代休をつけて連休を延ばし、数年ぶりにSwedenを放浪した。今回のメインの目的はGotland滞在だったため、3度目となるStockholmはささっ…

シマ子
7日前
19

【実験】イタリア人はいつも絶好調なのか?

日本に住んでいた頃には一切聞かれず、イタリアではしょっちゅう聞かれることが2つある(もしかしたらそれ以上あるかもしれないが、今でも「あっ、またか」と思うのは2つだ)…

シマ子
9日前
17

「STRATI. ECO-FOBIA POETICA(訳: 層。詩的エコフォビア)」を鑑賞する

先日、街の中心部の裏道のとあるギャラリーを訪れた。ここには以前入ろうと2度トライしたのだが(その際は少しポルノっぽい感じの展示を行っていた)、会期中にも関わらず2度…

シマ子
11日前
11

夕陽を堪能&連写しに海辺で佇んでいたら、若い女性が2人"Hej"とやってきて、いきなり私の前で脱ぎ始める。えっ、この寒空の下、Tバック?と驚き、暫し動向を観察。どうやらソーシャル用の動画撮影らしい。しかしわざわざこの時期にやらなくても、と思うのは、私がおバンだからでしょうか?

シマ子
13日前
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昨日から連休なので、数年ぶりにSwedenを放浪中。4末なのに郊外は雪景色で、ミラノにはない光景。やっぱり、北海道っぽくて好きだな。Lockdown中にレベルアップを断念したSweden語だけれど、耳をそばだてるとたまに何かしらわかって嬉しい。いつか再開する日が来るのだろうか?

シマ子
2週間前
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Fuorisalone-美しい室内装飾-

先日、年に一度のミラノの一大イベントの一つ、Salone del Mobile (家具の見本市)が行われた。本編の会場とは別に、市内の各地で(ここ2年ほどは市外にも少し移りつつあるが…

シマ子
2週間前
17

ウクライナのビジュアルアーティストAljoschaのインスタレーションを鑑賞する

片頭痛と風邪のひき始めで絶不調のため、薬をしこたま飲んだ金曜の午後、具合が悪いなら即家に帰ればいいものの、芸術鑑賞しないと週末が始まらない、という意地っ張りな性…

シマ子
2週間前
26

ダンスの先生の話

先日、ダンスのレッスンが始まる前、久しぶりに先生がおかしな体験談を熱く語っていた。無視しようにも、途中からグフッという笑いを抑えられなくなるくらい、珍妙な話だっ…

シマ子
3週間前
14

Hidetoshi Nagasawa(長澤英俊) 1969-2018を鑑賞する

先日、始まったばかりの長澤英俊という彫刻家の展示を見に行った。 このアーティストのことを知ったのは、会社の近所のお気に入りのギャラリーのオーナーとコロナ禍の中盤…

シマ子
3週間前
15

ロシア人のアーティスト父子の展示"Piazza senza nome(訳: 無名広場)"を鑑賞する

先日、閉鎖から2年ぶりに場所を変えて生まれ変わったというギャラリーを訪れた。大元のギャラリーには、恐らく行ったことはないと思う(私には人名や地名、固有名詞等を忘れ…

シマ子
3週間前
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Novara城で「Boldini, De Nittis et les italiens de Paris」を鑑賞する

先日、Piemonte州でもミラノ寄りのNovaraという町にあるCastello di Novara(Novara城)内で行われている「Boldini, De Nittis et les italiens de Paris」を鑑賞しに行った…

シマ子
4週間前
14

Mark Tobeyの"armonie interiori(意訳: 内なる調和)"を鑑賞する

とある会社帰り、Mark Tobeyというアメリカ人の画家の展示を観に行った。 名前を聞いたこともない画家だが、展示のお知らせの一面を飾っていた作品が、白い半紙にたっぷり…

シマ子
1か月前
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先日投稿した「新版画-日本版画のニューウェーブ-という題の浮世絵の展示を鑑賞する」が、次の2つのページで紹介されました。
・絵画 記事まとめ https://note.com/note_art/m/m0df25e97bb76
・美術展 記事まとめ https://note.com/note_art/m/m2baf692f3090
ありがとうございます!

シマ子
1か月前
9

花の季節

春になると決まって、花に囲まれた生活がしたくなる。 数年前まで住んでいた町の中心部の狭い家では、切り花を買って小さなテーブルに飾り、枯れ行くまでの数日間を朝晩眺…

シマ子
1か月前
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Alex Da CorteのWorld Leader Pretendを鑑賞する

とある金曜の会社帰り、地下鉄を途中下車して、4月に始まったAlex Da Corteというベネズエラ系アメリカ人のコンセプチュアル・アーティストの展示を見に行った。初めて耳にする名なので、鑑賞を決める前に大まかな作品をネットで調べてみたが、作品自体はかつて幾つか雑誌で見たことがあったこと、またHip HopやRapのミュージックビデオも手掛けているとあって、全体的にポップだったりノリノリな感じの作品が多い印象を受けた。 このギャラリーの展示を何度か見たが、正直言って、これま

自然保護公園"Oasi Bosco Vignolo"を散歩する

4月のある週末、Pavia近郊にある自然保護公園の散歩会に参加した。発案者は下の記事と同一の友達だが、今回は自然保護公園というだけあって、公園の管理者が説明をしてくれ(弾丸のように話す人で、専門用語や学術名を多用するので、イタリア人でもあまりよく理解できない箇所があったようだ)、有料だった。公園の整備に充てられる費用なので払うのは全く問題ないのだが、散歩会の案内にその説明がなかったので、「うわっ、現金がない」という人も複数おり、最初はちょっと躓いた感じだった。 今回は待ち合

Stockholmの邸宅美術館 Prins Eugens Waldemarsuddeを見学する

4末の連休、かつて日曜出勤をした分の代休をつけて連休を延ばし、数年ぶりにSwedenを放浪した。今回のメインの目的はGotland滞在だったため、3度目となるStockholmはささっと済ませた感じだが、それでも2か所でアートの鑑賞をしたので、そのレポートをしたいと思う。 まずはPrins Eugens Waldemarsuddeという、Djurgården島にある邸宅美術館を紹介しよう。 【Eugen公爵と邸宅について】 この美術館はもともと、Eugen公爵(※)が1

【実験】イタリア人はいつも絶好調なのか?

日本に住んでいた頃には一切聞かれず、イタリアではしょっちゅう聞かれることが2つある(もしかしたらそれ以上あるかもしれないが、今でも「あっ、またか」と思うのは2つだ)。 1つは宗教、もう1つは、「come stai/come sta?」、つまり"How are you?"である。 日本では、友達同士でも、取引先との会話でも、「調子どう?」とか「ご機嫌いかが?」なんて言い合った覚えはなかった。少なくとも私が日本に住んでいた15年以上前、30歳頃まではなかったと記憶している。

「STRATI. ECO-FOBIA POETICA(訳: 層。詩的エコフォビア)」を鑑賞する

先日、街の中心部の裏道のとあるギャラリーを訪れた。ここには以前入ろうと2度トライしたのだが(その際は少しポルノっぽい感じの展示を行っていた)、会期中にも関わらず2度とも閉まっていて、「このギャラリー、本当に営業しているのだろうか、それとも内容が内容なだけに、明記はされていないけれど予約が必要なのだろうか?」と、リベンジする機会を狙っており、今回、見ても良いかなと思う新しい展示が始まったので、また入れないことのないよう、開始の翌日に訪れた。 今回の展示は、『現実の概念的基盤とし

夕陽を堪能&連写しに海辺で佇んでいたら、若い女性が2人"Hej"とやってきて、いきなり私の前で脱ぎ始める。えっ、この寒空の下、Tバック?と驚き、暫し動向を観察。どうやらソーシャル用の動画撮影らしい。しかしわざわざこの時期にやらなくても、と思うのは、私がおバンだからでしょうか?

昨日から連休なので、数年ぶりにSwedenを放浪中。4末なのに郊外は雪景色で、ミラノにはない光景。やっぱり、北海道っぽくて好きだな。Lockdown中にレベルアップを断念したSweden語だけれど、耳をそばだてるとたまに何かしらわかって嬉しい。いつか再開する日が来るのだろうか?

Fuorisalone-美しい室内装飾-

先日、年に一度のミラノの一大イベントの一つ、Salone del Mobile (家具の見本市)が行われた。本編の会場とは別に、市内の各地で(ここ2年ほどは市外にも少し移りつつあるが) Fuorisalone というイベントが行われるのだが、早いところでは18時に閉まるので(つまりフルタイムだと平日には行けない場所がたくさんある)、毎日のように会社帰りに1、2件見て回っていた。 週末も、土曜は別の予定があって見られなかったので(去年はちょうど週末にハンガリーへ発ち、平日しか見

ウクライナのビジュアルアーティストAljoschaのインスタレーションを鑑賞する

片頭痛と風邪のひき始めで絶不調のため、薬をしこたま飲んだ金曜の午後、具合が悪いなら即家に帰ればいいものの、芸術鑑賞しないと週末が始まらない、という意地っ張りな性格のシマ子の行く先は、初めて訪れるギャラリーだった。この日のお目当てはウクライナ人のビジュアルアーティストAljoschaのインスタレーション"Mutative Transitions into Organic Utopia"である。 ウクライナ人のアーティストの展示など滅多に見られるものではないし、なんといっても翌週

ダンスの先生の話

先日、ダンスのレッスンが始まる前、久しぶりに先生がおかしな体験談を熱く語っていた。無視しようにも、途中からグフッという笑いを抑えられなくなるくらい、珍妙な話だった。 あまり他人の赤裸々白書をNoteに書きたくはないが、今日の話は、「こんな体験、普通に生きていたらまずしないだろう」という類の、想像をはるかに超えた話だったのと、たまには本気のバカ話もいいかな、ということで、忘れないうちに書き留め(卑猥な表現は避けて)、ある程度時間が経ったので、熱が完全に冷め切らないうちに載せてし

Hidetoshi Nagasawa(長澤英俊) 1969-2018を鑑賞する

先日、始まったばかりの長澤英俊という彫刻家の展示を見に行った。 このアーティストのことを知ったのは、会社の近所のお気に入りのギャラリーのオーナーとコロナ禍の中盤に知り合い(確かまだ、美術館や映画館に入るのにグリーンパス-ワクチン証明-が必要だった頃だ)、ギャラリーに置いてあった作品集を見せてもらったのがきっかけだ。20代半ばからずっとミラノ(近郊も含む)に住んで活躍され、ミラノで亡くなった方なので、もしかしたら知名度は、日本よりもイタリアの方が高いのかもしれない。 いずれにせ

ロシア人のアーティスト父子の展示"Piazza senza nome(訳: 無名広場)"を鑑賞する

先日、閉鎖から2年ぶりに場所を変えて生まれ変わったというギャラリーを訪れた。大元のギャラリーには、恐らく行ったことはないと思う(私には人名や地名、固有名詞等を忘れる兆候が26歳からあり、当時は老化の始まりだったのかもしれないが、今や完全に老化の一環で、忘れたら最後、思い出せないのだ)が、場所も完全に辺境に移ったため、たとえ行ったことがあったとしても、完全に新しいギャラリーとして見ていたと思う。 さて、新生のギャラリーの初の展示は、AlexanderとSasha Brodsky

Novara城で「Boldini, De Nittis et les italiens de Paris」を鑑賞する

先日、Piemonte州でもミラノ寄りのNovaraという町にあるCastello di Novara(Novara城)内で行われている「Boldini, De Nittis et les italiens de Paris」を鑑賞しに行った。展示が始まったのが11月で、間もなく終了、という頃、ちょうどミラノでもDe Nittisの展示が始まり、両方見るかどちらかにするかを悩み(チケットがどちらも然程安くはないのと、その間Cézanneまで始まってしまい、フランス人の友達には

Mark Tobeyの"armonie interiori(意訳: 内なる調和)"を鑑賞する

とある会社帰り、Mark Tobeyというアメリカ人の画家の展示を観に行った。 名前を聞いたこともない画家だが、展示のお知らせの一面を飾っていた作品が、白い半紙にたっぷりの墨でエイヤっと何かを描いたようなタイプのもので、あれっ、アジアっぽい作風なのかな、と興味を持ったのだった。 思っていた通り、アジアの影響を受けているようだ。 それでは、展示案内へ移ろう。 Jackson Pollock、と聞いて、ははぁ、そうか、と漸く作風がつかめた気がした。とはいえ、墨を使いアジア風に

先日投稿した「新版画-日本版画のニューウェーブ-という題の浮世絵の展示を鑑賞する」が、次の2つのページで紹介されました。 ・絵画 記事まとめ https://note.com/note_art/m/m0df25e97bb76 ・美術展 記事まとめ https://note.com/note_art/m/m2baf692f3090 ありがとうございます!

花の季節

春になると決まって、花に囲まれた生活がしたくなる。 数年前まで住んでいた町の中心部の狭い家では、切り花を買って小さなテーブルに飾り、枯れ行くまでの数日間を朝晩眺めていたものだったが、一人で住むには割と広々とした郊外の今の家では、主に多年草の植物を鉢植えで買い、バルコニーで育てるようになった。ただ、大地ではないと育てるのが大変な花は、切り花を買うこともある。 晩秋に生まれた私は、秋冬にはすこぶる体調が良いのだが、春になるとしばしば、本当に微かに、他人に気づかれない程度に、うっ