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花の季節

春になると決まって、花に囲まれた生活がしたくなる。
数年前まで住んでいた町の中心部の狭い家では、切り花を買って小さなテーブルに飾り、枯れ行くまでの数日間を朝晩眺めていたものだったが、一人で住むには割と広々とした郊外の今の家では、主に多年草の植物を鉢植えで買い、バルコニーで育てるようになった。ただ、大地ではないと育てるのが大変な花は、切り花を買うこともある。

晩秋に生まれた私は、秋冬にはすこぶる体調が良いのだが、春になるとしばしば、本当に微かに、他人に気づかれない程度に、うっすらとメンタルをやられ、6月頃になると、あたかも大嫌いな夏の前触れであるかのように風邪をひく。

花は風邪には効かないけれど、メンタルを整えるには良い効果を与えてくれるような気がしている。だから月によって、やれカーネーションだ、芍薬だ、バラだ、と買っては、お気に入りの花瓶に入れて枯れるまで眺め、芍薬については漢方薬でも使われるほどなので、花弁がポトポトと落ちた後には(本当に、音を立てて落ちるのだ。無音に近い部屋で聞き耳を立てると、ポトッ、とかボトッ、とかいうのだ)、乾燥させてお茶に混ぜて無駄にせずに最後まで楽しんでいるうちにメンタルも癒されてくる、という仕組みだ。
勿論、桜や藤は、毎年色々な街の様々な場所で眺めるので、家以外でも花を眺めている。

今年は、鉢植えのイベントに複数訪れ、初めてアネモネを買ってみた。
本当は林檎の盆栽が欲しかったけれど、おじさんに育て方や水やりの方法を聞いたら、現状では育てられないことが分かったので(最低でも8日に1度水をやらないと死ぬのだそうだ。一人旅という名の放浪が趣味の私には守れそうにない)、その次に気になった3種類の花の中から、色と値段と開花時期を総合してアネモネを選んだ。
そのブースのお兄さん曰く、アネモネは2月から6月に咲き、その後は冬眠(?いや、夏眠か?)するので放置し、10月くらいからまた水をやり始めると翌年には花が咲くという。
なんだ、それって私みたいな花だな、と親近感がわき、まずは花言葉を検索してみた。

アネモネの花言葉は「はかない恋」「恋の苦しみ」「見放された」「見捨てられた」など、恋愛に関連したものでもネガティブな意味合いのものが多いです。
これは、アネモネがギリシャ神話において悲恋の物語の題材になっているからだと言われています。
「愛と美の女神アフロディーテは、キューピッドが放った矢を誤って受け、美少年アドニスに恋をする。しかし彼は狩りの最中に不慮の事故で死んでしまう。アネモネは、彼の死を悼んだアフロディーテの涙やアドニスが流した血から咲いた花だとされたことに由来している」

複数の花言葉のサイトより抜粋・集約

ち、ちょっと、ドウイウコトデスカ?!
花言葉までなんとなく私っぽいではないですか😱
と一瞬、手に持っていた4色のアネモネの鉢を手放して、少しお高い薄紫の花にしようか悩む、悩む、、、悩む、、、、、、。
お兄さんには悪いけれど、15分は悩んだと思う。
でもやっぱりアネモネの美しさに惹かれ、最後の手段として、色別の花言葉を確認してみる。

赤→「君を愛す」、ありえない、そして色が暑苦しい・・・却下😂
青→「固い誓い」、今誓えることなんて何もない、ただ秋に予定している某計画まではNoteを毎週2、3本は更新したいということくらい、でも実現できているからいいや・・・却下😆
紫→「あなたを信じて待つ」、あなたって誰?そんな人いないし、ちょっとこの濃い紫はイヤだな・・・却下😅
†††ピンクが欲しいけれど、どのブースにもないから、白、かな。†††
白→「希望」「期待」「真実」、これかな、色もちょっとだけ紫が入っているし、いい感じ・・・決定!

私が悩んでいる間に、前にいた女性が、かたちの良い白のアネモネの鉢を2つ購入してしまった。
残る鉢は2つ、どちらもちょっと不細工だけど、その辺も私と一緒かな、と思い、紫の花弁が1つ、土に落ちている鉢を購入した。

うちのコになった白いアネモネ。ベランダに出す前にパシャリ
(気温が上がってきたので、前日に壁塗りをした際のペンキの粉が床に落ちています…スミマセン)


秋に買った鬼灯の鉢からはいつの頃だったか複数の芽が出て、日々の成長が見られるようになった。
このアネモネも、6月まで花を楽しんだ後、ある春の早朝に芽吹いていることを発見できたらよいなぁ、と早々に淡い期待を抱いてみる。

おまけ
盆栽を眺めるワンコ。何度もぴょんぴょんしていた🤭



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