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Mark Tobeyの"armonie interiori(意訳: 内なる調和)"を鑑賞する

とある会社帰り、Mark Tobeyというアメリカ人の画家の展示を観に行った。
名前を聞いたこともない画家だが、展示のお知らせの一面を飾っていた作品が、白い半紙にたっぷりの墨でエイヤっと何かを描いたようなタイプのもので、あれっ、アジアっぽい作風なのかな、と興味を持ったのだった。

Mark George Tobey(1890年12月11日 - 1976年4月24日)
アメリカの画家。アジアの書道から着想を得た緻密な構成の構図は抽象表現主義に似ているが、その動機は抽象表現主義の画家の多くとは哲学的に異なっている。

Wikipediaより

思っていた通り、アジアの影響を受けているようだ。
それでは、展示案内へ移ろう。

現代絵画の先駆者であり、特に数年後にJackson Pollockの芸術に影響を与えたアメリカ抽象表現主義の先駆者として知られているMark Tobey。Pollockは、1944年にニューヨークで開催された個展でTobeyの作品を知り、その数年後、「ドリッピング」技法(※1)による特徴的な作品を描き始め、「アクション・ペインティング(※2)」を生み出した。

第二次世界大戦後、ニューヨークで抽象表現主義が台頭する中、Tobeyはどのアート・グループにも属さない独特の瞑想的な絵画を描き続けた。彼の芸術の特徴的な要素のひとつは、非常に細い筆、テンペラ、墨を使って大量の書を「書く」能力であり、光を通して明確な「複数の空間」を作り出すことである。また、中国と日本への旅とバハイ信教(※3)へのアプローチに触発され、キャンバスの表面を多次元的でダイナミックな領域に変える「白書」の技法も生まれた。
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注1)水を多く含んだ絵の具を絵筆に染み込ませ、直接画用紙に絵筆で描くかず、絵筆から絵の具をポタリと滴らせて画用紙に描く絵画描法。

注2)顔料を紙やキャンバスに細心の注意で塗るかわりに、垂らしたり飛び散らせたり汚しつけたりするような絵画の様式。

注3)19世紀にバハオラによって創始された宗教で、すべての宗教の本質的な価値とすべての人々の一体性を説く。当初はイランと中東の一部で発展したが、創始以来、継続的な迫害に直面している。

展示案内と注はWikipediaより抜粋

Jackson Pollock、と聞いて、ははぁ、そうか、と漸く作風がつかめた気がした。とはいえ、墨を使いアジア風に描くのはTobeyならなので、この際、Pollockぽさ、Tobeyぽさの両方が分かるように、数点、独断と偏見で種類わけして作品を紹介したいと思う。

※作品群-Pollockぽさ(酷似度★★★★★)

これはPollockの作品だよ、と言われても疑わないレベルの酷似度の作品を選んでみた。

World of Stones 1959年
Summer Joy 1971年
海かプールに映る太陽や木々やそこから漏れる光や花などが混ざり合っている感じでしょうか
Grande Parade 1974年

※作品群-Pollockぽさ(酷似度★★★)

Pollockぽくもあるけれど、色味が渋く奇抜ではないところがちょっと違うかな、という作品を2点、選んでみた。

タイトルなし 1958年
タイトルなし 1961年

※作品群-Tobeyぽさ(レベル★☆)

Pollockぽさをうっすら感じさせながらも、個人的には、日本の焼き物の雰囲気が少しずつ入ってきたように思えてならない作品を選んでみた。

Timeless World 1971年
To Life 1974年
これは焼き物とは違うかもしれませんが、なんとなく秋だなぁ、という感じが強いです
Winter Leaves 1974年
タイトルなし 1960年
これはもう、「開運!なんでも鑑定団」に出てきそうな柄で、思わず笑っちゃいました😆

※作品群-Tobeyぽさ(レベル★★★★★)

完全にアジアの要素、加えるならくずし仮名が書かれているようにもみえなくもない、Tobeyのオリジナル感満載の作品をまとめてみた。

Eastern Fire 1954年
もう、微妙に備前焼が混ざった楽焼ですよね、これは??
見ているこちらも"Fire~!!!"と叫びたくなる💪
Sumi I titolo 1957年
確実に、日本のどこかで見た何かの作品からインスピレーションを得ましたよね、これ。
タイトルなし 1962年
天気の良い日に玉砂利に降り注ぐ陽光と影、というイメージ。

かなり小さいギャラリーで、出展作品数も少なく、その中から厳選したので(Pollockぽいのを幾つか落とした)あまり紹介できる作品がなかったが、それでも、また一人新たなアーティストに触れることができて、個人的にはよかったな、と思っている。

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