見出し画像

運動会競技「台風の目」特別支援の視点から。

本校の運動会は春。
5月のゴールデンウィーク明けから、
本格的に運動会の練習がスタートしました。

3年生の種目は、「徒競走」と「台風の目」

今回は、「台風の目」の競技を特別支援の視点から考えてみたい。

台風の目とはどんな競技か


台風の目は、
4~5人一組で、1本の竹の棒を持ち、定められたコースを走る競技。

本校の場合。
長い竹の棒を4人で持って走り、ポールを回って戻ってくる。
戻ってきた際、4列縦隊で整列している子ども達の足元に棒をくぐらせて、後ろまで走る。
整列している子どもたちは、棒が足下にきたタイミングでジャンプする。
その後、背後から頭の上に棒を走らせる。
整列している子どもたちはタイミングに合わせてしゃがむ。
そして、先頭で並んでいる次の4人組へバトンタッチする。
それを繰り返し、速さを競う。


動きは、

①自分でタイミングをみて、足の下に迫ってくる竹の棒をとぶ。
②後ろから頭の上に通る竹の棒をしゃがんでよける。
③それをグループの回数繰り返す。
④自分の番になったら、棒を持って走り、コーンを一周まわる。
⑤走り終わったら、1番後ろにつく。

とても大まかに分割して5つの動きがあります。
より細分化したら、
もっともっと多くのなる動きがあることが分かります。

特別支援学級の子どもたちは、

走るスピードがゆっくりだったり、
跳ぶことに困難があったり、
タイミングに合わせることが難しかったり
する子どもたちが少なくありません。

30人弱の4クラスの学年に、
特別支援教室に在籍している子どもが5人。
また、昨年度は特別支援教室だった、特別支援教室に行くかもしれない
というグレーの子ども達も数多くいる中で、
この選択に疑問を感じました。

親御さん達への説明はどうするのだろうか。

去年もしていますから?
毎年そうですから?


なぜ台風の目にしたのか、聞いてみたいと思っています。


運動会競技の決定方法

各学年の競技は、基本的にその学年の教員たちで決定します。

今回の運動会の競技決定からサポート方法の決定までの流れとして、

私は、

3年生の先生方が台風の目をすることに決定(特別支援の先生含め)
→親御さんと運動会の参加方法について相談
→これらの後で、練習開始

と思っていました。

特別支援の先生を交えて競技を選択し、
その後、保護者の方と参加方法、サポート方法を相談し、
練習で最良のサポートを重ねていく。
というイメージでした。

でも、勤務校はそうではありませんでした。

それは、ある日の合同体育で分かりました。


ある日の3年生合同体育

2回目の台風の目の練習。
特別支援学級のAちゃんが参加していました。

Aちゃんの担任の先生が、
タブレットを持ってAちゃんの様子を撮影していました。
その中でお話しを伺ってみました。

「Aちゃんに対してのサポートは何が必要ですか?」

担任の先生は、

「今日、練習の様子を観て、学年の先生の意向を聞いて、
親の意向を聞いて、サポートの内容を決定する。」

とのこと。

私は、2つ違和感を感じました。


1つ目は、
「運動会の練習が始まって2回目の練習で、初めて特別支援の子の様子を観ているということ。」
1回目の練習の時には、その時間に台風の目を練習することさえ知らなかった様子。

2つ目は、
「3年生の先生方にものすごく気を遣っていらっしゃるということ。」


そこで、
すかさず聞いてみました。

「競技種目を決めるときは、特別支援教室の先生も交えてないのですか?」

そこで先生がおっしゃられたのは、

「交えません。
普通学級の学年の先生のみで決定します。
特別支援教室の子ども達は、あくまでも普通教室に参加させてもらっている。
普通教室の意向に沿う形で、
参加できるならする。しないならしないを決定する。」

というのです。


要するに、

私たちの学年はこの競技をします。
特別支援教室の児童は、どうぞ参加するならしてください。


ということになります。

しかも、1回目の練習のことを知らなかったのです。
学年の先生方は、
特別支援の児童のことを考えていないのでは?と思ってしまいました。

なぜ、
特別支援の子ども達を含め、
共に楽しむことができる競技種目を探そうとしないのか。
選択しようとしないのか。
全員参加の難しい競技である必要性がどこにも見つからない。


特別支援教室の先生は、はっきりとして意志をお持ちで、

「ここは介護の場所ではない。
親は、運動会で子どもがサポートをされるところを観に来ているわけではない。
子どもができることをその子なりにやれるようにすべきだ」と。

確かにそうだと感じました。


Aちゃんのその後…

その後、特別支援教室の先生は、
怪我と命の危険性を理由に、
親御さんへ台風の目の不参加の提案をされていました。
その後、親御さんからお叱りを受けてしまったそうです。

もし、全員ができる競技を選択すれば、みんながハッピーだったのに。

運動会が近づくと、特別な時間割が組まれ、
日々の生活が不規則になります。
体育が多くなり、着替える回数も増えます。

すると、
「変化する」ことが苦手な特別支援学級の子どもたちは、落ち着きがなくなります。
そんな中、毎日のようにある練習には、参加しなくてはならないのです。

運動会に参加するなら、練習せざるを得ないため、
中には、行き渋る子どもを抱えながら練習に連れていく特別支援教室の先生もいらっしゃいます。
集団に入れたとしても、ずっとしゃがんでしまったり、
泣いてしまったりする子どももいます。

しかし、
このように子どもたちが居心地の良くない環境で頑張ったとしても
結局、今回のように「不参加」を決定することもあるのです。

運動会は、誰のために何のためにあるのでしょうか。

必要の意味はあるのでしょうか。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?