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ヨガの練習場所

週に1回ほどヨガ教室で練習している。今の教室に通うのは8年ほどになる。数年前に同じ建物の一階全体を改装して移転してからは、床面積が広がり、天井も高くなり、全体に光がやわらかに広がる快適な空間になった。ミニマルで、室温、音の伝わり方、香り、装飾なども適度に保たれており、練習する場所としてこの上ない。

そこには、指導技術の高い熟達した先生がいて継続的に生徒たちの成長を促し、不調の緩和や改善のために助言や代替メニューを与えてくれる。毎回の練習はよく練られ、密度が高い。

2時間ほどの練習時間は、熱中している間に、いつの間にか過ぎてしまう。その日の練習のテーマとピークポーズ、そして苦手だった動きについては、翌日以降の自主練習で中心的に復習している。1回目の復習は、記憶から、先生の声を頭の中で響かせられるうちに行なうようにしている。

自主練習は、野外で行なうことが多い。近所の公園の板張りのステージとか、遊具横のスペースとか、芝生の上とか。街中のノイズなどに晒されることになるが、空の雲や樹木の様子が周辺視野に入ることで、自然の広がりが感じられて気持ちよい。

日常生活では、予期せぬ事象や刺激に晒され、時には自我=エゴがうるさく反応して平静を保つのが難しくなる。エゴは現代人として社会生活を営むのに必要ではあるが、過剰に活性化されると、幸福度は下がり、心や、そして身体も引き摺られてしまう。

このようなエゴのダークサイドから距離をとるために、私においては、安心と安全を確信できる場所で継続的にヨガの練習をすることが有効だ。決して、エゴの向こうに真の自分があって、それを追求すべきだなどと言いたいのではない。エゴという装置の輪郭と働きを、メンタルの全領域の中に位置付けながら、少し冷静に眺めることが幸福度の上昇につながるのだと思っている。

安心と快適さが感じられる場所で継続的に行う練習の優れた点は、その空間を構成する事物(床、壁、天井、ミラー、扉、窓、照明器具、補助道具など)の配置や練習時の時間の流れが、私の記憶に定着されていることだ。たとえ、離れていても、その場所での練習を想起することができる。また、その空間を頭の中で思い浮かべることで、自分のメンタルヘルスがサポートされるのを感じる。


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