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『読書感想』

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現在は、主に英文学です。
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記事一覧

『読書感想6』

『読書感想6』

『インドへの道』長編
『A passage to India』
E.M.forster (1879-1970)England

この作品は、色々な観点から異文化を学ぶ事が可能です。
例えば民族間の政治的立場、民族間の歴史、文化、宗教、風俗、習慣の違い、個人の持つ価値観の違い等
そして、民主主義とは、自由とは、平等とは等 基本的な事です。

『インドへの道』は、1924年に出版され、その描かれた時

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『読書感想5』

『読書感想5』

「相似」 "Counterparts
[短編]
James Joyce (1882-1941)

この作品の主人公ファリントンは、(アイルランド人) 背の高い
巨大漢で法律事務所に勤めています。事務所では、仕事に身が入らなくて手抜きをし、前借りをする。そして、アルコール中毒で
一日に5回も事務所を抜け出して飲みに行く。
当然、経営者アリーン氏に冷遇されています。その日もアリーン氏から小言を言われ

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『読書感想4』

『読書感想4』

「落ちた偶像」短編
"The Fallen Idol"
Graham Greene (1904~1991) 

フィリップの両親は、2週間の休暇に出かけます。その間フィリップは、召使い頭のベインズ夫婦と生活する事になります。

子供部屋の中だけで過してきた7歳のフィリップは、初めて地下室に足を運ぶ事にも不安を感じながら、大人の世界に入って始めて人生に触れた快い気分で過しています

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『読書感想3』

『読書感想3』

W.Somerset Maugham
(1874-1965)『Rain』雨

「雨」の舞台は、通称(Pago・Pago)パゴ・パゴと呼ばれる米領サモアのツツイラ島にある港街です。
マクフェイル博士夫妻は、任地エイピアに向かう船の中で、デイヴィドソン宣教師夫妻と知り会います。

デイヴィドソン宣教師の受け持ちは、サモアの北にある一群の島からなっていて、離れて散在していますので、彼はカヌーで巡回してい

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『読書感想2』

『読書感想2』

『灯台へ』

Virginia woolf 1882-1941
England

ウルフは、人間がとても好きなのでしよう。人間に対する観察力が繊細で綿密に描かれています。
ウルフは、日常の生活の中で人間が深いところで持っている精神の状態、心の動き、人間の深層心理を描く能力が秀でています。

第一章では、ラムジイ夫人の目と心を通して、別荘に滞在する人間を、ある時は遠くから、ある時は近くに引き寄せさま

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『読書感想1』

『読書感想1』

『ダロウエイ夫人』

Virginia woolf 1882-1941
England
20世紀のモダニズム文学の主要なブルームズベリー、グループ

ウルフは、20世紀の初め
英文学の一つの流れを形成した作家として評価を受けます。

それは『ダロウエイ夫人』に用いられた新しい手法「意識の流れ」です。固定観念を打ち破ったこの手法には、始めて接する読者は戸惑う事でしょう。私も第

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